ジークフリートとシューニャ(2)
「そんなもんついてねーよ……」
「は?」
「だから、俺に股間のものなんてとうにないっつーの!!」
驚きの表情で固まるジークフリートを見たシューニャは、灰色の髪を掻きまわした後にメイド服を捲り上げて一気に下着を下ろしていた。
ジークフリートは、シューニャの行動に驚き、目を見開いたまま固まってしまっていた。
痛々しい歪な傷跡を見たジークフリートは、眉をしかめた後に言ったのだ。
「すまない……」
まさか、謝られるとは思っていなかったシューニャは、目を丸くしてからそっぽを向いて言ったのだ。
そうしながら、昔のことを思い出していたのだ。
小さい頃、闇の組織に売られて、組織の大人たちが、シューニャがこのまま男らしくなるよりも、少女じみた容姿のままの方が何かと都合がいいと考えて、シューニャに処置を施した日のことを。
そして、処置のお陰か声変わりもなく、少女じみた姿を今のところ保てていたのだ。
シューニャが少女のような容姿をしていたとしても少年であるにもかかわらず、一国の王女の代わりとしてテンペランス帝国に送られたのには、こう言った背景があったからだった。
「ふん。俺以上に安全な人間はいないって理解しただろ? 腕も立つし、この姿なら大抵の場所でお姫様を守れる」
「そう…だな。俺が傍に居られないときなどそうそうないが、その時は……頼んだ」
「おうよ」
「ところで……。誰かが見たら誤解するからそろそろスカートを―――」
そこまで言ったところで、ノックの音と同時にセドルが部屋に慌てて入ってきたのだ。
「陛下! 大変です!! おうじょで…………。って! ええええーーーーー!! ちょ、ちょっおおおお!! シューニャさんに何してくれてるんですか!!」
そう言って、シューニャがジークフリートに向けてスカートを捲り上げている後ろ姿を見てしまったセドルは、大声を上げていたのだ。
それに対して、ジークフリートとシューニャは、面倒なことになったという顔をしながら視線を合わせたのだった。
すると、二人は同時に言ったのだ。
「そこのメイドが突然スカートを捲ってきたんだ」
「皇帝さんが、俺にスカートを捲って見せろって」
二人の言葉を聞いたセドルは、主君を信じたい気持ちと、恋情を抱く相手を信じたい気持ちで揺れた結果、後退りながら迷案を口にしていた。
「陛下もシューニャさんも、どちらのことも信じたいです……。でも、お二人の食い違いをどう処理していいのか私には決めかねます。ですので、王女殿下に相談させていただきますーーーー」
そう言って、駆け出していたのだ。




