第六章 欠陥姫と毒花(11)
ミリアリアの満開の笑顔に心を奪われていた二人だったが、ミリアリアが暑そうにワンピースの胸元を扇ぎ風を送る姿を見て我に返ったのだった。
「す…少し、窓を開けて空気の入れ替えをした方がよさそうだな。おい、メイド」
「だな。そんで、お姫様はもう少し着こもうか?」
窓を開ける前にミリアリアに羽織らせていたカーディガンの前をしっかり閉めてから、靴下も履かせた後にシューニャは、窓を開けて空気の入れ替えをしていた。
部屋の中に冷たい空気が入ってきたが、部屋の暑さはマシになっていた。
過ごしやすい温度になったところで、シューニャが淹れたお茶を飲みながらジークフリートは、窓の外に視線を向けてぼそりと言ったのだ。
「ミリアリアが寒い思いをしなくてよかったが、雪が止む気配がないな……」
その言葉を聞いたミリアリアは、ぴったりと寄り添うように身を寄せていた体を離してから、ジークフリートの服を引っ張っていた。
すぐにミリアリアの意図に気が付いたジークフリートは、手を差し出してミリアリアの手のひらに乗せていた。
そんなジークフリートに、頬を薄らと染めてはにかむように微笑んだミリアリアは、ジークフリートの手のひらに指先をゆっくりと走らせたのだった。
ミリアリアの愛らしい笑みに見とれていたジークフリートだったが、すぐに手のひらの指先に集中していた。
「雪、沢山積もる、外、出てみたい……。このまま降り続ければ明日の朝には、ミリアリアの膝くらいまで積もるかもしれないな……。外か……」
ジークフリートが、外に出るのはあまり推奨しないと言った声で呟くと、ミリアリアは、ジークフリートの手をぎゅっと握ってから、口を開いたのだ。
そして、唇の動きでジークフリートに「りーとさま、おねがいです」と、訴えたのだ。
切なそうな表情で、そんなことを言われてしまったジークフリートは、額に手を当てて天井を仰ぎ見ていた。
そして、極めて小さな声で呟いたのだった。
「可愛すぎなんだが……。しかし、外は寒い、ミリアリアが風邪でも引いたら大変だ……。しかし、折角のおねだりを無下にするのは……」
ジークフリートは、少しの間何かを考えた後に、ミリアリアを抱き上げて自分の膝の上に乗せた後に言ったのだ。
「わかった。但し、俺も一緒にだ。それと、十分に着込んで、ほんの少し散歩するだけだ。ミリアリアが少しでも寒そうにしていたら、すぐに部屋に戻って、体を温めてもらう。それでもいいなら」
ジークフリートそう言うと、ミリアリアは、笑顔で唇を動かしたのだ。
(りーとさま、ありがとうございます)




