本編(重要部分のみ抜粋)
《十代目勇者》
後に十大英雄の一人と数えられる英雄であるが、ここまでの話を見て分かる通り彼の話は伝聞の要素が大きい。
確実な文書としての記録は、冒険者の登録と国立グレゼリオン学園(現在の第一学園のこと。当時は戦闘学部という戦士を育成する部門が存在した。)への入学したという記録しかない。
彼が歴史の表舞台に出てきたのは王国歴2999年。精霊界に封印されていた今は失われし聖剣を引き抜いたところから始まる。
今はなきオルゼイ帝国の七つの騎士団。その七つの騎士団の筆頭騎士団長であり、『英雄王』ジン・アルカッセルの友であったシンヤ・カンザキ。
本来なら彼が精霊界に赴き、聖剣を引き抜いて十代目勇者となるはずだった。
これは後の調査で判明したことだ。
その護衛としてジン・アルカッセルは同行していたのだが、その時に精霊界は襲撃された。
アグレイシア教という邪神信仰の宗教団体が大人数で精霊界を襲い、聖剣を破壊しにかかったのだ。
その時に、ジン・アルカッセルは追い詰められ、聖剣を抜く事を選んだ。
無論何の功績も残しておらず、決して褒められた性格でもなかった彼は聖剣に拒絶された。
しかし彼は聖剣を無理矢理引き抜いた。
そして彼が、十代目の勇者となったのだ。
当初は予定になかった出来事としてこの事実は伏せられていた。
彼は誰にも認められなかったが、自分自身の力だけで英雄の座を掴み取ったのだ。
《邪神復活》
アグレイシア教は古の時代、創造神と精霊王に封印された破壊神を蘇らせる事を画策していた。
その計画はついに実現し、グレゼリオン王国の王都の上空にて破壊神は復活を果たした。
破壊神は世界の全てに対して宣戦布告を行い、全てを滅ぼすと宣言したとされている。
それを止めにかかったのが『勇者』ジン・アルカッセルとその仲間達であった。
しかし破壊神の力は圧倒的で、勇者達はいとも容易く敗れる事となった。
そこに現れたのが、ジン・アルカッセルの父。グラド・ヴィオーガーであった。
彼はその命を犠牲にして、破壊神の命を大きく削った。
これによって星の滅亡を遠ざけさせた。
後に続く英雄が完全に破壊神を滅ぼしてくれると信じて。
グラド・ヴィオーガーはその功績からか、『戦神』として神の一柱としてその名を刻んでいる。
教会も正式に彼を神と認めており、武術を志す者なら彼を知らぬ者はいないだろう。
《邪神戦争》
別名、最終神話戦争。神との決別の戦い。破壊神と人類の戦い。
破壊神によってグレゼリオン王国以外の全ての国家が崩壊。
破壊神率いる七十二柱を筆頭とする悪魔達によって人類は窮地に立たされた。
しかしこの世が残っているという事から分かる通り、英雄達は立ち上がった。
この時に立ち上がった主な七人の英雄を『七星』と呼び、特別な英雄として数えられている。
『勇者』ジン・アルカッセル
『剣姫』シルフェード・フォン・ファルクラム
『覇王』エース・フォン・グレゼリオン
『神眼』アクト・ラス
『魔王』シンヤ・カンザキ
『天童』フィーノ・ヴァグノ
『神匠』クラウスター・グリル
この七人は冥界から過去の英雄を引き連れ、破壊神を討ち滅ぼした。
この功績からかエース・フォン・グレゼリオンとジン・アルカッセルは十大英雄に名を列ねる事となった。
これが、『英雄王』ジン・アルカッセルの成り立ちである。
《ジン・アルカッセル》
ジン・アルカッセルにはいくつもの通り名がある。
十大英雄としての『英雄王』の称号。
最後の勇者としての『十代目勇者』の称号。
破壊神を打ち倒した『七星』の一人という称号。
グレぜリオン王国総騎士団長という肩書。
『最強の剣士』という二つ名。
彼は時代の中核を担った人物であり、最も知られている英雄の名に相応しい功績を残した。
彼を知らずには歴史を語る事はできない。しかし、彼自身の事となれば途端に情報が減る。
それを解明させていくのが、我々考古学者の仕事であるのだ。
次話から第三章となります。構想を練るのに少し時間がかかるので少し投稿は遅れます。ご容赦ください。
あなたにとって勝利とはなにか。なんのために争い、頂点を目指すのか。
それは夢を見た先にある話。夢見るからこそ目指す頂、何故そこへ向かうのか。それを問う物語。
第三章『剣士は遥かなる頂の前に』
どうかお待ちくださいませ。




