夏の俳句(2022)
『夕焼けバス 破線で切れぬ 今日の憂さ』
夕焼けの中を走るバス。
帰宅途中のバスの中で、今日1日の憂鬱を引きずっています。
家に着くまでにこの気持ちを立て直さなくちゃ。
いっそ嫌な思いだけ回数券のように切り取り線でペリペリッと切り離して、ポイッと捨ててしまえたら良いのに。
季語は『夕焼け』“ゆやけ”とも読みます。
『茹だる夏 異国の香、吐く 換気扇』
アスファルトにユラユラと陽炎が立つような暑い日。
街の裏道を歩いていると、ムワッと熱風に煽られる。
換気扇が吐き出す厨房の空気。
家庭料理には無い独特な香りに、夏バテで無かったはずの食欲が刺激される。
昼は素麺のつもりだったけど、今日は激辛中華もアリかもしれない。
こちらは少し先取り。夏本番の句です。