表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月影のエレメンター(なろう版)  作者: ハイエナ=エレメント
五神祭編第ニ章・五神祭
42/109

幕間・月の異名

 我が望月もちづき家は、このトイラプス帝国の中では最も影響力を持つとされる一族です。その所以ゆえんは2000年も前にさかのぼります。

 by おぼろ

 僕は東の帝国から南の帝国へと、我が一族の家宝とも言える電影でんえいをあるエレメンターに渡すために向かっていました。




 家宝を渡すなど、本来であれば一族全員から反発が起きる案件ではあるのですが、電影でんえいという弓の神格武器は既に時代遅れとなっていましたし、何より一族の中に満足に扱える使い手がいませんでした。故に、実用主義が多い我が一族では賛成が多数となり、現在へと至った次第です。


 かつては、月と狩猟の女神アルテミスの加護までいただく程に弓の扱いに長けた我々一族でしたが、今では趣味のレベルでしかありません。良弓も使われなければ意味を持ちません。まさに、この話は渡りに船だったのです。




 正直に言うと、弓の神格武器を使いたいと言うエレメンターがいることに一驚し、そのエレメンターに興味を持ちました。

 聞けば、そのエレメンターは未だに事件の前の詳細が明らかになっていない「イオパニック」において、多大に貢献したそうで、しかも召喚者の中では成績一位というのですから優秀と言えるでしょう。

 さらに、文の「雪月花」の「雪」を冠するヴァトリー家の次期当主である玄羽くろう=ヴァトリーの門下に入り、SVMDFへの入隊も内定しているとなると、将来性も期待できます。

 故に、僕は今回父である現当主より「彼を見定めて来い」と申し付けられました。


 理由は至ってシンプルです。僕の妹達の婚約者として彼が候補に挙がったために、彼の人格と能力を見極める必要があるからです。

 この魔境では、地球よりも家と家の繋がりや血統は重視されています。それは、エレメンターの力が遺伝しやすいという背景が有るためで、だから許嫁いいなずけというのも珍しくありません。

 もちろん、自由恋愛が禁止という訳ではありませんし、子どもの幸福を親が願わない訳もなく、それ故の見定めであり、決して強制という訳ではありません。

 もし、子どもの幸福を願わない親がいるので有れば、僕はその人達のことを親と呼んで良いものか疑問符が浮かぶでしょう。




 話が少しれましたが、彼を候補に挙げた理由はもう一つ有ります。

 それは、彼が「仙術」を使えるという点です。はっきり言って、我が一族は他の良家と比べても強さ、力に貪欲です。故に、遺伝するエレメンターの力をより強固なものにするためには、より強い血筋、そうでなくとも、個人として名を立てられる者であれば婚姻を結ぶのです。

 もうお分かりでしょうが、現在というよりも昔から望月もちづき家が目を付けているのは仙術です。しかし、仙術の希少さから我々はその力の一端でさえ持てたことはありません。


 エレメンターの遺伝研究はある程度進んではいますが、仙術においてはその遺伝性が全く分かっていません。というのも、極端な使用者の少なさとその秘匿の度合いが強過ぎるために、調査を始めることすらできないからです。

 「雪」のヴァトリー家は仙術も使えますが、の一族は遺伝に対して我が一族よりも関心が強くありません。また、恋愛による結婚が何世代も前から途切れずに続いており、一夫多妻制が風化したとはいえ、一応存在しているこの魔境でも古代より一夫一妻で貫いているので、関与の余地すら無いのです。

 我々が現在認知している使い手も両手で数えられる程度であり、先述のヴァトリー家の現当主とその息子玄羽くろう、今は仙人となったくろうの祖父、くろうの門下にニ人、そして自由組合に一人だけです。


 次期当主である玄羽くろう=ヴァトリーと婚姻を何とか結ばせようと画策していた時も、既に彼は皇女殿下と恋仲であり、すぐに結婚までしてしまいました。余談ですが、その時は幾人もの女性が涙を流したとか。

 この様に、彼等は狙いを付けた時には将来を誓い合う相手を見つけており、策を立てることすら許してはくれません。




 そんな時に現れたのが、山滉穎やまこうえいという召喚者です。彼はあの玄羽くろう=ヴァトリーに師事し、たったのニヶ月で仙術をものにしたのですから、我が一族の関心が彼に向いたのは言うまでもありません。

 さらには、我が一族の重要な財源でもあったイオでのバイオテロと、秘匿されてはいますが魔物の襲撃において大いに活躍したと聞けば、候補に挙がるのも当然と言えます。




 受け渡しの当日となり、実際に彼と対面した感想としましては、簡潔に言って面白い人でした。人と人との相性など千差万別ですが、どうやら彼と僕は良い方みたいです。彼とならば、兄弟となっても大丈夫でしょう。

 と言っても、妹を彼に渡すのとは電影でんえいとは別問題ですが。彼が妹に相応ふさわしいかどうかを見極める必要はまだありますし、そのために僕も五神祭が終わるまでここに滞在するつもりです。




 そして、彼の英霊契約が終了し、ついさっきまでゴーレムとしてそこにいたAS、絳河こうがは英霊として電影でんえい宿やどり、ゴーレムはだだの土塊となりました。

 彼は、ゆっくりと魔術式が消失した床に近付き、電影でんえいを手に取ると、目を閉じました。何を言っているのかは分かりませんが、絳河こうがと念話で会話しているのでしょう。しばらくすると、電影でんえいは光となって消失し、精神世界に情報として保管されました。これで、契約を結んでいる限り、彼はいつでも精神世界から物質世界を召喚できます。


 僕達は教会を出ると、互いに用事があるためまた会う約束をして別れました。

 僕は急ぎさくら家から買った駿馬しゅんめ望月もちづき家の別荘に行きました。




 二十分程度馬を走らせると、派手過ぎないが威厳があるやかたが現れ、知らない顔の執事が出迎えてくれました。ねぎらいの言葉をかけ、書斎に向かい、父上に手紙を書きました。

 彼は月英げつえいの婚約者に相応ふさわしいかもしれない、と。

ことわりに対する魔法の認識

 エレメンターは、脳を入力装置、本体として魔力を操作し、魔法を使い、非覚醒者は文字や音声で入力、精霊を本体として魔術を用いる。その時、ことわりから逸脱すればする程、消費する魔力量すなわち脳への負荷が大きいので、ことわりに従うことが多い。しかし、魔法の種類によりことわりに対する認識が異なる。


・魔法(属性)

 ことわりのっとり、魔力を情報から物質に変換することで現象を操作する。


・魔法(暗黒世界)

 死、時間、空間など物質世界からの認識の外である現象を操作するので、ことわりからはずれたものとされる。故に、危険性も高い。


・魔術(魔法の入力方法を改造)

 ことわりを文字や音声として書き起こすので、ことわりを投影するものとされる。


・仙術(魔法の派生)

 常人では使えないものが大半なので、ことわりを超越したもの、認識を超えたものとされる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ