表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白い鳥  作者: いしい皐
1/1

第五話

やっと、五話です。四話から大分間があいてしまいまして、すみません。

言い訳かもしれませんが、ノートに十話の第一稿を書いてました!十話あたりから冒険ファンタジーぽくなります

ファルミリアがジェリドにつれ来られた部屋は、女王のこと謁見の間のようであった。しかし、その部屋は女王が使っているにしては、あまりにも殺風景であった。

女王の護衛に付いている女兵士達の殺伐とした様子からして、砂漠の民の性格がうかがわれる。

王座の前にファルミリアが跪くと、女王エリアの無表情な目が一瞬、冷たく光ったような感じがした。そして、ファルミリアを確認したというように、ゆっくりとその丸い頭を縦に振り、ジェリドに部屋を出るように合図をした。

その堂々たる女王の威厳に満ちた仕草に、ファルミリアは、ある種の冷酷さを感じずにはいられなかった。

それは女王エリアの身分や育ちから来た性格からではなく、何か邪悪なものが、彼女のまわりを取り巻いているような、そんな空気の匂いがあった。

巫女として、物心がついたころから、修行をして来たファルミリアには、それを直ぐに感じ取ることが出来たのである。

最初に口を切ったのは女王エリアだった。

「お前か、アーシアの巫女というのは―」

だが、ファルミリアは答えられなかった。何か見えない力が彼女の身体を押さえつけ、声すら発することが出来なかった。

「答えよ、女王の命令だ!」

側近が促した。

しかし、ファルミリアが必死に声を出そうとすればするほど、見えない力が強くなっていくのであった。

「アーシアよ、ご加護を…」

彼女は心の中で祈った。

「アーシアなど、所詮、偶像よ。

いくら祈ったところで、なんの助けも寄越しはしない」

女王エリアの無表情の丸い目が冷たく笑った。

ファルミリアにはその言葉に一瞬戸惑った。

「読まれている。

女王エリアには私の考えていることが全て分かってしまう」

ファルミリアは心の中で祈り続けた。

「そんなにアーシアを信じているのなら、妾のこれから言う事を良くお聞き。そして、助けてもらうのね。7日後、陽の沈む少し前、「平原の民」の所へ、妾は、妾の兵を送る。冬を越すための食料をいただきにね

さぁ、アーシアはお前たちの仲良しのお友達を助けてくれるかしらね」

ファルミリアはその言葉に目を見開き震えた.

そして、

「女王エリア、

何のために、そのようなことを……」

「なに!」

ファルミリアは見えない力を打ち破ったのであった。そして、女王エリアは先ほどまでの落ち着きとはうってかわって、いらただしそうに、ファルミリアを牢屋に戻すように、兵士に言いつけるのであった。


月は天中にまで差し掛かろうとしていた。

その光は、まるで真昼のように明るく辺りを照らしていたが、陽の光と異なり、刺すように冷たかった。

マリオンは怪我人たちが寝かされている広間の隅で、ジギアス達親子と共に横になっていたが、疲れているはずなのに、寝付かれないでいた。

横を見ると、ジギアスが人の良さそうな母親の腕にもたれながら、ぐっすりと眠っていた。

「さっき、中途半端に寝たからかなぁ」

目だけ動かして、周りを見回すと、白い衣を着た巫女が一人、小さな灯をともして広間を歩いている。

マリオンは先程の幻影を思い出し、ギクッとして、起き上がった。

「傷が痛むのですか?」

突然起き上がった彼を、怪我人だと思った巫女は優しい静かな声で話しかけて来た。

「いえ、

眠れなくて……それより、巫女様はどうしたのですか?」

巫女は優しく微笑んだ。彼女たちは交代で怪我人の看護をしていたのだ。

その話を聞くと、マリオンは目が冴えて寝付けないので、自分も手伝うといい、巫女について廻ることにした。

そして、ちょうど二人がある扉の前を通ったとき、ふと、マリオンは歩を止めた。

―誰かが、とても悲しんでいる―

そう感じたのだ。

扉に向かって一礼をして、先に進もうとする巫女にマリオンは言った。

「巫女様、この扉はなんですか?」

手摺りがついただけで、壁のない廊下に月の光が差し込んでいた。

マリオンかここで見た他のとこより優に二倍の高さはあるこの扉には、他には見られない美しい装飾がしてあった。

扉だけでなく、その前の手摺りや柱にも、草や花、生き物をモチーフにした装飾がしてあった。

マリオンの前を歩いていた巫女は振り向いて答えた。

「ここには、アーシア神が祀られているのです」

マリオンはその扉をじっと見つめた。

「アーシア神が…」

そう言うと、マリオンはその扉にゆっくりと近づいて行った。

―感じる。

やっぱり、誰かが悲しんでいる―

扉の前に導かれるように歩いて行くと、巫女が扉を開けてくれた。

マリオンが驚いたように、彼女の顔を見ると、彼女は優しく頷いて言った。

「この世に生きる全てのものは等しくアーシアで子です」

「山岳の民」の神殿に祀られているアーシア神像はマリオンが海の底で、いつも見ていた「水の民」のアーシア神像と全く見た感じは違っていた。

「山岳の民」のアーシア神像は、女性の姿をしていて、両の手を優しく前へ伸ばし、全てのものを受け入れようという姿は「水の民」のアーシア神像と同じだが、下半身は異なり……「水の民」のアーシア神像は腰から下は魚の尾のそれであるのだから無理もないが……二本の足がある。

しかし、マリオンが一番驚いたのは、アーシア神像の背にある双の翼が大きく包み込むように広げられていることであった。


そこには万物の母の姿があった。

悪い偶然が重なり、一族の仲間と一人離れ離れになってしまったマリオンは知らぬ間に、アーシア神像を見ながら、泪を流していた。

じっと、少年の様子を見守っていた巫女は、ふと、その部屋の奥に灯も灯さずに誰かが居るのに気が付き、声を掛けた。

「誰か居るのですか?」

その人物は振り返り、二人の方へ近づいて来た。巫女は灯をその人物の方へかざした。

「驚かせてしまったかな?」

巫女の手の小さな灯に照らし出されたのは、エクセリオンの姿だった。

「眠れなくてな。

神殿の中をあちらこちら見回っているうちに、ここに来てしまった」

ふと、エクセリオンは、巫女の後でマリオンがじっと自分を見つめているのに気付いた。

「どうした?」

「エクセリオン様だったのですか?」

と、呟いた。

マリオンは、あの悲しみに満ちた強い思念がエクセリオンからのものだと思ったのだ。

しかし、エクセリオンから目を逸らし、アーシア神像を見たとき、マリオンは息を飲んだ。

「アーシアが……」

その言葉につられて、エクセリオンと巫女も、アーシア神像の方を見たが、その異変を理解出来たのは、エクセリオンだけであった。

「アーシア神がどうかしたのですか?」

巫女はアーシア神像を見て唖然としている二人に尋ねた。

「アーシア神が泪を流している……」

マリオンは答えた。

巫女は再びアーシア神像に灯をかざして見たが、何も変わったところはなかった。そして・何度も二人とアーシア神像を見比べてみるのであった。



ラスボスのエリアを無事出すことが出来、一息です。マリオンにも不思議な力があるのもわかりました

これからが書いてて楽しみです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ