第二十六話「レベルアップ! V高」
廊下を歩いていたら、前からニコニコ笑って歩いてくるおっさんがいた。
V高でスーツ姿のおっさんといったら一人しかいない。
ダニ-郷校長だ。
「校長。ちゃーっす!」
「こんにちは。袰屋さん」
「あれ? 俺の名前、知ってるッスか?」
「当然だとも。君は有名人だからね」
俺が有名? ああ、そっか。イブちゃんとライブもやったからな。
なんだか目立っちまってるみたいだ。
「あー、そうそう。校長に聞きたかったんッス」
「なんだい?」
「なんで寺なんて作ったんッス?」
「ジャパンの学校には寺が併設されてるものなんだろう? 淡路山さんから聞いたよ」
びくにの奴、寺が欲しいからって校長に嘘を吹き込みやがったな?!
もう作っちまったもんはしょうがない。そういうことにしといてやろう。
「あ、あははー。そうッスねぇ」
「私もまだ、ジャパンのカルチャーは分からないことが多くてね。君も何か要望があったら気軽に言ってくれてかまわないよ」
「おお! 本当ッスか?」
校長直々にそんなことを言ってくれるなんて。浮かれたが、パッと出てくるものは無かった。
「んー、すぐには思い浮かばないッスねぇ。そうだ。みんなにも聞いていいッスか?」
「おお、いいじゃないか! みんなでアイデアを出し合って欲しい。そしてもっと我が校を発展させようじゃないか。レベルアップ! V高」
「てなことがあってさぁ」
俺は事の経緯をネルちゃん、浜田、チベ、キムを呼びつけて伝えた。
俺が調べたところによると、コイツらがV高に自然発生的にできあがったグループのリーダーだからだ。
音楽班からネルちゃん、バラエティ好きの集まったチームからチベ、DemonZから浜田、海外組からキムを呼んだってわけ。
「私はステージを作ってもらったから、これ以上、贅沢は言えないかなぁ」
さすがネルちゃん、奥ゆかしい!
「ミーが欲しいのはDJブースとダンスフロアかナ」とキム。
「なるほど。チベは?」
「私はバラエティ用のスタジオかなぁ。クイズ以外のセットも欲しいでしょ?」
「ふむ。浜田は?」
「浜田じゃねぇ! マキCネ・デーモン様だ! そうだな。儂は駄菓子屋だな。やはり学校のとなりにあるべきは駄菓子屋! 下校時に買い食いして帰る。これだ!」
「何言ってるの。お菓子屋さんがあったって、どうせ食べられないんだから――」
「いや、ネルちゃん。これはナイスアイデアだ! 浜田よ。お前も時にはいいこと言うじゃねーか」
駄菓子屋なんて、もう日本にほとんど残ってないんじゃないか?
だから俺は憧れてたんだよな。
「だろう? どうだ。貴様も儂の配下に加えてやってもいいんだぞ?」
「いや、それはいい」
ということで、俺はこれらの意見を校長にあげたのだが、採用されたのは駄菓子屋以外すべてだった。
なんでだよ!
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