詠唱まとめ(1)
作中のアスタグレンス=リヴァイン、絳河、山滉穎それぞれの詠唱(呪文)を纏めました。
アスタグレンス=リヴァイン 《無間地獄》
「Unleash blazing heart.
I will offer cardinal petals to sad memory.
I will sacrifice farewell petals to past I gave up.
Though time erases memories, the fire inside will never die.
A blood flower shines a ray of light and gives you the graves.
Dye with my Scarlet」
日本語訳
「燃え上がれ瞋恚の炎。
悲しき思い出に深紅の花を捧げよう。
諦めた過去に別れの花を献げよう。
時が記憶を消すとしても、この怒りは決して忘れず。
血染めの花は妖しく咲き誇り、そなたらを死へと誘わん。
Die, 《無間地獄》」
コメント
秋の彼岸頃に開花すると言うヒガンバナ(彼岸花、曼珠沙華、天蓋花)をベースに考えました。花言葉は「悲しき思い出」や「諦め」、「独立」「情熱」。その悲しき思い出に、赤いヒガンバナを捧げようという意味合いで第二文を作りました。また、アスタグレンスが憧れた普通の生活を諦めるという意思が第三文に表現されています。
一番大変だったのは、彼女の怒りをどう表そうかということでしたが、ここは日本語訳から先に考えました。「瞋恚の炎」という言葉を中心にして、それを「blazing heart」と英訳し、その感情を解放(unleash)することを「燃え上がれ」としました。
同様にして、記憶が消されたとしても、つまり死んだとしても、カーリーへの自分への怒りは忘れないぞ、という意志が第四文で書かれています。
そして、墓で咲くことが多い紅いヒガンバナを「血染めの花」と形容し、それが開花し、その毒で以て死へと誘う。直訳だと、「墓を与える」と表現しました。
最後に、「染める」意の「dye」と「死ぬ」意の「die」が同音なのをかけて第六文を作り、その固有領域に「無間地獄」という名前を与えました。
アスタグレンスの「赤」のイメージを基本として、全体として悲しさと怒りが表れる様にしました。私個人としても非常に気に入っている詠唱です。
絳河 《ライトニングフィールド》
「Hitch your wagon to a star.
I am a guardian following the light of the moon.
I will fight for those interest which the divinities honor and promoteーjustice, love, freedom, knowledge, utility.
So, I hope to borrow the might of the elementーgalvanism.
Lightning field」
日本語訳
「高邁な理想を抱け。
我は月影に従う守護者なり。
我は戦おう。神々の意にかなう事のために。正義と、愛と、自由と、知識と、功利のために。
我、自然の力を借りることを願い奉る。
《ライトニングフィールド》」
コメント
アメリカ合衆国の超越主義の哲学者・思想家・作家・詩人であるラルフ・ウォルドー・エマソンの『American Civilization』の「Hitch your wagon to a star」から発想を得て作りました。彼は神秘主義・個人主義の研究をしていたので、元々シャーマンでもあり、主に西洋の魔法を使う絳河にはピッタリだと感じたのが始まりです。
また、彼の概念、「自己信頼」と「オーバーソウル」より、滉穎を助けた《オーバーソウル》という魔法が創られました。
絳河は元々暗黒世界が誕生し、神々との交信が再開され始めた頃に生まれ、肉体が死して尚も神に仕えようとする中世のエレメンターです。それが第三文に表れており、また暗黒世界と戦い人々を守ろうという強い意志がその後の「正義・愛・自由・知識・功利」に表現されています。
また、中世の頃のエレメンターはまだ科学も発達しておらず、神々の意向によって現象が起きているという思想も有りました。故に、第四文ではそれが顕となっています。
加えて第一文ですが、日本語訳だと「高邁な理想を抱け」とありますが、ここは主に英語で考えた方が意味が伝わり易いと思います。「馬車を星に結び付ける」というのは、星すなわち神々の領域に自身の労力を結び付け、魔法を発動させる、という意味合いがあります。また、アスタグレンスの象徴である「星」に滉穎の力を結び付けろ、と眠っている彼に言っていると受け取ることも出来ます。
個人的には、一番気に入っている詠唱かもしれません。
山滉穎 《雲蒸竜変》
「我は雷竜を従えし月影なり。
信義を貫き、仁愛を懐き、権利を守り、智慧を磨き、功利を求めむ。
今、我は時機を得たり。海を千年、山を千年生きし蛟龍は、其の真価を発揮す。
此の時、此の場所に限り、我は、英雄へと至らむ。
《雲蒸竜変》」
コメント
先の《ライトニングフィールド》の詠唱内容を意識しつつ、滉穎の覚悟と「雷竜」「蛟龍」を解放することを表しています。
第二文では《ライトニングフィールド》の詠唱内容を引き継ぎ、また始祖に言われたことを守り、人々のために戦おうと言っています。第三文では「海千山千」である蛇がチャンスを得て竜へと至ることを表現しています。
そして、第四文では「雲蒸竜変」の意味を踏まえて「英雄」へと至り、その力を以てアスタグレンスを護るという彼の意志が最も表れている文です。
この詠唱は、たまたま電子辞書を読んでいた時に雲蒸竜変という四字熟語を見つけたことで閃きました。これこそ、まさに運命的な出会いでしたね。そこから、滉穎が自分のことを海千山千な人間と言い、その蛇は竜となるというイメージから自然と上の様な詠唱が作れました。やっぱり辞書は友達です。
雲蒸竜変って何か格好良いですよね。
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