ドラゴンとウルズとネバー
「あれがドラコンか!」
進んでいくとまだ遠くであるが
広々とした
場所にドラコンの姿を発見。
「フリード、
ここは先制攻撃だよ!」
「そうだな。
魔法を放ったらあの
岩に隠れるぞ。」
指差すのは俺の腰まである
高さの岩。
「了解。
・・・ハァ!」
上級光輝魔法
【絶対なる輝き砲撃】
掌から魔方陣展開して
巨大な光の砲撃を放つ。
そして駆け、岩に身を潜める。
魔法の命中した轟音が聞こえる。
「ォォォォ――」
ドラコンの咆哮は、小さいが
こんな距離まで届くほど
音量。
それなりに脅威と判断した。
しばらく時間が経過して
白鵺の方に向き頷く。
そして出てお互い攻撃を
構える。
「はぁっ!」
「いけぇーー!」
シャニングカノンを放つ白鵺
俺は、武器屋で購入した
廉価の剣で投擲。
シャニングカノンを竜の胸部に
命中するが微動だにしない
そして投擲した剣は、
鱗に弾き
竜の足元の地面に突き刺し
あまりにも頑丈な鱗に竜は
微動だも次の攻撃を伺っている
のが伝わる。
そしてお互いの攻撃が通じないと
なれば
物理的、魔法にも強いようだ。
(まさかこの50メートル
距離が仇になったか。)
なら、投擲の威力を最も発揮できる
ように近づくしかない。
「白鵺、接近する!」
「了解。」
即事に判断したら走る。
竜は、進行を妨げるため
焔のブレスを放つ。
「「【纏う緋色の膜】」」
爆焔中級防壁魔法。
纏う緋色の膜は、
使用者の身体に緋色を包み
ある程度の魔法の攻撃を
防げる。
その防壁魔法をドラゴンのブレスを
防ぐのではなく
避けた後の熱量を防ぐため。
避けるとすぐに速度を上げ
俺は、懐から短剣を投擲。
しかし体に命中しても
弾かれ地面に転がっていく。
だが投擲は、意識をそちらに
逸らすためで
その一瞬にドラゴンがいる
広い場所にに足を入ると
すぐ隣の白鵺に人指しを右に
さし合図。
俺は右の方向で
左は白鵺に動く。
指をさしたほうが
自分の移動する方角と一緒に
旅をするようになってから
簡単な合図を決めていた。
(やはり、ドラゴンになると
翻弄されるようなことないか。)
二人が左右で動けば
ある程度翻弄され今までは
それで上手くいたが
動揺などせず
前向きのままでドラゴンは
後ろに下がっていく。
失敗した場合には
挟撃。
挟み撃ちで相手がどちらか
視線を向けば
後ろを見せた相手に
必殺の一撃で倒していく作戦。
白鵺と同じタイミングで動く。
ドラゴンは、後ろ下がっていくが
奥の壁に当たり
これ以上移動、出来ずに
追い詰める形になった。
「フリード、
チャンス!」
「投擲で援護!」
「うん。」
必要な部分だけ
省いた言葉で次の攻撃を
迅速に決めて実行する。
この短いセリフで
実行する言葉には
、自分が行うと二人で決めていた。
つまり投擲で援護は
言った俺が投擲する。
白鵺は、吶喊。
俺は安い武器で投擲していく。
「はああぁぁぁ!」
白鵺の刀身に焔が纏う。
纏ったのは、爆炎魔法を
心中で詠唱したのだ。
そして、掛け声と共に
袈裟斬り、
そして、逆袈裟斬り、
その勢いのまま
剣は上に掲げ両手に力を込めて
大上段斬り。
降り下ろされた剣は
ドラゴンの身体を貫きそして
爆発が起きる。
その爆炎は、白鵺を包むのだった。
煙の中から人影が上から飛び
俺の隣に着地。
「ふぅー、この技なら
あの頑丈なドラゴンでも
無事ではないはず。」
「流石は白鵺。
当たり前のように
危険な技を使うなって
前にも俺、言った気がするの
だけど!」
白鵺は、少しムッと唸り
頬を膨らませ軽く睨んでくる。
「そんなの何度も使い慣れて
いるし、前はもおぉーーと!
危険な技だって
使っていたし、
それに戦闘なんだから
危険は当然すぎない!」
命のやり取りに危険なんて
当たり前なのは
俺も重々に理解しているが
それでも自分の身を大事に
してほしいと
俺は思っている。
勝手な旅に勝手に付いてきた
この相棒を傷つけたくなんて
ない!
「俺がいるんだから
もっと頼れよ!
白鵺の脳筋バカ!」
「な、なんだとぉ・・・
わたしは、バカじゃないしぃ!
女神を追いかけるフリードが
バカでその想いを少しでも
わたしに向けろ!
この童貞!!」
「ふん!
またも変な事を言っているぞ!」
白鵺は、いつも俺にだけ
怒ると変な発言を
時々してくる。
例えば好きになれえぇ!とか、
このセリフで勘づかないなんて
悪魔も神もドン引きな
鈍さだよぉぉ!などなど、
・・・いや、その前に
止めるはずが
なぜかいつもの喧嘩に
発展している。
少し俺は深呼吸して
落ち着かせようとする。
今は、なぜか憤激している
白鵺に怒らないように
気を付けて言葉を選び
伝えるように今度こそは、する。
「俺の大事な相棒なんだから
怪我なんてしてほしくない
のは・・・身勝手なのは
分かるけど。
なんて言うか違うだろ。
俺達は、心を通わせた
唯一の存在だって
俺は思っているいるんだ!」
「唯一の存在・・・」
白鵺は、目を見開き
驚いているもよう。
白鵺は、何かを発して
するが上から鉤爪で
俺達を切り裂こうとするのを
気配で気づきジャンプして
避ける。
「マサカ・・・我ノ前デ
痴話喧嘩スルトハ・・・悠久ノ記憶ノナカデ
コンナ滑稽ナ光景ヲミレルトハナ
クッククク。」
ドラゴンは、厳かな声で
俺達のいつもの喧嘩に
笑っていた。
いや、そんなことより・・・
「まさか、あの竜は人語で
喋ってるとは!?」
「そう・・だね。
いや、そんなことより
わたし達の事を
痴話喧嘩だって言ったよ。」
なぜ嬉しそうなのか
理解できない。
いや、竜が人の言葉で喋るのは
竜の中では、最も知的を持ち
森羅万象の事象を見据えていると
文献や小説などしか
ないと一蹴している伝説の
最上位の竜がいるのだから
驚いて、当然だろう。
俺も驚いているが
文献の記されているのでは、
あまりにも曖昧なので
森羅万象云々はまったく
信じていないし
最上位だとも思っていない。
「白鵺、感激している所
わるいが今は
ドラゴン戦闘中だ。」
はっ!
っと目を覚まし剣を構え
白鵺は、訊ねる。
「ねぇ、ドラゴンさん。
言葉が通じるなら
訊きたいのだけど
ここに女神さんとかいない?」
ドラゴンの表情を伺おうにも
どんな表情なのか分からない。
声音などでどんな感情なのか
推測するしかない。
「汝ラハ、
女神ニ会ッテ、ドウスルノダ?」
白鵺は、俺に振り返り
それを答えるのは貴方よね。
そう、目で語っていた。
短めにそして、明確に伝わるように
言葉を選んで返事する。
「ある女神を探していて
俺はその女神に思いの丈を
伝えに来たんだ!」
戦闘の中で好きな人に告白した
いんだと発言に流石のドラゴンも
その言葉に反芻して
いるようで、
暫く沈黙が続き
そして、厳かに口を開く。
「ソレハ、憎悪ナドヲ
呪詛ヲブツケルタメト
言ウコトカ。」
どうやら勘違いされて
しまった。
「ち、ちがう!
好きだと伝えに来たんだ!」
これなら、流石に勘違いなど
しないだろう。
竜はまたもセリフに反芻する。
そして、またも訪れた
返事するまで待つ
沈黙するしかない状況。
だが答えるのは竜ではなく
謎の声だ。
「そんなのデタラメに
決まっていますよ。
ファフ。」
竜の足の方に声がして
下方を見て、探すがいない。
「ファフ。
わたしたちに危害を加えようと
いつもするのが人間。
だから、信じないで!」
人間って、言葉・・・
噂の女神だろうか?
なら・・・俺は。
「君に聴きたいことあるんだ。
女神のパラスが今は、
何をしっていて
何処にいるかなんでもいい!
なんでもいいから聴きたいんだ!」
「フリード・・・・・」
俺は力一杯に叫ぶ。
その隣では白鵺は、苦痛の表情。
理由を聴きたいのだが
今は目の前にいる見えない噂の女神がいるなら、
ようやくしっかりした情報を
得られるかもしれない。
「パラス?
その女神にどうしても
会いたいの?」
今度は、敵愾心ではなく
普通な声遣いだった。
(信用してくれたのだろうか?)
「ああ!」
「分かった!
少し、待ってて。」
そう言うと走っていく音。
もしかしたら奥には、
複数の女神が住んでいる
部屋なのだろうかと
待っている間、そんな事を考える。
そして、すぐに足音が聞こえる。
足音はどんどん大きくなり
止まると同時に
「はぁ、はぁ・・・
知らない。
知らないって、言っていたよ。」
急いで走り伝える噂の女神の
言葉。
「そうか。
それは、残念だったな。
わざわざありがとう。」
「えっ?
ど、どうもいたしまして。」
感謝に困惑する
何処かにいる噂の女神。
「それじゃ、俺達はここを
二度と入らないように周りの人達に
何とかして、報告するよ。
お邪魔しました。」
踵を返し俺は手を軽く上げ振って
去ろうとする。
「ま、まって!
本当にそれだけなの?」
背後に噂の女神が制止の言葉。
そうだな勝手に土足に入って
お詫びの品でも置かないのは
失礼だった。
「そうだな、失念していたよ。
僅かだけどお金と洋菓子を
ここに置かせてもらうよ。」
雑嚢から取り出し
所々にある岩石の上に置こうとすると、慌てて止めようとする
噂の女神。
「ままま、待ってよ。
そう言うことじゃなくて!
それだけで終わりなの?
それとどうして何ゆえに親切に
するのぉ!?」
驚き叫びツッコム。
「まっ、フリードだからね。
・・・えーと、女神さん?
そこ男は生粋のお人好し・・・
違うか。
女神にも優しいんだよ。」
白鵺が両手で三角形を作りそれを
口の周りで接触して叫ぶ。
「クク、面白イ奴等ヨ。
警戒ナドヲシナクテモ
ヨイノデハナイカ、
ネバー。」
竜は、厳かな声のままだが
なんと言うのか友好的な
雰囲気が醸し出している
気がした。
曖昧なのは単に竜と話す機会が
まったくこれが初めてだからに
過ぎない。
「うーん・・・。」
悩む噂の女神もとい
ネバーさん。
「あの人達は危険ではないと
思いますよ
ネバー。」
別の声。
奥にいた別の女神だろうか?
「ウ、ウルズ!?
で、でも・・・もし演技だったら
わたし怖いよ。」
「大丈夫。
私が先に前に出るから。」
「い、いや、一緒に出よう。
それなら、いいでしょう。」
「そうだね。」
そして、竜の足下から現れるは、
二人で手を繋ぐ少女。
ボロボロのメイド姿の
栗色のキレイなツインテール
やや鋭い真紅色の眼をしていて、
雪を欺くほどの白い肌の少女と
手を繋いでいた片方は
美しいショートヘアーの薔薇色に優しいそうな
眼をしているのは萌葱色の白皙な少女。
ボロボロの装飾の鎧。
かつては神々しさがあったのだが
今は輝いていない代わりに
退廃的な美しさがあった。
薔薇色の少女は、徐に口を開く。
「私は女神のウルズといいます。
此方の子がサキュバス族の
ネバーです。」
「これは、ご丁寧に
俺達は・・・・・
えっ、サキュバス?」
確かサキュバス族と謂うと
籠絡させて暗殺し、
誘惑で内輪揉めなどさせる
厄介な悪魔のサキュバスなのか。
「・・・なんですか?
サキュバス知ると人間は
いやらしい目で見てくるの
ですね。」
サキュバスのネバーさんは
上目遣いで涙目で睨んでくる。
「あー、確かにそう思われても
仕方ないと思うけど
俺は、まったくそう思って
いないから大丈夫だよ。」
恐がっているネバーさんに
優しい口調で言うのだが
信じてもらっていない目だった。
「あー、信じてもいいと思うよ。
このフリード・・・
あっ!
まだ名乗っていなかったね。
この人は、
フリードリヒ・レーヴィ。
そして相棒ことわたしは小田白鵺よろしくね。」
白鵺は、スマイルで
俺と自分の名前を言う。
「は、はい!
よろしくお願いいたします。
その・・・信じてもいい
と言うのは?」
挨拶を済ませると
ネバーさんは、首を傾げて
質問する。
「あー、そうだったね。
このフリードだけど
女性にあまり興味がないんだよ。」
「え、それじゃ
もしかして男に興味しか
ないことですか?」
流石にそう解釈するよな。
・・・そう解釈するだろうか?
まっ、俺はそろそろ否定をする
だろう白鵺の言葉が。
「フフ、そう。
フリードは、麗しい女性が好きになれねぇんだよ!
っと暴言を吐き
そして眉目秀麗なイケメンには、俺の隣にずっといろ!っと、告白すること
まあ、絶えない、絶えないことで
迷惑で恥ずかしいんだよね。」
長々ととんでもないことを
喋りだす白鵺。
「それは、白鵺が勝手に言っていることだから鵜呑みにしないで
くれ。」
時々この相棒は、
とんでもない冗談を平気で
言ったりする。
「そうだったのですか・・・
女の子に興味ないなんて
珍しい人ですね。」
ネバーさんは、珍妙な生き物を
見るような眼差し。
「そうなのですか。
昔はそんな殿方が多かったの
ですが、今でもいるんですね。」
ウルズさん眼を輝かせている。
「マサカ、ココマデオモシロイ
御仁ガイルトハ、
クッハハハ!」
哄笑する竜。
「えーい!
お前らしっかり聞け!
俺は、そんな趣味はないし
好きなのは、パラスだけなんだ。」
悪化する一方だったので
全力で否定する。
「なるほど、好きなのは
そのパラスさんですね。
もちろん、冗談です。」
ネバーさんは、笑いながら謝る。
もはや本の少し前の対応と
今のからかわれている対応が
違うのは、警戒心が解いて喜ぶ
だろうか?
そして、戦場から談笑の場と
なってしまった洞窟の
広々とした場所で
話がなかなか進まずにいたが
ようやく閑話休題に入る。
「汝ラハ、噂ヲ知リココマデ
ヤッテキタノカ?」
「ああ。
・・・ようやく話が進んだ。」
散々、どこで会ったのとか
二人はどうして旅に出てるの等で
質問攻めされ
話が進まないのを竜も
考えて俺に目的を聞かれ答える。
「さて、次は此方の番だ!
どうして君達はここに?」
ここで生活するには不向きだ。
ゴゥストなど出てきたり
入口まで戻るのに
時間が掛かりすぎる。
俺の疑問に竜は返事をする。
「ソウダッタナ。
デハ、話ヲシヨウ。」
「待って、私が説明するよ。」
女神ウルズさんが間に入って
止めた。
「デハ、任セルトシヨウ。」
その後の続きを譲り
竜は見守ることにしたようだ。
そして
ネバーさん今は手を繋いでおらず
白鵺と楽しく話をしているもよう。
「それでは、お話しします。」
そして、女神ウルズは壮絶な
過去を語る。