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曽根家にて。

曽根潮子。独身。会社員だが某ウイルスの影響で在宅勤務に変更し、現在もそのまま。両親(特に母)とうまく行かず、あまり連絡を取らずにいたが妹夫妻の死をきっかけに葬式にて親戚一同会うことになる。ひさしぶりの再会にもかかわらず母に小言を言わたあげく独身在宅勤務をいいことに親を失うという大きな傷を負った姪姉妹を押し付けられる。子供どころか自分の身の回りもままならない潮子だがそれでも姪姉妹だって選択肢は無かったわけで施設に送るわけにも行かないため、お世辞にも広いとは言えないマンションの一部屋で3人ぐらしを始めることになる。


※書いている人間に精神学の知識はあまりありません。適当言ってる部分が大いにあります。


黒い大人がたくさんいる。


こっちを見て何か話し合っている。


右の方に目をそらすと笑っているママとパパの写真。たくさんのお花。2つの長方形の箱。


ママとパパは死んでしまった(もう動かない)


黒い大人の中から1人、ふらりとこちらに歩いてきた。



「茜ちゃん。鶴ちゃん。これからおばちゃんのとこに行って暮らすんだよ。いいよね?」




















ピンポーンとチャイムの軽快な音が響く。


作成途中の文書を一時保存して、玄関へと早足で向かう。


「はーい。連絡してくれれば下まで行ったのに。」

「何言ってるのよ。一応仕事してるんでしょ?はい。会ったことあると思うけど伊草の姉妹よ。お姉ちゃんのほうが茜ちゃんで妹のほうが鶴ちゃん。二人とも挨拶しなさい。これからお世話になる潮子おばさんよ。」


母に促されて最後に会ったときよりうんと大きくなった二人の女の子が丁寧にお辞儀をする。


「もう。この子たち全然話さないのよ。カウンセラーには通わせてるんだけど意味あるんだか。とにかくよろしくね。あんたなんかに務まるかわかんないけどね。どうせずっと家にいるんだしいつまでたっても独身なんだしそれに上の子は11歳でもう_____」

「わかった。わかったから。ここで立ち話もなんだからもう帰りな。」


またいつものような小言を始める母を半ば押し返すようにして玄関のドアを締めてしまう。

本当に変わらない。自分どころか両親の亡くした子たちになんてひどいことを言うのだろうか。あんな人間のところにいちゃ、心も体も休まらないに決まっている。


「ごめんね。おばあちゃんもう帰ったから。」


色違いの夏物のワンピースを身にまとい、つないだ手を絶対に離そうとしない。

警戒心剥き出しといった具合だろうか。無表情でこちらをじっと見つめたまま二人は動かない。


「中、入ろっか。外暑かったでしょ?ジュースあるからおいで。」


優しく、寄り添うような言葉選び。

二人を引き取ることが決まったことで買ってみた子どもとの関わり方の本に書いて会ったとおりに接してみる。

幸い二人はとことこと後ろをついてきてくれた。


「荷物は届いてるからあとで一緒にお片付けしようね。ベッドは、、、私が持ってないから布団しか無いんだけどほしかったら一緒に買いに行こうね。」

「、、、、はぃ。」

「、、、、うん。」


未開封のオレンジジュースを氷の入った2つのコップに注ぐ。

食卓の椅子にちょこんと座った二人にどうぞと差し出すと最初はためらっていたがひとくち、ふたくちと飲んでくれた。


「えーとじゃあ自己紹介、、、でもしよっか。私は潮子。曽根潮子(そねしおこ)です。えーと、、、お茶漬けが好きです。今度一緒に食べようね。あー、、、ごめんね、、、おばちゃんもおしゃべりがあんまり得意じゃなくて、、、、。」

(そもそも最低限の人間関係を保つために在宅勤務に変えたわけだし、、、なんか申し訳ないなぁこれじゃ心も開きにくいっていうか信用ならないだろうなぁこんな大人。)


くぅと頭を抱えて飲みかけのアイスコーヒーを一口のむと茜ちゃんがゆっくりと口を開く。


「、、、古新田茜こにいあかねです。小学六年生です。」

「こにいつるです!一年生です!すきなたべものはシチューです!」


茜ちゃんの控えめな自己紹介に続いて鶴ちゃんがハキハキと元気よく自己紹介をする。

だいぶ前に会ったときに持ったおとなしめなお姉ちゃんと明るめな妹という印象はあまり変わっていないらしい。


「ふふ。シチュー美味しいよね。茜ちゃんは?食べ物、なにが好きかな?」

「ぁ、、、、ぇ、、、ぅどん、、、が、、、。」


いきなり過ぎただろうか。驚いた顔をされたかと思いきやそのまま言葉を紡げずに咳き込んでしまう。


「あぁ、大丈夫?ゆっくりでいいよ?」

「ぁ、、、。」

「あのね、お姉ちゃんおしゃべり上手にできなくなっちゃたの。」

「、、、そうなの?」


ケホケホと咳き込む茜ちゃんに駆け寄って背中をさすってあげる。

鶴ちゃんの冷静な発言に思わず疑問の言葉を投げかけると鶴ちゃんはそうだよと口を開いた。


「鶴ともあんまりおしゃべりできなくなっちゃった。ママとパパがいなくなってからなの。ママとパパね死んじゃ______」


淡々とまるで他人事のように話しだした鶴ちゃんの口を茜ちゃんが素早く塞ぐ。


「ちが、、、けほっ、、、ちがぅ、、、。」


咳き込みながら妹の口を塞ぎ否定を口にする茜ちゃんに鶴ちゃんは抵抗を見せない。

うまくおしゃべりできなくなったことか。それともママとパパがいなくなったことか。果たしてどっちを否定しているのだろう。








訃報は急だった。


妹__伊草ちゃんとは小さなすれ違いから始まり、近くに住んでいなかったこともあって長らく連絡を取っていなかった。

お互い子育てと仕事で忙しかったし、忘年会などで必ず年に1回顔を合わせていたのもあって心配なんてしていなかった。


きっと幸せに過ごしていてこれからもそうだろうと思っていた。



梅雨が明けたか明けてないかくらいの暑くなってきた日曜日だった。


久しぶりにショッピングにでも行こうとちょっと遠目のショッピングモールに家族四人で行ったそうだ。

お洋服やおもちゃを買ってもらって、茜ちゃんの修学旅行に使うボストンバッグも買ったそうだ。

フードコートでフランチャイズのたこ焼き屋さんのたこ焼きを食べて、そろそろ帰ろうかと話していた直後だった。

そんな幸せのひとときに悲劇があっという間に襲いかかってきた。


通り魔的犯行。サバイバルナイフを振り回して次々と近くにいた人を刺していったらしい。


愛する二人の子供を守ろうとした若き夫妻の命は______








あっという間に切り裂かれて、流れ落ちてしまった。






「ぉば、、、さん、、、。」

「あっ、、、はい!ごめんねちょっとぼぅっとしちゃって、、、。」

「わたし、、、はな、、、、はなせます、、、つるも、、、い、いいこで、だから____げほっけほっ。」

「わわっ、大丈夫?ほら、ジュースもう一口飲んで。大丈夫。大丈夫だよ。」


ぎゅっと抱きしめて頭を撫でてあげる。

大好きだった、今はもういない父がそうしてくれたように。


「、、、。」


すると鶴ちゃんが椅子から下りててくてくと私の方に歩いていた。しかし何かするわけでもなく、ただ立ち止まって私と咳が止まってきたがぽろぽろと泣き出した茜ちゃんを見ている。


「鶴ちゃん?」


返事はなかった。そのまま真っすぐ私の方にてくてく歩いてきてきゅっと自分の体を押し付けてくる。


あぁ私はなんて察しの悪い人間なのだろうか。


両親を失ったのは目の前で泣いている11歳の女の子だけじゃない。

私の腕にしがみついてぐすぐすと泣き出した7歳の女の子だってまだ死というものをよくわかっていなかったとしても、両親が永遠にいなくなってしまったのは同じなのだ。


「鶴ちゃんも。鶴ちゃんもおいで。よしよし。全部、全部大丈夫だよ。怖かったよね。不安だったよね。おばちゃんがいるからもう何も心配しなくていいんだよ。全部全部大丈夫だからね。」


不安を悟られちゃいけない。


大人の身勝手に振り回されて私の家(ここ)まで来たのだ。


私が安心できる大人だとわかってもらわなきゃいけない。


純粋無垢なこの子たちを私がしっかりケアして育てていけるかまだわからないけど____



「おばちゃん、、、。」

「、、、ひぅ、、、。」


それでも今、この子たちにとって一番身近な大人は________








曽根潮子(わたし)なのだから。





初投稿です。某pから始まる小説投稿サイト歴は長いのですがなろうは初めてなので後書きという概念に何を記して置けばいいのかよくわかっていません。よろしくおねがいします(?)

不定期でまだ完結どするかなんて一ミリも考えていないそんなお話ですが続けていきたいしみんなを幸せにしてあげたいと思っています。


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