エピローグ
それから―――。
約束の期限よりも早くセドルはテンペランス帝国に戻っていた。
そして、ミリアリアとジークフリートの見守る中、セイラの墓前で報告をしたのだ。
「セイラ殿……、ご子息ですが、ミンズ王国に売られたのち、闇の組織に買われたようなのです。数年その場所で過ごしたようなのですが、同じように組織に売られた女性と二人で逃げ出したそうです。ゴルド王国に逃げおおせた後、一緒に逃げた女性と結婚したそうですが、一年ほど前に流行り病で夫婦揃って亡くなられていました……。彼を知る人たちは言っていました。とても優しくいい青年だったと。夫婦仲もよく、とても幸せそうだったと。申し訳ございません。私がもっと早く動いていれば……」
そう言って項垂れるセドルに、ミリアリアは感謝の言葉を並べていた。
「ありがとう。セドルさん……。セイラは、息子さんが既に亡くなっているって思っていたから、幸せな時を過ごせていたと知れて喜んでくれたと思うわ。だから、そんなに自分を責めないで……」
涙声になりながらもミリアリアは、セドルを励ますようにそう言ったのだ。
セドルは、セイラの墓前に一度深く頭を下げた後に、決意の籠る声で言ったのだ。
「セイラ殿。もう一つの誓いはこれから、一生をかけて果たします。ですから、どうか安らかにお眠りください」
その後―――。
宰相職に復帰したセドルは、有能な宰相として力を揮う一方、シューニャに告白しては振られ続ける日々を送り、生涯独身を貫いたのだった。
そんなシューニャも、生涯ミリアリアのメイド兼護衛騎士として仕えたのだ。
シューニャが男だと知っている者ですら、いつまで経っても男らしさが全く現れず、少女のようなシューニャに首を傾げたのだった。
そして、同じようにいつまでも美しい少女のようなミリアリアを見て、「主従そろって、いつまでも若々しく美しい」と見とれるのも恒例となっていったのだ。
そんな、いつまでも美しい少女のようなミリアリアは、失われたはずの古代技術でテンペランス帝国に富を与えた女神としてザンクティン大陸中に知られて行くこととなる。
国民にその知識だけでなく美しい容姿からも天使様や女神様と慕われるようになるミリアリアは、ジークフリートから惜しみなく注がれる愛により、二人の子を持つ母となっていた。
ジークフリートは、生涯ミリアリアを愛し、側妃を持つこともなく、ミリアリアだけを傍に置いたのだ。
公式の場でもミリアリアを愛していることを隠すこともないその姿から、愛妻家ぶりをザンクティン大陸中に知られることとなるジークフリートだった。
過去にザンクティン大陸をその名だけで恐怖に陥れていたジークフリートはもう何処にもいなかった。
今は、妻と子に最大限の愛情を注ぎ、自国を愛する賢帝としての名だけが、ザンクティン大陸に鳴り響いていたのだった。
『欠陥姫の嫁入り~花嫁候補と言う名の人質だけど結構楽しく暮らしています~』 おわり
これにて本編は終了となりますが、引き続き番外編もお楽しみいただければと思いますm(_ _)m




