存在と時間(4)・第ニ十話
・魔法式
魔法を使う際に附属的に出現し、魔術の使用に不可欠なもの。魔力を物質に変換する時等に、その情報を文字や幾何学的な図形で表している。しかし、魔法と魔術では魔法式の意義が異なる。
幾何学的な図形は世界共通(少し異なる地域もある)であるものの、使用する文字や数字には地域によって違いが見られる。
現在、召喚者の中には魔法式を再現できるエレメンターがいないため、魔術に関しては専門家に頼っている状況である。
拳銃の魔法式を完全展開させた二人は、満を持して切り札を切った。捷は蒼い光を帯びた術式を銃に纏わせる。
「《森呪》」
消音器を取り付けたオートマチックは小さく、鋭い音を出し、ASの方向へと火を吹く。
銃弾は全て標的の足元に跳弾することなく着弾した。
一瞬、外したかと思われたが、ゼロコンマも経たずして、状況が一変する。《森呪》によって放たれた弾丸から、太い根が地に根付きながら伸びて来たのだ。
「これは・・・・・・!」
状況を察したASは、すぐさまその場からの撤退を試みる。
しかし、科学に反した成長と捷の命令を理解する『ジャックと豆の木』の様な根によってそれは阻止される。
「なるほど、良い策だ」
「そうですよね? 山みたいにスピードで圧倒するエレメンター対策の魔術です。しかも、木属性の魔法は、土属性の魔法に有効ですから、いくら強くても抜け出すのは難しい」
根はASを包む様に展開され、ついにASの動きを完全に止めた。
佑聖と他の三人は注意しつつも勝利を感じ、追撃の構えをとったが、
「あれ? なあ、《森呪》から煙が出ていないか?」
「まずい。佑聖! パイソンを使う準備!」
「ああ、分かってる」
パイソンの魔法式を解除していなかった佑聖は警戒を更に強めて凝視し、銃を構えた。
「一つ忘れていたのかな。彼は電気属性も一応使えたということを。まあ、悪くはなかった」
煙は徐々に室内に蔓延し、《森呪》は赤い炎で燃え、灰と化し、十秒も経たない内にASは拘束から脱出した。
「ああ、くそっ」
『佑聖!』
『今は無理! 金は火に弱い』
煙から登場したASは、炎によってところどころに火傷を負っていた。しかし、《痛覚無効》により、彼は次の行動においてそれが差し支えることはなかった。
《縮地》によって、一瞬で佑聖の顔前に現れたASは、再び《電撃》を放った。
佑聖は、川相の二の舞を踏まず、それをパイソンの魔術によって回避する。
「いいね! 切り札を一瞬で捨て駒にするその判断力」
佑聖は、上に《bind》を使い、天井に逃れたのだ。
「でもね」
ASは、ジャンプすると、パイソンから出ている金属線に触れ、《電撃》を発動する。
「・・・・・・っ」
金属製のパイソンにはすぐさま電流が流れ、林佑聖を退場させた。
本来ならば、塗装等で電気対策をするべきなのだろうが、パイソンの弾丸は現地調達のため、その技術がまだない佑聖には満足できる対策を取れていなかったのだ。
「「佑聖!!」」
・魔法式の意義
(1)魔法
覚醒者のみが使える代物で、魔力を用いて事象干渉を行う際に現れる。魔力による情報改変の結果を基に自動的に構築され、物質世界に出現する。
(2)魔術
人間または知的生命体ならば、原理を理解して使うことが可能。魔法式を書く、つまり、情報改変の過程を表すことにより発動する。魔法と違い、結果からではなくその過程から構築させていくため、発動速度は遅い。また、原理的には魔力を用いるために、自分で魔法式に魔力を流せない非覚醒者になるとさらに遅い。
魔法発動の際に現れる魔法式と区別して、魔術式とも呼ばれることがある。




