第二十七話「新たな海外組」
下校の時間。俺は校門へと向かう。
別に教室から直接でもログアウトできるのだが、そこはなんつーか、気分の問題だ。
俺は登下校というものに憧れていたんだ。
一緒に行こーとか、遅刻しちゃうよーとか、そういうのにさぁ。
つっても校門までなんだが、
門の近くまで来ると、脇に生えている木の枝に座っている女が見えた。
緑色の髪の女が、縁側でお茶を飲むおばあちゃんのように、とてもくつろいだ表情をしている。
「なんだアイツ? おーい、何してんだ?」
緑の女はこちらを向いて、軽く手を振った。
「ハーイ! 元気ですかー?」
「いや、元気だけど、大丈夫か?」
「ダイジョーブ? オウ! アイム、オーケー!」
あれ、英語? ってことは……。
「お前、ひょっとして海外組か?」
「カイガイグミ?」
「え、えーっと。海外って英語で何ていうんだ? 海の向こう?」
「オー、Overseasね。そうデース!」
やはりそうか。見ない顔だと思ったぜ。
「で、何してるんだ? わっとあーゆーどぅーいんぐ?」
「ワタシは木の精霊なので木とお話してマシタ」
う……コイツもヤベー空気があるぞ。
「そ、そうか。それじゃ俺はこれで――」
「待ってクダサイ。袖振り合うも多生の縁。ワタシとフレンドになってくだサイ」
「難しい言葉知ってるな?! まぁ、友達になるのはかまわないけど」
「ありがとう!」
「俺は袰屋イブだ。そっちは?」
「ワタシは春夏冬カエデ。カエデと呼んでクダサイ」
和風の名前だが、きっとそれは日本に合わせているからだろう。
ここではどう名乗ろうと本人の自由だからな。
「ところでイブ。ここには木が足りないと思いまセンカ?」
「木? うーん。考えたこともないな」
あったとて結局バーチャルだしな。
「少なすぎマス! もっと木を欲しナサイ!」
「お、おう。なら寺の周りに林でも作るように頼んでみるか。あの周りなんもないから寂しいんだよな」
「テンプルがあるんですか!? グッドアイデア!」
俺は下校する予定を変更し、カエデと共に寺に向かった。
「うん。こうして見ると、やっぱ学校の隣に急に寺があるのは妙だよなー」
「ステキなテンプルです!」
鳥居をくぐると、びくには掃除中だった。竹ホウキを持って地面をはいている。
ゴミなんて無いんだが、これも気分だ。
俺はびくににこれまでのことを説明した。
「なるほど。自然が少ないとは思っていたのな。植えるなら何の木にするのな?」
「もちろん、カエデがいいデス。秋には紅葉が楽しめますし、メープルシロップもとれますよ」
「いや、バーチャルでメープルシロップはとれねーって!」
校長に話したら即採用された。次回のアプデで実装されるそうだ。
カエデはそこに住むと鼻息を荒くしている。
まぁなんだ。悪い奴ではなさそうで良かった。他の海外組も平和的な奴だといいんだが。
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