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幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜  作者: 霊鬼
第三章〜剣士は遥かなる頂の前に〜

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2.入試一位

 俺達は揃って図書館に進む。

 どちらかというと図書館には上級生が多い傾向がある。まだ幼い一年生では書物のありがたみが分からないんだと思う。

 本は素晴らしい。人々が解き明かしたことを、作り出したものを多くの人に伝えることができる。

 図書館が身近にあるかないかで、その人の知識には大きな差が出るといっても過言ではない。

 まあ、現代日本にもなってくればあんまり関係ないんだけど。インターネットあるしね。


「……アース、あの図書館の前に立ってるやつ。お前の知り合いか?」


 俺たちは図書館の前で立ち止まる事となる。

 恐らくだが、同学年ぐらいの奴がその前で仁王立ちをしているのだ。

 そして明らかにアースが不機嫌そうな顔をしている。なんらかの関わりがあると考えた方が妥当だろう。


「アルス、今日は駄目な日だ。大人しく帰ろーぜ。」

「は、どういう――」

「ヤバイ、気付かれた! 逃げるぞ!」


 アースはまるで通り魔に出会ったかのように即座に逃げ始める。

 アースに気を取られている内に、背後、つまり図書館の方から魔力を感じた。

 一迅。風が俺とガレウの横を走る。

 恐らくは魔法による身体強化だろうか、その体は明らかに人が出しうる速度を超えて軽々とアースに追いつく。


「逃げるな!」

「うげっ!」


 そしてアースは頭を掴まれ地面に叩きつけられた。そして即座に関節技を決めてアースが逃げれないようにする。

 それは少女だった。

 ヘルメスやアルテミスさんが深い緑色だったのに対し、明るい緑をした長髪が目にとまる。

 なんだろう、この世界の淑女は困ったら暴力を振るって関節を決めろっていう教えがあるのだろうか。ティルーナにもされたんだが。


「なによ、私の顔見るなり逃げるなんて! たった二人の幼馴染でしょうよ!」

「俺様は、こんな野蛮な奴を幼馴染にした覚えは、ない!」

「はぁー? あんたが裁判にかけられたって聞いて心配してたのよ! 学園で中々会えないからわざわざ図書館の前で待ってたっていうのに……!」


 更に体重を乗せ、負荷がかかっていく。

 そこら辺で俺はやっと体を動かし、アースの元へ駆け寄る。ガレウも遅れてついてくる。


「離せ、ギブだギブ!」

「離さないわ、離したら逃げるんでしょ!」

「腕折れるわ! やめろ馬鹿!」


 まあ面白そうなのでそのままほっておいてもいいのだが、本当に辛そうな顔をしているのでやめておこう。俺も経験者だし。


「『沈没』」


 俺は廊下に右手の肘から先を溶かして、アースだけを沈ませる。それに驚いたのか少女は離れる。

 沈ませたら即座にこっちの方に引っ張って浮き上がらせた。


「……こんな感じでいいの?」

「ああ、助かった。本当に便利だな、お前の魔法は。」

「便利なだけだよ。」


 それを見て少女は唖然としてこちらを見る。一人ずつ顔を見た後に、再びこっちに走ってくる。

 アースは反射的に俺の後ろに隠れ、少女は俺の前で足を止めた。


「ねえ、なにさっきの魔法! 見たことないんだけど! 教えて!」


 至近距離で話す声量じゃない。煩い。ティルーナよりめんどくさいかも。

 アースは俺を盾にしながら少し顔を出す。


「初対面相手に名乗らずに質問すんじゃねえよ。貴族なら礼儀ぐらいしっかりとしろ。」

「あら、それもそうね。なら自己紹介するわ!」


 自信満々に、胸に右手を当てて堂々と立ち直す。

 その青の眼は一切の曇りなく、純粋であった。


「四大公爵家が一つ、ヴェルザード家が長女! エルディナ・フォン・ヴェルザードとは私のことよ!」


 エルディナ、そういやアースが言っていたな。

 確か学年一位の才女で、俺にこの学年で唯一並びうる魔導の持ち主。


「ほら、次は貴方達の番よ!」


 ビシィと俺とガレウ、どっちかっていうと俺の方へ指を向ける。

 俺はチラッとガレウを見て、ガレウは溜息を吐きながら少し前に出る。


「初めまして、ガレウ・クローバーです。」

「はい。で、貴方は?」

「アルス・ウァクラートです。フィルラーナ様の騎士をやっております。」


 俺は略式の礼をする。握った右拳を軽く胸に当て礼を取るという、簡単な礼の仕方だ。


「フィルの騎士なのね。なら敬語は要らないわ。親友の騎士なら私の友達のようなものだもの!」

「いえ、流石にそれは……」

 

 基本、目上の人には敬語で話していたい。本人は良くても周りの目が怖いからな。

 アースは例外だ。方向性が似ているし、性格からして本当に嫌がるタイプだろうし。


「別にいいぜアルス。そいつは馬鹿だ。正確に言うなら勉強はできるが、会話ができないタイプのな!」


 そうこう考えていると、アースがそんな煽り台詞をエルディナ様へと吐いた。


「アース、喧嘩を売ってるのかしら。それならいつでも買うけど?」

「ほら見ろあの顔を。暴力以外の解決手段を見出していない。これを馬鹿と言わずになんという!」

「わかったわ! そんなに燃やされたいなら表に出なさい!」

「だからやらねーて言ってんだろーが! 勝てない戦いをするのは馬鹿がやる事だ!」


 俺とガレウを蚊帳の外にして二人は話を続けていく。

 俺を間に挟んで会話をするのはやめてほしい。


「ああ、もう! アースと話してると頭がおかしくなるわ!」

「煩い野蛮な女め! もう少し淑女としての心持ちを身につけるんだな!」

「そこまで話せるのならもう大丈夫そうね! なんか前会った時より元気そうだし!」


 できればもう少し落ち着いて会話してほしい。耳がおかしくなりそう。

 マジでうるさいんだよ二人とも。


「それで、貴方のさっきの魔法はなんなの? 私見た事ないんだけど。」


 突然と、エルディナ様の質問がこっちへと飛んだ。


「ああ……まあ私の希少属性みたいなものでして。」

「ふーん、こんな希少属性もあるのね。じゃあ私は使えないのか、残念。」


 そう言って目に見えてしょぼくれる。

 純粋な性格なのだろう。喜怒哀楽が分かりやすいぐらい顔に出てくる。


「まあ、だけどこれで退屈しなさそうね。」

「……? どういう事ですか?」

「ほら、七月に大会があるでしょう? このままいけば私が優勝するなんて目に見えてたから。」


 そうこともなげに言った。

 それは決して傲慢ではない。これまでの経験と確かな感覚で言っている。実力に裏付けされた自信に他ならない。


「その魔力量は私が今まで見てきた中でトップクラスに高い。それだけでも間違いなく強いというのは分かるわ。」

「……魔力を漏らしたつもりはなかったんですがね。」


 魔法使いは自分の魔力総量を悟られないために魔力を体内に留める。

 だからこそ他者が自分の魔力量を見抜くというのは、それすらも関係ないほどの目を持っているか、特殊な力があるか。


「大会であなたの魔法が見れるのが楽しみだわ。それじゃあまた会いましょうね。」


 エルディナ様はそう言って嵐のように去っていった。

エルディナは天真爛漫。

ティルーナは言葉遣いが丁寧だけど教信者。

フィルラーナは理知的でクールな女の子。


そういうイメージで書いてる。

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