異変の予兆?
しばらく待つと足音が近づいてきた。
「すまない。待たせてしまったな」
女性が障子を閉め、畳に座ると自己紹介を始めた。
「私は慧音。この寺子屋で子ども達に勉強を教えている者だ」
落ち着いた様子で会釈をする。
「私は聖 命蓮といいます。寺で修業していた僧侶です」
こちらも会釈して自己紹介する。
「……なんだって?」
慧音がかなり驚いた顔をしていた。何か変なことでも言ったっかな?
「聖…命蓮…?彼は随分昔に死んだはずだが…」
ああ、その事か。確かに死んだ人間の名前を言われたら訳が分からないだろう。
「それを含めて、今までの事を話します」
そこで、僕は死んだ後、目を開けたらここにいたこと。チルノ達に案内してもらいここまで来た事を話した。
「…なるほど。にわかに信じがたいが、まさか蘇る事が出来るとはな……」
「僕も何故蘇ったのか…それが分かりません」
ふむ、と慧音が思案を巡らす。
「……新たな異変の前触れ、か?」
「異変?」
聞き慣れない単語に思わず質問した。
「ああ…ここでは、人智を超えた事象、現象を異変と呼んでいるんだ…大抵力のある妖怪の仕業だがな」
説明を聞いて思案する。
もし僕が蘇った原因が異変に関わるなら、必ず意味があるはずだ。
なら、その意味がわかるまでは…
「少し探そうかな。その異変って物を、ね」
こちらから意味を探し出す。
それが今の僕にとって最良の答えだった。