第十八話「続、意外な闖入者」
「はーい! ではここで、べぇたまから英語の問題。次の日本語を英語に翻訳してくださーい! 『日本人の主食は蜘蛛ですか? いいえ、カブトムシです』」
「いや、どんな問題だよ!」
「はい、イブ。早く回答してください」
「MCもおかしいだろ! 注意しろよ!」
もともと英語は苦手なのに問題もおかしいし、どうすりゃいいんだ!
「……はい。まずべぇたまの回答例はこちら『Are tarantulas the staple food of the Japanese? No, it's a beetle』ちょっと待って下さい、『tarantula』はタランチュラですよね? 蜘蛛は『spider』では?」
「えー? そうだっけ? キャハハ!」
「……はい。ではことぎの答えは『Are spiders the staple food of the Japanese? No, they are beetles.』。イブは『KUMO is umai?』。色々間違ってるので不正解! よってことぎの勝利となりました!」
「クッ!」
負けた。落ち込む俺だったが、その時謎の声がした。
「ちょっと待てい!」
顔を上げるとそこにいたのは浜田だ。
「おい。ことぎよ。こんな方法で仲間にするのはダメだ! あくまで自分の意思で加入しなければ意味がないのだ」
「そんなぁ。Cたん」
「おっとぉ? これは妙なことになってきたぞ」チベがなんとか番組の体を保とうする。
「コメントを見てみるのだ。ことぎよ」
コメント? 配信の視聴者たちのコメントか。
俺もことぎも、カンニングの可能性を考えてコメントを見ることは禁止されていた。
しかし、クイズが終わった今なら見ても良い、というわけだ。
浜田が空中にコメントのウインドウを開いた。こんなことができるのもバーチャルならではだ。
【良いぞ! イブww】
【まーた間違えたぞwww】
【どうやったらそんな答えが出てくんだよw】
「見ろ、イブを褒めるコメばかりだ。配信は視聴者にウケてこそよ。ことぎよ、お前は試合に勝って勝負に負けたのだ」
「ハッ! そ、そんな……」
ショックを受けたことぎは地面に座り込んでしまう。
「スマンがこの勝負、無効とさせてもらう」
「浜田……おまえ」
結局、このゲーム企画は無駄にはなったが、とんでもない視聴数を叩き出した。
後日、朝礼でこの話題に触れられ、全校生徒の前で名指しで校長からお褒めの言葉があった。
「大変素晴らしい結果でした! 砂原チベさん!」
学校から高評価を得たのはチベだ。そういや、番組はチベのチャンネルで配信されていたんだった。
しまった! こうなると分かってたら、俺のチャンネルで配信したのに!
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