第十二話「めざせ生徒会長」
俺は休み時間にあおゐの姿を探した。
もちろん、朝の件を謝るためだ。
あおゐは確か、この教室だったはず……。
「おーい、あおゐ! いるかぁ?」
「ああああ! 見てください! あ、あいつでござる!」
「?」
あおゐは無事に見つかったが、何やら俺を見て騒いでいる。
見後ろにいる誰かに、しきりに何やら訴えているようだ。
「貴様か。儂の下僕を愚弄せし者は……」
長い銀髪をかき上げながらゆっくりと歩き近づいてきた者。
頭の真ん中に角が生えてやがる。こいつは?!
「お前は……誰だ?」
「傾聴せよ! 儂の名はマキCネ・デーモン! いずれはこの学校を統べる者だ! 覚えておけ!」
左手を腰にあて、右手で俺を俺を指差すとマキCネは大声でそう言った。
それに合わせ、周りの人間が一斉に声を上げる。
「「「HMD! HMD!」」」
なんだこいつらぁ!?
「お、おお。俺は袰屋イブ。よろしくな。ところでHMDってなんだ? 浜田?」
「誰が浜田だ! 『ハ-イルマイデーモン様』の略だ!」
「なんじゃそりゃー!」
意味はわからんが、マキCネがこのクラスを率いているのは確かなようだ。
「学校を統べる、って言ったな? 具体的にはどうする気だ?」
「そうさな。まずは生徒会長にでもなって、この学校を改革してやるとするか」
「ふーん。ところでV高って、生徒会あるの?」
「……へ? 無いの?」
「いや、聞いたことないなーって」
気になった俺たちは、早速職員室へ向かった。
「栄子先生! この学校、生徒会はあるんですか?」
「急にどうした? マキCネ。そんなもんは無いぞ。ウチは生徒個人の自主性に任せてるからな」
「「えー!」」
これには俺も驚いた。任せると言えば聞こえがいいが、要は放任なんでは?
そして、もう一つ、疑問が浮かんだ。
「まてよ。そしたらあおゐが風紀委員って言ってるのは何なんだ?」
「風紀委員? そんなもんないぞ?」
「え! これはどういうことでござるか、マキCネ殿!」
俺たちの背後にいたあおゐが声を上げ、マキCネの肩を掴んだ。
「あ、あはは。あの、あれは、その、儂が勝手に任命しただけで……」
「そ、そんなぁ!」
ショックだったのかあおゐはその場にしゃがみこんでしまった。
「マキCネ。どういうことか先生にも詳しく説明願おうか?」
「え……。ええ?」
俺は巻き込まれたらかなわんので、誰にも気づかれぬよう、足音を立てずそーっと職員室から逃げたのだった。
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