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小さな小さな異変 〜封印されし白鞘の鬼〜 2

先程二人から聞いた方向へ向かうと、寺子屋周辺とは一変し、周りには水田と廃墟が広がり閑散としていた。

なるほど、慧音さんにも噂が届かなかったのも頷ける。


人が満足に居ない。


これでは小さな噂などすぐにはこちらの方に届かないだろう。


「不思議だろう。同じ人里なのに、こうまで違うのだ」


慧音さんは道を外れると一つの小屋へと近付いていく。

ボロボロになっている小屋を見る慧音さんの目は、どこか悲しそうだった。


「……少し、昔話をしようか」


歩きながら、話し出す。


「今から、確か200年位前か…ここは人里でも二番目に賑わっていたんだ。土壌も良かったから水田や畑も作られてな。大勢の商人が商いをしていたものだ。


そんなある日の夜、私は寝ている時に一瞬…ほんの一瞬だが、変な『何か』を感じてな………起きてみればこの場所の方角に火の手が上がっていた。

自警団を連れて来てみれば、理性を失っていた妖怪達が村人を襲っていたんだ。


勿論、説得もしたが既に理性を失っていた彼らには言葉は届かなかった……。


結果、当時の博麗の巫女と八雲 紫、藤原 妹紅、そして私が、彼らを打ち払って他の集落や村に被害を出さずに済んだが…………ここにいた人達は………」


ここで言葉を切る。


僕はただただ、この悲しい昔話を聴くしか無かった。


「彼らも……襲ってきた妖怪達の中には人間に友好的な奴だっていた。


おかしいと思った私や紫は彼らが何故ああなってしまったのか、その原因を隈無く探した。


でも全然解らずじまい。

そのままほったらかしになってしまい、今に至る………着いたぞ」


足を止めて目の前の小屋を見る。

誰かが住んでいるのかキチンと手入れされていた。


「ここら辺りで山菜採りをしているのはこの家だけだからな」


慧音さんはそう言って小屋の戸を開ける。


中には誰も居らず、乾燥させた薬草やわさび等色々な山菜があった。


「命蓮、手掛かりになるような物を探してくれ」

「わかりました」


そう言うと僕は机の上や引き出しを開けて何か手掛かりになるものを探す反面、さっきまで慧音さんが話していた昔話を反芻させていた。


「(原因が解らなかった、か)」


誰よりも悔しいだろう。

自分の守るべき者達を守れず、原因も解き明かせず……慧音さんはほったらかしと言っていたけど、おそらく今でも原因を探ってるのでは無いだろうか?

でなければ、そんな惨劇を語りはしないだろう。


そんな事を考えながら漁っていくと、息子さんの日記を見つけた。


何かあるかもしれないと思い、失礼と分かっていても開けて読み進めていく。


だが日記には、たわいもない日常の事が書かれているだけで有力な情報は無かった。


次々めくっていき最後のページになると、気になる事が書かれていた。


《9月○日


最近妖怪達を見かけなくなった。

これなら今まで行けなかった山に行けるかもしれない。

明日親父と一緒に奥の山まで行ってみよう。どんな山か楽しみだ。》



「慧音さん、これは…」


ページを開いたまま慧音さんに渡す。


「…おそらく彼らはこの『奥の山』に行ったのだろう」


そしてもう一つ怪しい事が書いてある。


「妖怪達を見かけなくなった……?」


幻想郷は人間より妖怪の方が圧倒的に数が多い。

しかも山が近いこの場所で妖怪を見かけなくなったというのは、いかにも怪しかった。


「これは調べてみる必要がある……明日早速調べに行こう」

「寺子屋はどうします?」

「明日の授業は全て命蓮が担当してくれないか?私は妹紅を連れて向こうの山を登ってくる」


少し心配だけど、妹紅さんはまだ会った事が無いが、聞くと幻想郷でもかなりの実力者らしい。

僕が付いていくより幾分マシだろう。


「わかりました」


一つ頷く。


「じゃあ今日は戻ろう。日も傾き始めた」


小屋を出て僕たちは帰っていった。


ずっと見られていた事も知らずに―――。




―――山の中腹。


鬼はただ、帰り始めた彼らを見据える。


登ってくるかと期待したがどうやら明日になるらしい。


少し落胆する。


――まぁ、楽しみは取っておこう。


鬼の後ろに鎖に縛られた人間が二人、震えている。

消えた山菜採りの二人だ。



殺しはしない。


コイツらは餌だ。


強い人間を呼び寄せる為の、餌。


既に何日も経っていたので、明日まで来なければ斬って捨てようと思っていたが…存外役に立った。


――ああ、楽しみだ。


心の奥底からそう想う。


どうせ人間に復讐するなら、思いっきり強い奴と闘ってから復讐しよう。


――ふと、理性をほとんど失った頭に疑問が浮かぶ。


俺はいつからこうまで人間を怨み始めたのか。


何か、とても大切な事があったような気がする………。


いや、考えるだけ無駄だ。


今はただ“闘いたい”“殺したい”。


それだけで充分だ。



暗くなり始めた空を見上げ、微笑を浮かべる。


ただ静かにそこで続ける。


明日の“闘い”を恋い焦がれながら―――。


次回から戦闘回になりますね!


一番心配なのが、グダグダになってしまう事。

ただでさえ文章力無いのに……orz


そういえば(これは小説とは関係無いですが)先日電車内でスリ男に会いました。


僕の財布を取った人を見た方が何人も居たので、すぐにスリ男は捕まりました。


そのあと次の駅へ降りるとあらかじめ通報した警官の方々がスリ男を逮捕しますがスリ男は容疑を認めません。


よほど捕まりたく無かったのでしょう。スリ男はとんでもない言葉を大声で発しました。


「財布じゃ無くて、あの野郎のケツ触っただけだよ!!」


一瞬静まり返る駅のホーム。


長年駅を使っていた僕もここまでホームが静かになったのは見たこともありません。


皆さん、注意しますが僕は男です。


さて、そんな馬鹿話もこのぐらいにして次話を書き始めます。


それではこれからも東方命蓮蘇歌をお楽しみ下さい!


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