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東方風神録 〜命蓮紀行〜 stage 1

風神録のstage 1です。

「はぁ〜、やっぱり空って気持ち良いなー♪」


空を飛んで妖怪の山へと向かう僕の、その眼下に綺麗な紅葉の海が広がっていた。


「地に足を着けて見上げる紅葉も綺麗だけど、別の角度から見るともっと綺麗だな〜。まぁ、初めて見たからかもしれないけど」


そう呟きながら悠々と空を飛んで向かっていると、ふと鼻に先程の寺子屋で嗅いだ匂いがする。


「誰かが焼き芋を作ってるのかな…?」


辺りをよく見渡すが、それらしい煙は上がっていない。

ま、いっか。

そう思って先に進もうとしたら下の方から声が聞こえた。


「み、穣子!大丈夫!?」

「……なんとか」


一体何があったのだろうかと降りて声をかけた。


「君たち、大丈夫ですか?」


下に居たのは二人の少女だった。

人間では無いだろう。

でもどちらも傷だらけの、しかも帽子を被っている娘は倒れている。

こんな状態の彼女らを放っては行けない。

だけど、髪飾りをしている娘は混乱しているからか―――


「誰っ!?どうせさっきの巫女の仲間でしょう!!」


盛大に飛躍した勘違いをしていた。

そもそも幻想郷で巫女の知り合いはいない。

という事は博麗か守矢のどちらかという事になるが、守矢の方なら信仰を集めるために大仰な演出をしながら下山してくる筈だ。

今の所、そんな人達とは会っていない。

自然と答えは博麗の方になる。


「待って下さい。僕はその方の仲間では…」

「うるさい!!これ以上妹に手出しなんてさせないわ!!!」


そう言うと髪飾りの娘が一枚の札を取り出して―――


「葉符『狂いの落葉』!!!」


前に見たチルノの弾幕より、複雑で大量の弾幕が襲いかかって来た。

一瞬その美しさに目を奪われるが、すぐにそんな観賞する余裕は無くなる。


「うわっ!?と?!」


視界を埋め尽くしてもまだ足りない程の弾幕をギリギリで避けていく。

だけど、何もしていない状態で避け続けるのは少しばかり無理がある。

いっそのこと、法力を使って弾幕を消そうか――そういった考えが頭に浮かぶ。

だが彼女は襲われた事で混乱して、この弾幕を放ったのだ。ここで無理やり法力で弾幕を消したら……間違い無く、彼女は僕を敵として見るだろう。

敵意が無いことを示すには、やはりこの状態のまま全ての弾幕を避けるしか無い…!


やがて札が焼き切れると、あの弾幕も止んだ。


改めて髪飾りの娘を見る。

その目に、僕に対する敵意は薄れていた。


「アナタ……あの巫女の仲間じゃないの?」


安心させる様に深く頷いて見せる。


「うん。

それよりも、早く彼女の手当てをしないと。ここに……っと、ほら。軟膏と包帯もありますよ」


寺子屋で教師を始めた頃から肌身はなさず持っている巾着から軟膏と新品の包帯を取り出して見せる。


「失礼しますね」


髪飾りの娘から敵意が無くなるのを確認してから倒れている帽子の娘に近付く。

見た目は酷い怪我に見えるが幸い傷はどれも浅く、命に別状は無いだろう。

一応もしもの為に、傷に軟膏を塗って包帯を巻いた。これで大丈夫だろう。


しかしこの軟膏、慧音さんから頂いたものだけど効き目が半端ない。

迷いの竹林にいる薬師が作ったらしい。

よく外で遊ぶ子供達が怪我をしても、すぐ手当てが出来るようにいつも持っていたのが幸いした。

妖怪等の効果もチルノで実践済みだ。

なのでまさか妖精以外は効かない、なんて事はない……はずだ。


「……これで良し。後は安静にさせてあげればすぐに良くなると思いますよ」


とりあえず見える所の傷は全部処置した。

すると髪飾りの娘は申し訳無さそうに頭を下げる。


「あの…すみませんでした。あの時、興奮してしまって、つい……」

「いや、いいですよ。混乱しているのは分かってましたから」

「いえ、でも……」

「いや、だから……」


こんな延々と続きそうなやり取りをしていると、帽子の娘が、うーんと呻きながら起き上がった。


「穣子!大丈夫!?」


すぐさま髪飾りの娘が帽子の娘に走り寄って行った。


「あれ…姉さん?何でそんなにボロボロなの?」


どうやらショックで記憶が抜けているらしい。

これは軟膏では役に立たない……かも。


「それを言うならアナタの方でしょ」

「えっ?…うわっ!?何でアタシ包帯ぐるぐる巻きにされてるの!!?」


そんな微笑ましいやり取りを見て苦笑する。


「たしか小さい頃に、これに似た事があったなぁ……」


自分の過去に思いを馳せる。

あの二人が、姉の白蓮との小さい頃の思い出を想起させる。


確か今と同じ季節に、落ちた紅葉を絨毯によく昼寝をしたものだ。

その後は落ち葉を箒で集めて、住職が村人から貰ったサツマイモを焼いて食べる。

そんな生活がとても懐かしく、とても愛おしい物だと気付いたのはいつぐらいだったか―――。


「……あのー。大丈夫ですか?」

「えっ!?あっと、すみません。少し考え事をしていたもので…」


いつの間にか帽子の娘も立ち上がってこちらに来ていた。


「いや、大丈夫ならいいよ。

自己紹介がまだだよね。私の名前は秋 穣子。八百万神の一人で豊穣の神さ」


髪飾りの娘ももう一度頭を下げて


「先程はすみませんでした。

私は秋 静葉。穣子と同じく八百万神の一人で紅葉の神で、穣子の姉です」


僕も軽く会釈する。


「別に気にしませんよ。

僕は聖 命蓮といいます。今は人里で命蓮寺の住職兼寺子屋の教師をしています」


ここまで言うと二人はあっ!という顔になった。


「アナタ、この前の新聞に載ってた人!?」


二人とも興味津々といった顔をする。


「ええ。文さんの新聞ですよね?なら僕の事も載りましたね」

そう言うと二人は手を取り合って喜んだ。

何かあるのだろうか?


「確か新聞に『妖怪、人間問わず、困った事があればどんな相談にも乗ります!』っていうのは本当ですか?」


静葉が何やら期待した目で見つめてきながら質問してくる。


「ええ。どんな相談にも乗りますよ」


すると彼女らは―――


「「私達の収穫祭の会場をアナタのお寺でしても良い(ですか)?!!」」


見事にハモらせながら相談してきた。


「実は私達、毎年秋になると主催で収穫祭を行ってるんだけど…」

「里の中だと通行の邪魔になりますし、外だと人が集まらないんです…」

「なるほど。だから交通の邪魔にもならず、ある程度人が集まれる広さがある寺でしたい、と」


二人とも頷いて返答する。

ふむ。二人とも仏教の神仏では無いけど、困っているなら手を貸すべきだろう。

寺だって広さだけあっても使わなければ宝の持ち腐れだ。


「うん、良いですよ。それで悩みが解消するならぜひ使って下さい」


二つ返事で快諾する。


「本当ですか!?やったー!!」

「良かったね、姉さん!」

「そうね、穣子!」


そうやって手を取り合いながら喜ぶ様が、昔の自分達にどこか似ていて、とても微笑ましいが寂しい気持ちになる。

だけど感傷に浸っている場合では無い。


「じゃあ僕は先を急ぐので、明日の昼にでも寺に来て日程等を教えて下さい」

「はい。ありがとうございます、命蓮さん」

「ありがとね、命蓮!こっから先は妖怪の山に近いから気をつけてね」


頷いて答えると妖怪の山の方へ向き直る。


「さてと、行きますか!!」


再び空を飛んで守矢神社へ向かった。

風神録のオリキャラ…じゃない、秋姉妹の登場でした!


といっても戦ったの静葉とだけなんですけどね。

一応霊夢が通った直後なので、中ボスの静葉よりフルボッコにされている穣子はあまり出番がなかったですw

でも今後も秋姉妹はちょくちょく絡めたいと思ってます!(既にフラグは立って(ry)



さて、次回予告です!


秋姉妹を平和的?にクリアした命蓮。

山の麓に差し掛かった時、そこにいた神は常に回っていた……。


では次回をお楽しみに!

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