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豊穣祭と余興の乱舞

秋姉妹主催の豊穣祭が開かれます。楽しそうだなぁ〜…ああ、幻想入りしたい。



【訂正】

前回のキャラ紹介の時に命蓮(ミョウレン)を(メイレン)と誤って記述していました。

この場を借りて謝罪と訂正をさせて頂きます。

守矢神社のゴタゴタから数日後、命蓮寺は秋姉妹主催の『豊穣祭』の準備に取りかかっていた。

祭と言っても前の『命蓮寺祭』より派手なものではなく、しかし地味過ぎない優雅な物にしたい、という秋姉妹の要望で急遽命蓮は手伝いに来た妹紅と大ちゃんと共に境内に紅葉の木を複数本植えていた。


「……よし。こんなものかな」


最後の木を植え終わると土まみれの手を叩く。


「ありがとう二人共。助かりました」

「いいよ別に。手伝いに来たんだから」

「そうですよ先生。困っている時はいつでも呼んで下さいね」


この二人の優しい言葉に心の中で感涙を流していると明王がお茶と煎餅を持って来てくれた。


「三人ともお疲れさん。後は細かい作業ばかりだから今のうちに休んどけや」


そう言うと何故か明王は寺の奥へ歩いていく。


「明王様は休まれないのですか?」

「ああ。今から悪い妖怪が入ってこれないように結界を張るからな」


明王が奥へいった後、何やらお経のような文を唱え始めた。

ま、いっか。と三人でお茶を飲んでいると秋姉妹が入って来た。


「命蓮、今日はありがとね!」

「本当に助かりました。ありがとうございます」


二人して頭を下げる。

命蓮は感謝されるような事をしたつもりは無いし何より寺の活性化に繋げて貰えたので命蓮の方も頭を下げた。


「いえ。僕としても寺を有効活用したいと思っていましたし。おあいこと言うことで」


その後秋姉妹を含めた五人でお茶を飲みながら昼を待った。


少し時間が経つと農家の人や八百屋の店主が境内に集まり始めた。

かなりの人数だが、それでも境内にはまだ余裕がある。普段掃除の時にこの広さは苦労するが、こういった集会の時には役に立つ。


「さてと。もうすぐかな?」


秋姉妹に確認を取る。時刻はまだ夕方だが、この後も様々な余興や見世物があるらしい。今からなら丁度良い時間に終われる筈だ。


「うん。大体集まったし、もう始めても良いよね?姉さん」

「そうね。では始めましょう」


そう言うと二人は本殿の前に立つと大きな声で祭の開催を告げた。


「みんな、集まってくれてありがとう!!」

「只今より私達秋姉妹主催による『豊穣祭』を開催致します!!」


それと同時に歓声が上がる。出店等が余りない祭ではあるが、元々陽気な人達が集まったのだ。

これはこれで面白い祭になりそうだ。


「さぁ!命蓮もじゃんじゃん呑んじゃって!!」


穣子が芋焼酎をついで持って来てくれた。


「本当は修行中の身だから駄目なんだけど……じゃあ一杯だけ貰うよ」


並々と酒が入った器を受け取って一気に飲み干した。


「ちょ、命蓮!?大丈夫なの?」


妹紅が心配の声を上げる。一気飲みが心配させたようだが……。


「うん、大丈夫ですよ。元々お酒は強い方なので」

「ふーん…って命蓮。さっき修行中がなんとやらって言ってたけど……」


命蓮は苦笑いしながら答える。


「実は僕の師匠が大層な酒豪だったんですよ。噂では若い頃、ある山に住み着いていた鬼全員と飲み比べして勝った…なんて物がありましたし」


それで付き合わされたんですよ、と懐かしむ様に言う。まぁ皆驚くだろうと思っていたが、予想を遥かに上回る…まさに衝撃という物を体現した顔をしていた。


「…命蓮。その人妖怪?」


妹紅がさらりと酷い事を言っていた。


「いやいや!?何言ってるんですか!!?普通の人間ですけど………」

「命蓮。鬼を飲み負かすやつを人間とは言わん。そいつは妖怪だ」


明王様にまで言われてしまいました。

あと師匠、すいません。反論ができません。


「じゃああんたもいける口かい?」

「うん。まあ少しだけなら…うん?」


質問をついいつもの癖で返してから誰だろうと声の主を見る。

顔見知りがいる中、唯一顔を知らない少女が一人。おそらくこの子だろう。

ふむ。と少女を見つめる。

ずいぶん小さな可愛らしい少女だ。目が大きく潤ったその瞳は、普通の人なら見つめられるとどんなお願い事でも聞いてしまうような魔性の両目。そして何よりも角がめだ………角?


「じゃあ飲み比べしようじゃないか!!!」

「「す、萃香!!!???」」


慧音さんと妹紅が驚きの声を上げる。

それもそのはず。鬼である。

そして何よりも命蓮の顔から血の気が引いていく音が聞こえる。

この子が鬼で、しかも先ほどの言葉が本気なら、それはつまり…無限酒地獄の幕開けと言うことは確実だ。


「(助けて明王様!!)」


思わず明王様に助けを求めた。

声は出してないが念力で伝わるはず…!

そうすると明王様はそれを感じ取ったのか、命蓮に向き直って「しょうがないなぁ…」と苦笑しながら念力で


「(ここは俺にまかせて、逝ってこい♪)(キラッ☆」


などというありがた迷惑かつ無情なお言葉を頂いた。


「明王様ーーーー!?!?!?」

「さあ!早速やろう!!今すぐやろう!!!」


少女の姿からは想像出来ない怪力で引っ張られていった。

引っ張られていった場所には、人里でも指折りの大酒飲み達が出来上がって倒れていた。


「だ、大丈夫ですか!?」


その光景と倒れている人達の顔の赤さに思わず駆け寄り無事を確かめる。


「…うー☆うー☆」「ふにゃあ…」「はぁ…はぁ…!!待ってくれ!!俺はまだ、逝きたく…!!」「オマエダケイキノコルノハナットクイカネェンダヨ…ケケケ!!!」


………うん、大丈夫だろう。二人を除いて。


「こいつらたった二升で落ちちまってて、正直退屈だったんだよ」


二升を「たった」と言えるのはこの子だけだろう。


「ウチの親友の勇儀なんてだいたい二十升はいくのに…」


すまない、訂正しよう。二人だな。


「じゃあ、ハイ!」


そういって杯を無理やり渡される。

なんとか回避しようと言い訳を考え出すと、説得するようになるべく落ち着いた声で話しかけた。


「えっと…萃香、さん?」

「萃香で良いよ」

「わかった。…萃香、残念だけど僕は修行僧だからお酒を飲むことは禁止されているんだ。だから…」


と、ここまで言ったとき萃香が、上目づかいで甘えるような声で囁いてきた。


「いいじゃないかよぉ……一緒に呑もうよぉ…」


普通の人間ならばこれでイチコロだろうが、あいにく僕はそんな誘惑には惑わせられないよ!!


「命蓮、俺が許す。呑むがいい。つーか呑め」


意外なところに伏兵が!?そしてその伏兵はなんと明王様。


「あ、あなたという人は…!」


そんな心の叫びを聞いた明王様はニイッと、あの悪童の様な顔でにやけている。

その顔を見て思い出す。そういえばこの方も元は鬼だった、と。


「お許しも貰ったし、さぁ!呑んだ呑んだ!!」


杯に並々と芋焼酎が注がれる。いつの間にか周りに観客も集まってきていた。もう逃げられない状態だった。


「…はぁ。わかったよ。ただし今回だけだよ」


おう!と元気よく返事をする萃香。この状態でなければ年相応の娘なんだけどなぁ…。


「じゃあ、イクよー!!」

「…こうなれば、やれるだけやってやる!」


そして二人は杯を傾けて呑み始めた………。



二時間後……。


「…ぐへぇ………まさか……負ける、なんて………」

「やった……なんとか勝った…」

「しょ、勝者!聖 命蓮!!」


なんと鬼に勝てたのだ。

焼酎の樽をお互い百を空にして百二十対百十九で命蓮がこの場の勝利を収めた。


「すごいぜ!命蓮さん!!あんた神様だよ!!」「まさか鬼に勝てる奴に生きてる間に会えるなんてな…長生きするもんだ!!」「先生すっごーい!」


人里のみんなが勝利を祝ってくれる。それほどの功績だったのだ。


「すげぇじゃねえか命蓮!さすが、俺が見込んだやつなだけはあるないやホント!!」


そういって命蓮の背中をバシバシ叩く明王。だが命蓮の纏う雰囲気が一気に悪くなった。


「明王様ぁ…」


明王の背中に嫌な汗が伝う。振り向いた命蓮の顔は笑顔だが、何故か寒気がその笑顔から放たれていた。


「あー…命蓮?」

「…………………」


笑顔のまま無言でじりじりと明王に近づいていく。

そのまま懐から数珠を取り出してはっきりと言い放った。


「あなたには説教ではなく、教育が必要ですよねぇ……」


ジャラジャラと数珠を鳴らす。まるでいまから死ぬ人に向けるように…。


「ま、待て命蓮!!話せばわか……」

「わかりませんね。仏教に帰依している仏であるにもかかわらず修行僧に酒を呑ませる『馬鹿仏』の言葉なぞ誰が聞きますか」


グサッという音が聞こえたような気がした。


「うう…なにもそこまで言わなくても……」

「正座なさい」

「なんで!?I☆YAだよ!!このまま説教タイムに突入フラグ確定じゃん!!」

「正座なさい」

「くそ!聞く耳持たずか!!?ならこの明王の脚力で逃げ」

「正座なさい」

「この隙に……うおっ!?」


逃げようとした明王の首に命蓮の数珠が巻き付いていた。そのまま明王は地面に叩きつけられた。


「無駄ですよ。さあ、祈りなさい……」

「い、いやあああああああああああああああああああああああ!!!」


祭りの最後の余興は世にも珍しい『命蓮の明王更生教育』で幕を閉じたのであった。




風神録の一面ボスの秋姉妹を出すなら今しかない…!

と突っ走って書きました。正直つらいっす…←自分の文章表現力の無さにw

もっと祭の楽しい雰囲気を出したかったんですが、読み返すとあまり表現出来てないかも…と不安です。いつもそうですがねwアハハ(泣)

でも久しぶりに総合評価を見ると何と168pt…!?しかもお気に入り登録が59件も……!!?

見た瞬間嬉しさと感動のあまりマジで涙が…。

こんな文章力皆無の小説に文章評価&ストーリー評価が25ptずつも頂いております。本当にありがとうございます。本当この小説は皆さんの優しさやその他諸々で支えられています!

あと、名前募集の時も案をくださった方々に最大の感謝を。とても助かりました!

まだ名前は募集中ですから何か良い名前があればどうか教えて下さい!お願いします!!


……最近自分の周りが忙しくなり、一日一投稿が難しくなり始めました。落ち着くまで日を開けて投稿する事が多くなると思いますがご了承下さい。


では次回予告です。

豊穣祭も終わり冬に入った頃、命蓮寺に珍しい相談客が訪れた。その相談とは……。

「どうすれば冬を永遠に続けさせれるのかしら?」


では次回をお楽しみに!

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