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1.私の味方の妖精さん

「赤ちゃんの背中に羽が生えててね、ふわふわ飛んでるのー。」

まだ小さかった私が言った時、お母さまはとても驚いた顔をした後で、優しく微笑んだ。


「それは、他の人には見えないから、誰にも言ってはダメよ。」

「誰にも?」

「特別な力は、あなたを守ってくれるとても強い味方にもなるけれど、あなたを利用したり、傷つけたりするきっかけにもなるの。

だから、いつか、妖精の愛し子だからではなく、マーガレットを見つめて、愛してくれる人が現れるまでは、お母さまとの秘密にしましょう。」


その時はお母さまの言葉の意味がよく分からなかったけれど、私はその言葉をずっと覚えていた。

10歳の時にお母さまが亡くなって、1年もしないうちにお父様が新しい母親と、私と1つしか年の違わない義理の妹のシンシアを連れて来た時も。

義母に、背中を物差しで叩かれるようになっても、シンシアが「お姉さまばっかりたくさん持っていてずるい」と、私の部屋からドレスや宝石を持ち出すようになっても。

私はずっとずっとお母さまの言葉を覚えていた。


『マーガレット、だいじょうぶー?』

『治してあげるー』

『痛いのはあいつらに飛ばしてやろう』

妖精さん達はいつも私の側にいてくれた。

人の寿命は変えられない彼らは、それでも病気で苦しむお母さまの痛みを最期まで柔らかくしてくれたし、義母に傷つけられた私の背中をいつも癒してくれていた。


『くっきー、しょこら、みんと、いつもありがとう。』

『この家の人みんなきらいー』

『僕もーみんなマーガレットにひどいことするー』

『あいつら顔中虫さされにしてやろう』

『でも、痛いのは皆が癒してくれるし、お母さまの形見のブローチを盗られないように守ってくれてるでしょ?だから大丈夫よ。』


妖精さん達がいなかったら、私はこの家で、寂しくて、苦しくて、悲しくて、絶望して、想像もしたくないけど、とても酷いことになっていたんだろうなと思う。

お母さまの言っていた通り妖精さん達は私を守ってくれるとても強い味方になった。


『マーガレットの髪をわざとひっぱるメイドもきらいー』

『マーガレットの部屋から時々宝石とか持ってってるー』

『坊主にしてやろう』

えっ?義母の指示で私の部屋にはメイドも来ないから掃除も着替えもいつも自分でやっている。だけど、たまにメイド長が髪を整えてくれて不思議に思っていたのだけど、やっぱりただの嫌がらせだったのね。どおりで痛いと思っていたわ。

いえ、それよりもしょこらの言葉よ。

『メイド長が私の部屋から宝石とか持っていっているの?お義母さまの指示かしら?』

『ちがうー売ってたー』

『たまに持ってってるよー』

『宝石で急所を打ち付けてやろう』

いつもシンシアに何かしら盗られてるから、まさかメイド長も紛れて盗んでいるなんて気づいてなかったわ。

これって公爵家のメイドとしてあるまじき行為だし、お父様にお伝えすべきよね。

でも・・・。私は、優しい目で義母とシンシアを見つめた後で、私を見た時のお父様の氷のように冷たい目を思い出した。

信じてもらえないどころか、嘘をついたと罰を与えられて終わりね。


『料理長もきらいー』

『わざとマーガレットにだけ苦い草入れてるー』

『料理長も粕漬けにしてやろう』

えっ?やっぱりあれも嫌がらせだったの?

すごい苦いのに、皆は普通の顔して食べているなと思ってたのよね。

料理長がお料理下手なのかもとも疑ってたんだけど、そんなわけないわよね。

『でもあの草すっごく体にいいよー』

『人間は気づいてないけど、体にいいよー』

『苦みだけ料理長に流し込んでやろう』

そうなの?確かに体の調子は良いなと思っていたのよね。いえ、そういう問題じゃないけど。


今まで知らなかった嫌がらせの数々を一気に知らされて、気が遠くなりかけた私は、

『あとね、あとねー』

と、まだまだ続けそうなくっきーを見て遠い目になった。

妖精さんは、私の強い味方、よね?


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― 新着の感想 ―
あの日の夕食は、よく覚えている。 味噌汁がちょっとしょっぱくて、「次は味噌を少なめにしよう」って心の中で思った。 彼は少し遅れて帰ってきたけど、特に何も聞かなかった。 「最近は会社が忙しいから」と、彼…
[一言] 身体にいいは草
[気になる点] 設定がベタだけど色々おかしい。 公爵家は王族で王位継承権もあるので、そんな事をすればお家取り潰しからの一族郎党処刑です。
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