灰の隠れ家
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今回は蓮がついにレジスタンスの拠点へ足を踏み入れ、仲間たちと出会います。
その中で、のちに重要な存在となる人物も……。
篠崎蓮は、神楽雪に導かれるまま、地下道の奥深くを進んでいた。
湿った空気と鉄の匂いが鼻を突く。
長い闇を抜けると、突然、広い空間に出た。
「ここが……」
そこは瓦礫の街の地下に隠されたレジスタンスの拠点だった。
崩れたビルの基礎部分を利用し、ランプや即席の家具が並べられている。
壁には武器や地図、そして戦果を示す戦利品。
数十人の男女が動き回り、その目は皆、占領軍への憎悪で燃えていた。
雪が声を張る。
「新しい仲間を連れてきたわ!」
ざわめきが走る。
若い兵士、老いた男、幼い少年少女まで――それぞれが蓮を値踏みするように見た。
その視線の重さに耐えながら、蓮は一歩踏み出す。
「……篠崎蓮。生き残るために戦う」
その一言に、場の空気が変わった。
嘲笑ではなく、畏怖でもなく。
ただ、彼の目に宿る光が本物だと、誰もが直感したのだ。
◇
「おい、新入り」
声をかけてきたのは、背の高い青年だった。
鋭い目つきに、よく通る声。
だが笑みの奥に何か影を孕んでいる。
「俺は鷹宮 迅。ここの実働部隊のリーダーみたいなもんだ」
差し出された手を、蓮は警戒しながら握り返す。
迅の握手は強く、温かい。
だが蓮の脳裏に、あの日の兵士の記憶が不意にざわついた。
――笑顔で近づき、裏切る影。
――信じた者の背中に突き立つ刃。
「……」
言いようのない不安が胸をかすめる。
だが、今の蓮には選択肢はなかった。
敵だろうと味方だろうと、この拠点に居場所を作らなければ生き残れない。
◇
夜、拠点の一角。
雪がパンを半分に割り、蓮へ差し出した。
「慣れるまで時間がかかるかもしれない。でも……ここは、居場所になれる」
蓮は無言でパンを受け取り、噛みしめる。
乾いた小麦の味が喉を通る。
その温もりに、久しく忘れていた感覚が蘇る――「人と共にある」という感覚。
だが同時に、頭の奥で別の声が囁く。
――裏切りは、必ず訪れる。
――奪われぬためには、奪え。
蓮はパンを食べ終え、静かに目を閉じた。
心の中の炎は、ますます暗く、激しく燃え広がっていく。
第4話をお読みいただきありがとうございました!
今回はレジスタンス拠点での初対面と、重要キャラ「鷹宮迅」の登場を描きました。
彼はこれから蓮に大きな影響を与える存在になります。
次回は、初めての「共同作戦」。
蓮が仲間と共に敵へ挑むことで、その力が周囲に知られ始めます。




