第二章 スマホは使えます
「はっ?」
僕は気が付いた。僕の家、どうなってるんだろうか。もしも、無くなってたら帰るところが無くなってしまう。
僕は、ポケットからスマホを取り出してお母さんに電話をかけた。
「それ、何?」
「ごめん、ちょっと待ってて」
呼び出し音が鳴った。心臓がドキドキしてくる。早く出てよ。
「はい。何?どうしたの?」
あ、お母さんの声だ。良かった。目尻に涙が浮かんできた。
「お母さん、今どこ?」
「お家にいるよ」
「分かった。すぐに帰るから」
「あ、うん。分かった」
安堵のため息をつきながら電話を切った。
「そうだ。君の番号を教えといてくれない?駄目かな?」
「番号って電話番号?」
「うん」
女の子は番号を教えてくれたけど、家の固定電話の番号だった。そうだよね、昭和だもんね。名前も教えて貰った。南千鶴美だと言った。
僕は、また後で連絡するからと言ったが、家に帰るなら一緒に行くと言うので、後ろに乗せてペダルを漕いだ。
だが、道に迷った。あるはずのバイパスが見つからず、畑や藪ばかりである。
「おかしいなぁ。道が無くなってるんだけど」
キョロキョロしてる僕に千鶴美が言った。
「元からこんなだけど」
「どうしたら良いんだろう?」
僕の不安な声にまたしても呆れ顔をした。
「他に道は無いの?例えば細い道とか」
「あ、それだったらあるよ。小川沿いの道があれば変えれると思う」
それを聞いて千鶴美はナビをしてくれた。