目に良い新技術
「スマホやPCを見過ぎて、
目が痛い。目が悪くなった」
それはそもそもの前提がおかしい。
目が、スマホやPCの画面に合わせているから、目が疲れるのだ。
逆に、画面が、それぞれの人間の目に合わせれば良い。
合わせるべきだ。
そのコンセプトにより、
新技術が開発された。
それぞれの人々の目を、自動感知。
その目の自然な動き、見え方に合わせて
画面は微細な、色調や動きを調節する。
見えるものは変わらないが、
目への負担は飛躍的に改善する。
どんなに顔を画面に近づけても、
「見えない」ということがなく、
その上、目は悪くならない。
何時間見ても疲れない。
自然の景色を見ているのと変わらない。
画期的技術である。
全てが良くなる。
誰もがそう思った。
だが、しばらくして、
人々は
疲れ、ブチ切れた。
自動感知は「おすすめ機能」と
連動した。
画面のどこを見ているのか
秒単位で感知して、
「おすすめ」に反映した。
全年齢で健全な視聴履歴。
それなのに
夫はその本能を、
妻に問い詰められ
未成年の少年達は、どこを見ているのか
親にバレた。
彼らは羞恥と憤怒に震えた。
さらに、
それぞれの人々の目の自動感知は、
当然、その目が
「今、画面を見ているか、見ていないか」をも
感知した。
最悪なことに、
そして、当然なことに、
自動感知と「広告」が結びついた。
広告の途中で目を逸らすと、
広告も途中で止まる。
画面を見ると、広告も動き出す。
長い広告、幾つもの広告を、
強制的に絶対見せられる。
「強制広告視聴機能」
そう揶揄された。
人々は、
目の代わりに
心が
疲れてきた。
今後、
学校の授業や会社の業務で
この機能が導入される予定である。
どうやら、
この世から
自由はなくなる模様だ。




