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冥界の扉と鍵

 真由と照彦は、有沙の家の蔵を漁り、鍵を探していた。蔵の中は常に薄暗く、湿っぽい。一階も屋根裏部屋も箱で一杯になっていて、蜘蛛の巣や埃を被っている。箱の中身をよく見ると、古い兜のようなものもあった。

「しかし、何処にもないなぁ…」

「面白い蔵だね、有沙姉ちゃん」

有沙は呆れた顔で二人を見つめた。

「ガラクタばっかりなのによ」

「でも、さっき大っきな霊晶石見つけたんだよ!」

「えっ、ホントに?!」

照彦は奥の部屋から身長の半分程の大きな水晶の塊を持ってきた。

「もしかして、ここには冥界の貴重なものがあるかも知れない!」

「行こう!」

真由と照彦は走って蔵の奥の方へ行ってしまった。

「ちょっと待って!奥には兵太夫の生首が!」

「生首ってこれの事?」

物陰に入った照彦が、ヒョイっと桶の中から出したのは、白骨化した頭蓋骨だった。有沙はそれを見て悲鳴を上げた。

「ひぃぃっ!だ、出さないでよ!祟るかも知れないでしょっ?!」

「何も感じないけど?」

照彦は頭蓋骨に何か愛着をもったのか、それを撫でて桶の中に戻した。

「ちょっとあんた…、そういうの怖くないの?」

「怖くないよ?」

「何で二人揃って恐れを知らないのか…やれやれ」

有沙は二人の事を眺めているだけで、鍵を探そうとはしない。

「私、冥界の鍵とは一言も言ってないからね」

「あった〜!」

真由が何処からともなく埃を被った状態で出てきた。

「もしかしてこれ?」

真由がそう言って取り出したのは、銅で出来た古い鍵だった。鍵には飾りの紐が着いており、腰から下げる事が出来る。

「これだよ!ひいひいおじいちゃんが持ってるのと同じだ!もしかしたらこれで、門の扉が開くかも知れない!」

「でも、真由姉ちゃん、場所知ってるの?」

「そうだった…」

「場所なら一つ俺が知ってるよ、案内しよっか」

「本当に?!ありがとう!」

照彦は二人に向かって微笑むと、家から出て山の方に向かった。


 青波台にある北側には小高い山、白部山がある。真由と有沙は照彦に連れられ、山を登っていった。

「ねぇ…、流れで普通に付いて行ってるけどさぁ、冥界って旅行感覚で行くような所じゃないよね?!」

「まぁ、普通はね」

「生きてる人間が冥界に行っていいものなの?!」

「まぁ…、付き添いもあるし別に良いんじゃない?」

「こいつらが…、付き添い…」

有沙は真由と照彦の顔を交互に見て、呆れた顔をした。

「いや、信用ならん…、全く、私が死んだら二人の責任だからね?!」

「大丈夫だって」

三人がしばらく歩いていると、山の中腹に、奇妙な形の靄があった。

「冥界の入り口は魂が昇るとされる所にあるんだ、だいたいは山とか海にあったりするけど…、それか無い場所は、その地にとって特別な場所にあったりする。」

「死出山はどうなの?」

「魂は、死んだ場所から近い入り口から、冥道がある死出山や海を通って冥界に昇るんだ。普通の山じゃ、冥界までは行けないからね。門は主に死神が使ってるよ。冥道を通れば、何処でも行けるんだ。そうして現世で仕事をしてるんだよ」

「詳しいね、死神の事情について」

有沙は分からないはずなのにそんな事を言った。

「って、父さんが言ってただけだけどね?」

「叔父さん、色々教えすぎ…」

真由はため息を吐いて靄を眺めた。

「それで、この靄は何なの?」

「あ、そうだった」

照彦は、靄を見て鎌を取り出した。

「この鎌で靄を斬れば、門が現れるはず!」

照彦は鎌を靄に向かって振りかざすと、靄が形を変え、重々しい扉が現れた。

「これが門だよ」

照彦は鍵を取り出して鍵穴に挿した。すると、重々しい扉が開き、先が光って見える。

「二人とも、行こう」

照彦は二人の先に立つと、一気に扉の向こうへと走って行った。


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