第三十話「シークレットゲスト」
ある日の休み時間。ネルちゃんが俺に話しかけてきてくれた。
「ねぇ、イブ。今日のV活動、私とコラボしない?」
「えー! 嬉しいけど、今日はひな団とコラボ予定なんだよなー。別の日でいい?」
「じゃ、明日にする?」
「明日は海外組と英語勉強配信があって……」
「明後日は?」
「DemonZとスポーツ対決があるんだよね」
「すごいなぁ。イブって色んなとこから引っ張りだこで、忙しいんだね!」
「そうかなぁ?」
「すごいよ。こんなに顔が広い人、イブくらいしかいないよ」
確かに珍しいかもしれない。
別に各グループ同士、仲が悪いとか喧嘩してるとかライバル視してるとか、そういうことはまったくない。
だけど、どこかのグループに関係している人は、ほとんどその中だけで活動しているのが実情だ。
別にルールでもマナーでもないけど、なんとなくそうなっている。
「それじゃあさ。今日のひな団との配信、イブちゃんも飛び入りで出てみる?」
「えっ! そんなことしていいのかな?」
「面白そうじゃん。シークレットゲストってことにしようぜ」
「ええー!」
イブちゃんは目をビー玉のようにまんまるにして驚いている。可愛い。
早速、ひな団と合流。このことを伝えると、皆、興奮して大騒ぎとなった。
「ええ! ネルちゃんが出てくれるの!」
「そんなのいいに決まってるぴゃ!」
「さすがイブべこ!」
「この“グレート尼”のびくにも驚きなのな」
チベ、べこら、ことね、びくには俺を絶賛し、ネルちゃんを大歓迎してくれた。ネルちゃんの人気はすごいな。
しかし、ネルちゃんはちょっと心配そうな顔で言った。
「でも、私が出て大丈夫かな? 人が多すぎないかな?」
「大丈夫! 今回は私、チベがMC兼回答者をやる予定だったけど、MCに専念すればいいだけだから。むしろ助かるよー」
「回答者? ってことは、まさか今回もクイズをやるのか?」
俺は前回のクイズでは散々な目にあったので、もうごめんなんだが。
「いや、今回の企画は題して! 『連想ゲーム 全員揃うまでガチ耐久!』だ!」
「それ、私でもできるかなぁ? みんなとは初コラボなのに」
「ダイジョーブ! ネルちゃんだけでなく、みんな初めてやるゲームだし。ルールは簡単。お題に対して連想する答えを書くだけ。その答えが全員揃ったらクリア。お題は例えば、『赤い花と言えば?』みたいな感じ。簡単でしょ?」
おお、それなら答えが分からず恥をかくこともない。
オモシロそ-じゃんか。やってやんぜ!
この作品は有名VTuber事務所が好きすぎて書かれたものですが、フィクションです。実在する団体、個人、VTuberとは一切関係ありません。
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