第七章 真実と隠された心の叫び(1)
ミリアリアが血を流して意識を失う直前、ジークフリートは必死に声を掛けていた。
「ミリアリア!! 誰か、医者を! 医者を至急連れてこい!! ミリアリアしっかりしてくれ!」
苦しそうな表情の中にもジークフリートを心配する様子が見えて、こんな時でも優しいミリアリアに悲しくなったのだ。
自分のことよりも他の誰かを想う優しいミリアリア。
しかし、ジークフリートとしては、ミリアリアには自身のことをもっと大切にして欲しかったが、その思いが届くことはなかった。
その後、駆けつけた医者の診断結果は、ジークフリートを絶望へと突き落とすものだった。
ミリアリアを診断した医者は、項垂れながらこう言ったのだ。
「王女殿下の容態は、今のところ安定しています。近日中に目を覚まされることでしょう……。しかし、今回の吐血、及び鼻孔からの出血についての原因が分かりません。お体の血を調べせさせていただきましたが、毒物などの反応はございませんでした。今まで、王女殿下を診断していた女医からも、王女殿下に視覚と声帯以外の疾患は無いと、健康そのものだったと……。陛下……申し訳ございません。何としてでも、原因を突き止めて見せます」
そう言って、医師たちはジークフリートに膝を付き頭を垂れたのだった。
ジークフリートは、拳をきつく握りしめてはいたが、それを振るうことはなかった。
ただ、唇をきつく噛みしめて、血を吐き出すように言ったのだ。
「分かった……。必ず突き止めよ」
その後、医師の診断の通り、ミリアリアは目を覚ましたが、ここでもジークフリートの心を引き裂くような事態となっていた。
ミリアリアを心配するジークフリートは、重要な書類にのみ目を通すだけで、あとはセドルに任せて、寝ずにミリアリアの看病をしていたのだ。
夜明けに近い時間になって、ミリアリアの長い睫毛が震えた後に、瞳を開いたのだ。
「ミリアリア! ああ、よかった。目を覚ましてくれて……。どこか苦しい所や痛い所はないか?」
ジークフリートが、ミリアリアの前髪を横に流しながらそう声を掛けてもミリアリアに何の反応もなかったのだ。
不思議に思ったジークフリートは、何度も声を掛けるが、それでもミリアリアは、目を開けただけで何の反応も示さなかったのだ。
「ミリアリア? ミリアリア!! お願いだ、俺の声が聞こえていたら、手を…手を握ってくれ……。お願いだ、ミリアリア」
ジークフリートの出す大声を聞きつけたシューニャが、ミリアリアの異変に気が付きすぐに医者を呼んだのだ。
そして、駆けつけた医師の診断結果は、あまりにも残酷なものだった。




