第三十八話「緊急事態発生」
一応のやぐら完成を達成した俺、とりあえずみんなの意見を聞いてみることにした。
まず目に入ったのは、近くを歩いていたノワールだ。
「おーい、ノワール。調子どうだ?」
「おー、イブ。こっちは屋台の素材あつめやってるよ。やぐら完成したの? 足りないものあったら言ってね」
「こっちは終わったよ。手が空いたら見て欲しい。修正点あったら教えて」
「わかったー」
そこにべこらが通りかかったのでついでに声をかける。
「べこら。そっちどう?」
「こんべこ! 整地は大体終わったから、屋台の作成を手伝ってるべこ。やぐらはどうべこ?」
「こっちは終わったから、あとで見ておいて」
「わかったべこ。イブも屋台作るべこか?」
「そ、それは考えておく」
だいぶ建築には自信がついたとはいえ、俺の作業スピードで本番に間に合うか不安だし、そもそもセンスがなぁ。
屋台はどんなものができているんだろう?
やぐらの正面には通路があり、その左右にはすでに様々な屋台が出来上がっていた。
焼きそば屋、かき氷屋、たこ焼き屋などの看板がすでに掲げてある。
もちろん、ほんとうに食べられるわけじゃないので形だけだけど、雰囲気が大事だよな。
ことぎが見えたので声をかける。
「ことぎ。屋台はどんな感じ?」
「あら、イブぅ。今、それぞれに好きなもの作ってるよぉ。ことぎは金魚すくいを作るつもり」
「おー。やっぱ祭りっていったら金魚すくいだよな。ほんとうに遊べるやつ? それとも見た目だけ?」
「ちゃんと遊べるようにするよぉ。そのへんは任せておいてぇ」
「楽しみだな! あ、俺のやぐらは一応完成したから、手が空いたら見ておいてな」
「了解ぃ」
喋っている俺たちに近づいてきたのはエイプリルだ。
「イブ! やぐらできたって? ミーに見せて見せて」
「お、見てくれるか」
俺たちはやぐらの場所へと引き返した。
「いいねぇ。やぐらってこういうものなんだ! ステージみたいだね」
「だろ? この周りを踊るわけ。ボンダンスってやつ。そっちの音楽はどうよ」
「もうほとんどできているよ。あとはミックスかな」
「そかそか。手が空いてるなら屋台も作ってくれよ。まだ空き地があるみたいだから」
「OK!」
そんなことを言っていたら、村人がこちらに歩いてきた。
村人はゲーム内に存在するNPCだ。
普通は村から出てこないんだが、まるで意思を持っているかのようにこちらにやってくる。何だこいつ?
「こんな格好ですまない。緊急事態なんでな。管理者権限で入らせてもらった」
「あれ? その声は、栄子先生? 緊急事態って?」
「うむ。実は……急なんだが、星空ネルの卒業が決まったので、みんなに伝えて回ってるんだ」
それを聞いて俺は……その場でフリーズしてしまった。
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