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清く 遊郭 美しく  作者: りあもんて
2/11

密入国者と花


鰐真(ガクシン)は先日到着した渡来品をチェックしていた

絹織物に白磁 鉄剣に胡椒 一つ一つを手に取り記入して行く



以前は渡来船から買い付けていたが 鰐真が時間をかけて船乗りたちを口説き

異国で船の製造 船乗りの名前で船を買い付けそのまま自社として取り込んだ

その後優秀な人材を乗船させ自ら高品質の商品を手に入れるルートを確立させたのだ



宗延(ソウエン) 報告書は読んだ この西部の反乱鎮圧を話してしてくれ」

「はい、鰐真さま 西部の丹陽の地を収める蛾雲は優秀な人物ではありました、しかし他人に対して自らと同じ事が出来るのが普通であると疑わぬ方でもありました 石炭採掘の効率化だけを支持してなぜ出来ぬとみなの前で罵倒し設計官吏を労務役にしてしまったのです、官吏は慣れぬ労務を真面目に努め 自らを無能だ無能だと全て自分のせいだと心を病み死んでしまったのです

実際彼の設計は目を見張るものがありほかの官吏達はその者に及ばぬ者ばかりでした 逃げた者も蛾雲は手を回し職につけぬようにしてしまいました 以前から暗殺を企てがあったそうですが その蛾雲はいつも何所を隠し暗殺が出来なかった きっかけは蛾雲がとある官吏の娘を連れて行ってしまったのです 蛾雲は「部下の娘だ丁重に扱う しかと努めよ」 とだけでした しかし偶然が起こります、その娘とその衛兵の妹が友人であり 衛兵も気が付きながらも知らぬふりを通したそうです 衛兵は 紙に炭の棒を包み娘の部屋の隅に隠し置き そして翌日 衛兵はゴミ箱の回収を繰り返していたそうです

ある日その紙には(3日後 丹横門 荷車の樽)と書かれておりました

その3日後娘は門にて保護されそのまま門の占拠が発生して左門右門青門の4つの全ての関所が占拠されたのです そのまま西部反乱に至りました 蛾雲は軍を動かしましたが民衆の信頼もなかったのでしょう 多くの糧秣に毒が盛られ 鎮圧に長い時間を要した一因もありました

現在 参加した官吏一家処刑などの多大な粛清があり 西部の勢いは大きく削がれている状態です


つきましてはこの報告書に書いていない事を申し上げます

官吏の1人ですがうちの者と知己がおりまして、独断でとある官吏一家と接触した可能性があります

内政干渉にあたるのできつく会ってはならぬと叱りましたが 死ぬしか無い者を助けたい責任を取り辞職する 一家を船に乗せてくれと。。。

そう言って辞職届を出したのです 届は正式に受理しつつも

そのような者を乗せる事は許さぬと申し付けました

その後、私は船の番を集め夜中に会議をするように予定表を書き 船底の鉄剣の倉庫に空きを作っただけにございます その後の事は私は知りません 船底の見回りはその辞職をした元船員1人に船賃として業務を押し付けただけにございます ああ 船底見回り船員は4人であると夜食数を指示していたようです うっかり数字のミスをしてしまいました


「その元船員 今後良からぬ事を話す心配はないだろうか?」

「問題無いと確信しております 船底の見回りは私自身が行いましたから」





「その元船員にはしっかり稼げ 辞める事は許さぬと伝えておけ」

「かしこまりました ただいまをもって再就職が認可された事 伝えておきます

念を押して申し上げますが

当船舶は完璧な管理で一切侵入不可能でございます」



「港で言葉の分からぬ異国人一家がいるとたったいま報告が来たようだ どこから来たのか知らんがうちの者なら言葉もわかるだろう、困っているようなら保護するように 能力があるようなら宗延の判断で採用して構わん」


「かしこまりました どこから来たのでしょうか 不思議な事もあるもんですね」








「お婆様ー あの子を私に下さいなー」


初花のその内容よりその物言いに眉間にしわ寄せるが

「名前決めるのも面倒だわ 初、あんたがお決め! あと鰐坊からあの子の分の育花代しっかりと取りな いいね?」

「お婆はあの子の立ち姿を見て買ったんでしょう?」

「お婆さま見る目はいつものとおり 間違い無いです 安売りする娘では無いですねぇ」

と初花はニコリと笑った

当然だと言わんばかりの顔で婆は帳簿に目を下ろして手をシッシと初花を追い払う




翌日、痩せた娘は雪花に連れられ 祇女の部屋の前に座らされた

しかし、雪花が中に入るがそのまま呼ばれる事無く日が高くなってようやく部屋に入るように言われ 正しい所作で部屋に入り そのまま座礼をする


初花は何も言わず 雪花もずっと黙っている

そのまままた日が傾くまで3人は無言だった


かーかーとカラスの声が聞こえてようやく初花が「表を上げて」といった

痩せた娘は 体を起こすと目を腫らしブルブルと震えてる

雪花も涙目でブルブルと震えていた


「今日からあなたを妹として振る舞う事を許します

そしてあなたの名前は 今日から『夏花』(ナツハナ)と名乗ること

私の妹である以上 その振る舞いは私の責に及びます

決して花の名を落とさぬように学びなさい」


「ありがとうございます!」と夏花はまた深く座礼に戻った


初花はプルプル震えながらそーっと立ち上がり言った





「まず、3人でお花摘みに行きましょう。。。」






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