第四章 皇帝の初恋(2)
調査結果を全て読み終えたジークフリートは、過去の自分の無関心さに腹が立って仕方が無かった。
ミリアリアは、ジークフリートの花嫁候補の一人としてテンペランス帝国に来ていたが、小国の姫ということで雑に扱われた挙句、何故か小屋で住むようになっていたことを知ったからだ。
ジークフリートは、無言で立ち上がり部屋を出ようとしたが、それを見たセドルは慌てて止めに入ったのだ。
時刻はもう数時間で夜明けという時間だったのだ。セドルは、多少早口になりながらもジークフリートを諫める様に言ったのだ。
「陛下、いけません。ミリアリア姫のことが心配なのは分かりますが……」
「…………」
「はい? 今なんと申されたのですか?」
「気安くミリアリアの名を呼ぶな」
そう言って、ジークフリートは、セドルを睨みつけたのだ。それを見たセドルは、一瞬だけ表情を驚きに変えたがすぐに元の表情に戻した後に、咳払いをしてから話を続けたのだ。
「ごほんっ! えーっとですね。メローズ王国の王女殿下のことが心配なのは分かります。ですが、こんな非常識な時間に訪ねたのでは、陛下への心証は最悪なものになると思いますよ。それに、陛下には陽が昇った時間に謁見の予定が入っているのです。すぐにどうこうするのは―――」
次第に説教口調になっていくセドルだったが、ジークフリートは、全く聞いていなかった。いや、正確には、セドルが最初に言った「こんな時間に訪ねたのでは、陛下への心証は最悪なものになる」という言葉しか聞こえていなかったのだ。
本当は今すぐにでも行動したかったジークフリートだったが、確かにこんな時間に訪ねてくる非常識な男をミリアリアがどう思うかと考えると即行動をすることが躊躇われたのだった。
しかし、セドルに下がるように言ったジークフリートは、翌日すぐにでも動けるように眠りには就かず、身支度を整えた後に執務室に向かったのだった。
陽が昇るころには、一通りの書類に目を通し終えたジークフリートは、これで文句はないだろうとミリアリアの元に行こうとしたが、セドルによってそれは阻まれたのだった。
心の底から不機嫌だという顔を隠しもしないジークフリートは、謁見の間に向かうように促したセドルを睨みつけたが、それは一瞬だった。すぐにいつもの表情に戻ったジークフリートは、謁見の間に急ぎ足で向かったのだった。
そして、通常よりも早いペースで謁見を終えたジークフリートは、急ぎ足でミリアリアのいる小屋に向かったのだった。




