歩みは人里へ
姉に看取られながら死んだ命蓮。しかし目を開けると目に映った景色はあの世ではなく、木々と空と少女達だった。
「あ……あれ?」
体を起こして辺りを見回す。周りの景色を見て、ここがどこかを確認しても命蓮にはまったく見覚えが無かった。
「あ、あの〜…大丈夫、ですか?」
さっきまで命蓮の顔を覗き込んでいた少女二人の内、緑色の髪の少女が話しかけてきた。
「…ん、大丈夫みたい」
立ち上がって体を少し動かす。
どこも痛い所は無い。
見たところ怪我もしてなかった。
あちこち確認していると青い髪の少女が話しかけてきた。
「かんしゃしなさい!あたいがアナタをみつけてあげたんだから!」
鼻高々にそう言って胸を張る。後ろでは先程の緑色の少女がオロオロし始め
「チルノちゃん、そんなこと言っちゃだめだよ…」
と青い少女を諭していた。
でも見つけてくれたのは確かに彼女達のおかげだと思った命蓮は
「助かったよ。二人とも、ありがとう」
素直に感謝を伝えた。
青い少女はさらに胸を張り
「とうぜんよ!あたいはさいきょーなんだからね!」
アッハッハ!と青い少女は高笑いを始める。
あまりにもほのぼのしていたので、思わず命蓮も自然と笑顔になった。
「そういえば、自己紹介がまだでしたね。私は大妖精っていいます。大ちゃん、と呼んでください。それでこっちが」
「あたいはチルノ!!」
命蓮は一つ頷くと自己紹介をする。
「僕の名前は命蓮。宜しく、チルノに大ちゃん」