警官
はじめまして
今回初めて投稿させていただきました。
素人ながら、稚拙な文章で誠に申し訳無いのですが勇気を振り絞って投稿させていただきました。
テーマは殺人鬼と王様です。
よろしくお願い致します。
第1話
警官
魔法と科学が融合したこの文明には、破壊の限りを尽くした魔王と呼ばれる一匹のライオンがいた。
そのライオンは、魔法を持って栄華を極め人々に恐れられていた。
だが、魔王の支配から数年、世間を賑わす大ニュースが世界中へ渡る。
「魔王が…死んだ!?」
「まじか、あの魔王が死にやがった!!」
「これで世界は平和になる!!」
誰もが歓喜したその大ニュースとは裏腹にある疑念が人々の脳裏をよぎる
「誰が倒したんだ?死因はなんだ?」
そう。どのテレビどの新聞を見ても、魔王の死因が書かれていない。状態異常耐性、毒耐性、呪術無効の能力がある魔王が病気になるとは考えにくい。また、能力的にも人を軽く凌駕してしまう魔王が誰かに殺されたとは思えない。故に人々は魔王の死に対して疑念を抱く。
だがその関心も徐々に風化していく。何故なら、魔王が生前に懸念していたある開発に注目が集まったからだ。
2年後それらは開発された
人間のLV化
AIと魂の融合
これらが魔王の死後、2年で開発された。
魔王が懸念していた開発、それは不死である。
LV化とは人間の素質、才能そのものを他者の経験値により、底上げするシステムである。
簡単に言えば、魔力を持つモンスターを殺す事により、その魔力を吸収できるようになる。
その吸収した魔力は人間の肉体を急激に活性化させ、結果、肉体が才能以上の能力を得る事ができるようになる。
つまり、肉体面で人間は他生物を殺し続ける限り、衰えることがなく、ある意味の不死、不老を手に入れた。
だが、重大な問題点が浮かび上がる。それは肉体面の異常な活性化による負荷を脳がダイレクトに受けてしまうため、脳障害が起こる可能性が極めて高いと言うものだ。
簡単に説明すると、人間の筋力と技術の向上に必要なものは、理解力と慣れである、それらは全て筋肉が経験した事を脳に情報伝達する事で脳が発達し慣れになる、そして記憶の断片で得た経験は理解力につながる、故に脳へ送られるはずの情報以上に体が活性化する事で脳の容量を超えオーバーヒートしてしまう。だから、脳が受け止めきれないのだ。
つまり、活性化による脳の負担が問題なのである。
だから人間はAIと魂の融合を実現させた。それは、AIの超高性能情報整理により、脳の負担を肩代わりさせ、活性化による脳のオーバーヒートを解決した。
つまり、人間は形ある不死を手に入れたのだ。
故に世界は平和にならなかった。
何故なら、レベルに支配されたこの文明で誰もがレベル上げに固執したからだ。その結果、殺人が絶えず、戦争が激化し多くの獣が殺された。
だから、私のような殺人鬼がいても何ら不思議ではない。
「…ふふっ、今日は、満月ね」
世間では、低レベルの者をかくまう施設が建設された。
高レベル者による殺人が相次いだからだ。
本来、モンスターを駆除する事が目的であるレベル化が殺人の動機として使われるようになった。
パンッ!!!銃声が鳴り響く
「止まれ!!!止まるだ!!」
銃声による警告に対して私は立ち止まった
「月浪ロウナだな…多数の殺人の罪でお前を逮捕する!」
「…ふふっ」
銃口を向ける警察に対して私は失笑してしまった
「な、何がおかしい!!」
「捕まえる相手を間違えてないかしら?多数の殺人を犯してるのはあなたじゃないの?レベル12のおまわりさん」
「なっ!!」
レベルが二桁を超えているものは大概殺人を犯している。何故なら、獣だけを討伐したところで得られる経験値はたかがしれているからだ
「何故俺のレベルを!?」
「まぁ、その程度のレベルで私を殺せるわけないけど」
「クソっ!撃て!」
数発の弾丸が私の体めがけて飛んでくる
そして数発の弾丸が私の体に命中した
「あっはははははは、痛い痛い」
「ば、化け物かてめーは!!?」
「ふふっ悪くないわね、その表情」
「くっクソ!天に轟く雷鳴よ地に降り注ぐ落雷とかせ!」
警官が魔法の詠唱を唱えた
すると落雷が私に向かって落ちてきた
ロウナ「ぁぁぁぁぁ…」
警官「どうだ!!」
ロウナ「ぁぁぁぁ気持ちいい、それ」
電気マッサージに似ている
少し刺激が強かったが…
警官「ふ、ふざけるなっ!!!お前!!自分の為にどれだけの命を犠牲にしたんだ!!!」
ロウナ「まぁ、…………覚えきれないですかね」
警官「ふざけんなっ!!!なんでっ!!そんな、簡単に覚えていないなんて言えるんだよ!!」
レベル化を導入し一ヶ月が経った頃、その警官は両親と妹を殺された。犯人を突き止めた警官は、その反抗理由を聞き驚愕する。それは「レベルを上げてアニメやゲームの様に無双したかったから」という馬鹿みたいな理由だったからだ。そして警官は弟を撃ち殺した。
弟を殺したことにより、家族全員の力が警官に宿っている。故に彼のレベルは二桁を超えている。そして彼は、自らの力で弟の様な殺人鬼による殺人をこれ以上増やさないと心に決めた。
だが、その力でさえ、彼女の前では微々たるものでしかない
だから、彼女に対し警官は問いかけた。数多の殺人を犯しレベルを上げ、その実何故、殺した者を覚えていないのかを。
「ふんっ。」
「俺は、お前の様なやつを見ると吐き気がする。自分のために人を殺す奴はどうしようもないクズだ!」
「ん?何か訳ありみたいですね…」
「だまれっ!!!」
「優しくしてるのに、なんて奴だ。」
「もういい!お前の戯言に付き合う気はない!!!」
「そうですか…それでは」
プスっ
「おい!まちや…」
警官は首元への違和感とともに視界がずれ落ちる。
「が…れ」
警官の首が落ちた
「………逆に聞きますけど、あなたは自分の食料、レベル、都合の為に殺されたモンスターをいちいち覚えていますか?私から見ればそれと同じです。殺人なんて」
滴り落ちる見慣れた光景をよそに、経験値が加算されレベルが上がった。
「ご馳走座でした」
AIの超高性能情報処理により、頭の中でウィンドが表示される
月浪ロウナ
レベル93
HP3000
攻撃力3780
防御力4500
魔力6750
速度5120
種族 人狼
一話完