表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/45

第八話「やっぱり定番はホラー」

挿絵(By みてみん)

 なんでか知らんが、俺は登録者数を増やすことに成功し、首はつながった。

 いや、たとえ0人でも首にはならんが、栄子先生は喜んでくれた。


「イブ、よくやった! 一位に躍り出たぞ!」


 両肩をバシバシ叩かれ、俺は思わず顔を歪めた。

 痛いからではない。

 てかアバターだから痛覚はないし。


 まだ安心はできないんだよ。


 だって、増えたっていったって、絶対にネタ的に登録しただけだろ?

 このままじゃ、すぐ飽きられてしまうぞ。

 もっと視聴者数も登録者数も定着させなければならない。


 やはり安定して人気があるのはゲーム配信か?

 でも普通のゲーム配信じゃな……。別に上手いわけでもないし。


 そんな考え込む俺に声をかける存在があった。


「なんか悩んでるみたいぴゃね?」


 このあまりに独特な語尾は確か、狛犬(こまいぬ)ことねか!

 犬を擬人化したアバターで、茶髪に犬耳が特徴的なヤツだ。

 確か、ゲーム配信で大人気と聞いている。相談相手としてはうってつけかもしれん。


 俺はカクカクシカジカと経緯を説明した。


「面白い配信ぴゃ? そりゃやっぱ人気があるのはコラボ配信ぴゃね」


 コラボ配信とは複数人で協力して配信することだ。

 人気のある人とコラボできれば、その視聴者に自分をアピールすることができる。

 それに、自分一人では出せない、その人との“絡み”という新たな魅力が発掘されるときもある。

 相性の良い相手と組めば、一気に人気爆発ということもありえなくはない。


「なるほど。そんならことね、せっかくだし一緒にやってみないか?」

「もちろん、良いぴょ! なんのゲームがいいぴょ?」

「やっぱ定番はホラゲーかな?」

「オーケー!」


 ホラーゲームはコラボしやすいジャンルの一つだと俺は思う。

 お化け屋敷でも心霊スポットでも、一人で行くのはあまりに怖すぎて笑えないのだ。

 複数でギャーギャー言っている方が、やる方も気楽だし、見ている方も楽しめる。


 ※※※


 舐めていた。

 VRホラーがこれほど怖いとは……360度、どこから何が来るかわからん、というのがこれほど恐ろしいなんて。

 リアルすぎて、これじゃ本当の心霊スポットに行っているのと変わらねーじゃねぇか!


「情けないっぴゃなぁ」


 ことねは意外にも、まったく怖がる素振りを見せない。ずんずん進んでいく。

 気づくと、俺たちは廃墟の中にいた。

 真っ暗でほとんど見えん。

 漆黒の闇から何かが飛び出た気がして、俺は夢中で走り出した。


「ギャー!」

「ちょ! どこ行くっぴゃ!?」


 ことねを置き去りにして……。


 俺のビビリっぷりが良かったらしく、配信はウケたのだが、ことねを見捨てたことで同期の間での評判を落としてしまった。

 それから俺は、しばらくコラボ相手が見つからず、苦労することになってしまうのだった。


 この作品は有名VTuber事務所が好きすぎて書かれたものですが、フィクションです。実在する団体、個人、VTuberとは一切関係ありません。

 誤字脱字があればお気軽にお知らせください。

 感想、評価もお待ちしております。たくさんの反応が励みになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ