第二十二話「DemonZの秘密兵器」
「ちょっと待ったぁ!」
いきなりデカい声が聞こえた。入り口を見るとそこにいたのはあおゐだ。
「拙者抜きでカラオケ大会とは言語道断でござるぞ!」
「私も歌いたい~!」
背後からの声はもみじだ。いつからいた!?
「二人だけでずるいぃ!」
ことぎが俺の腕を掴んで前後に振った。いつの間にこんな近くに?
「自分も仲間に入れてもらうぞ!」
そう叫んで天井から降りてきたのは……あれ、リンコさん?
「リンコさん、何でここに?」
「自分もDemonZに傭兵として入れてもらったんだよ。よろしくな!」
「そうなんスか!?」
傭兵を入れるとは、こいつら学校を統べるとか言ってるけど、まさか武力に頼るつもりか?
「貴様ら、今日はカラオケ大会じゃないぞ。イブの歌唱力向上作戦だ」
「歌唱力? どういうことでござる?」
浜田が経緯を説明する。
「というわけだ。さ、イブ。まずは一曲歌ってくれ」
渡されたのはカラオケマシンの入力パネルだった。
本物みたいだ。よく出来てるわ。
イントロと同時にマイクも渡されたので得意な曲を歌う。
“ボエ~”
「ぐぅ! こ、これは!」浜田は耳を塞ぐ。
「地獄からの声でござる!」
「ぬぉおお! 敵襲かぁ!?」
「これはこれで気持ちいいわ~」もみじはなぜか自分を抱きしめ、身悶えている。
歌い終わると、もみじ以外のメンバーは倒れていた。
それほどかよ。大げさな。
「な、なるほど。これはなかなか難題だな」
「そうか、さすがのDemonZでも無理だよな。すまん、邪魔したな」
こいつらのリアクションを見ても、俺に歌は無理だ。
ネルちゃんには申し訳ないが、今回は断ろう。
俺は肩を落とし、ドアへ向かって歩いた。
「待て! まだ終わってはおらん!」
「なんだ? なんか良い手があるのか?」
「ことぎよ。どうだ?」
「はいぃ。イブにちょっと聞きたいのだけど、ライブは生演奏なのかしらぁ?」
「いや、さすがに演奏は無いよ。事前に作ったカラオケ音源に合わせて歌うはずだ」
「それなら、アレをああして……」
ことぎは顎に人差し指を当て、目だけ上を見ながらなにやら考えだした。
「そうねぇ。ちょっと作ってみようかしらぁ。明日まで待ってくれるぅ?」
「作るって、何をだ?」
「リアルタイムで音程を修正するツールよぉ」
「そ、そんなことできるのか!?」
「もうとっくにあるわよぉ。でもイブの場合、市販品よりもっと強力なのが必要ねぇ」
「作れるなら頼む!」
これでライブ、どうにかなるかもしれん! 光明が見えてきた!
この作品は有名VTuber事務所が好きすぎて書かれたものですが、フィクションです。実在する団体、個人、VTuberとは一切関係ありません。
誤字脱字があればお気軽にお知らせください。
感想、評価もお待ちしております。たくさんの反応が励みになります!




