スープとスライム
家に着き、背負っていたカゴをおろすとモンスターが飛び出してきた。外に出ると、周りを見回している。
カゴから枝を出して、薪木の置いてあるスペースへと運ぶ。すると、モンスターが後ろからついてくる。薪木を置くスペース自体は家の壁沿いにあるため、すぐそこである。
薪木を置き終え、カゴの置いてある所へ戻る時もモンスターは後ろについてくる。怪我が治ったばかりでそんなに動かすのも心配であったため、振り向いて抱きかかえる。モンスターを抱きかかえたまま、家の中に入る。家の中に入り、下ろしてあげると家の中を探索しはじめた。幸い、一人暮らしで家の中も特に何もなかったのでモンスターに自由に探索させてあげることにした。
しばらく探索したのち、窓際が気に入ったのか窓際でのんびり外を見ている。
モンスターはそのまま放置して、夜ご飯を作り始める。
少し経つと、良い匂いがしたのかモンスターが台所まで来ていた。今日は村で採れた野菜を豊富に使ったスープと、バジルとトマトを使ったパスタを作っていた。
モンスターが何を食べれるか分からなかったので、ひとまず体にいい野菜を使ったスープを飲んでもらおうと思いメニューに入れたのだった。
少しして、スープもパスタも完成した。完成したご飯を見て、モンスターは目を輝かせている。てっきり、怖がったりされると思っていたため嬉しかった。台所から、テーブルまでパスタとスープを運ぶ。席に着くと、モンスターは机の上にジャンプして乗ってきた。モンスターとはいえ、机の上に乗らせた状態で食べさせるわけにはいかないため、彼はモンスターを膝の上に乗せる。
まずはスープをモンスターに飲ませてみる。スプーンでモンスターの口?の部分へスープを運ぶと、スプーンの先端ごとモンスターの口の中へ入る。すると、スープだけ綺麗に食べてスプーンは出てきた。
もう少し苦戦すると思っていたが、思ったよりも普通に食べてくれているので何よりである。そんなことを思っていると、モンスターがこちらを向いてきた。
こちらが首を傾げると、目をキラキラと輝かせている。
どうやら、スープが口にあったようだ。もう一度スプーンで一口分飲ませると、美味しそうに飲んでくれた。
モンスターにスープをあげていると、あっという間にマグが空になった。
お腹いっぱいになったのか、食べ終わるとモンスターは窓際に戻り、寝てしまった。モンスターの寝顔を見ながら、夕ご飯を食べる。スープもパスタもすっかり冷めてしまっていたが、美味しかった。
夕ご飯を食べ終え、洗い物をしているとモンスターがこちらへとやってきた。
洗い物をしている時の音で起きてしまったのだろう。モンスターは近くまで来ると、何もせずにこちらを見ている。
洗い物が終わり手を拭き終わり、モンスターの方を向くと洗い物が終わったことが分かったのか嬉しそうにぴょんぴょん跳ねている。
どうしたのと聞くと、こちらに向かって飛んできた。咄嗟に受け止めると、また手のようなものを作り出し、彼の頬をつんつんし始めた。彼は、ひんやりとしたスライムの手に一瞬驚いたが少し嬉しそうにニコニコしている。その様子を見て、スライムも嬉しそうに彼の頬をつんつんするのであった。