最初の仲間
そして、王都を出てから数日ウルド森林にあるダンジョンの周辺にてウルド森林に生息するモンスターと戦闘していた、いや、戦闘というより一方的な戦いそう、トオルの周りで呻いている魔物たちだ。
「ここらへんにいるモンスターはだいたい狩り終えたかな、にしても敵が少ないなもうちょっと多いもんだと思っていたが。」
そんなことを思っていると、手前の木の陰に女の子らしき人物がいるのが見えた。
その木に近づくとそこには金髪で髪の長い少女が立っていた。
トオルに見られるやいなやあわてて、その場から逃げ出そうとする彼女。
「ちょっと待てどうして君みたいな少女がここにいるここは危険なんだろ、早く王都に帰ったほうがいい。」
するとそんな言葉を遮るように。
「あなたこそ、私のそばにいてなんともないんですか。」
「ん、それはどういうことだ、私のそばにいてって。」
「あなた、眩暈とか吐き気とかしないんですか。」
「残念ながらなんともないみたいだけど。」
「それは、本当ですか嘘じゃないですよね本当の本当ですよね。」
と何度も確認を取ってきている、それもすごく嬉しそうにまるで初めて友達ができたかのように。
「さっきからなんなんだ君は、なんでそんなに嬉しそうなんだとりあえず落ち着いてくれ。」
「あ、すいません、つい嬉しくて。」
「とゆうかなんで君はこんなところに居たんだ。」
「えっとですね、実は私生まれつきの特殊なスキルを持っていて、自分よりもステータスが低い生命体に、自動でスキルが発動して吐き気や眩暈といった状態異常が出てしまうので、・・・」
「それで私がもともといた家から追い出されてしまって、それでもう3年ここにいます、たまに冒険者がここに来るのですが私がずっと森にいるせいか、知らない間にレベルが上がっていたらしく冒険者たちも今までの人たちと同じように、みんな私が近づくと顔を青くして森からいなくなるのです、でもその時、あなたがいるのを見つけました木の陰にいたのはスキルが発動するかどうか確認していて、まさか見つかるとは思っていなかったので、びっくりしてあわてて逃げました、捕まってしまいましたが、ま、まあ、そのあと顔を出そうとしていたんですが。」
と、なんでここにいたのか事情説明をしてくれた。
「そこでお願いなのですが私も旅に同行させてください、お願いします。」
まあ、そうなるよねテンプレ的に。
「別に同行するのは構わないんだけどそういえば、君名前は。」
「あっ、そういえばまだでしたね私はセレナです、セレナ・レフル。」
「分かったじゃあ、セレナよろしくな、それはいいとして戦闘になったら、セレナに迷惑が掛かってしまうかもしれないんだが大丈夫か、実は俺は闇系統が適正で俺が魔法を行使すると周囲の敵味方関係なく、状態異常効果が発動するからあまり役に立てないかもしれん。」
「何を言ってるんですか闇系統ならデバフとかのかからない、攻撃魔法なんてたくさんありますよ。」
それを聞いたとき、トオルは思った、完全に忘れていた、なぜにそんなにも簡単なことに気付かなかったかと、その理由はあの騎士三人を一瞬で戦闘不能にさせた例のアレのせいである、そのおかげでトオルの行使するデバフ魔法は強いという評判が広まり、攻撃魔法のことをすっかり忘れていたのだ、そしてその状況を見ていないセレナだから気付いたことだった。
「そ、そうだったな、じゃあそういうことでそろそろ移動しようか。」
セレナは、移動中がすごかった、周囲に息をひそめて機会をうかがっていたであろうモンスターたちが、隠れることを放棄して呻きだしていた。
いやぁセレナさんマジ半端ないです状態異常無効あってよかった、そんなことを思うトオルだった。
「そういえば、私たちはどこに移動しているんですか。」
「それはもちろん目的地などない、野宿できそうな場所を探すだけだ。」
「えっと、それは本気ですかほんとにテントだけとかないですよね。」
「もちろんテントだけだけど。」
「何考えてるんですかここはあのウルド森林ですよ、ダンジョンが近くにあるんですよ、夜なんてもうそれは、モンスターうっじゃうじゃですよ何考えてるんですか。」
「そんなこと言われてもほかに使えそうなものはないし、今までそれで死んでないんだから大丈夫だよ、たぶん。」
「そんなにこやかな顔でそんなこと言わないでください、不安しかないんですが。」
「お、ここいいな今日はここで寝るか。」
「話を聞いてください今からでも遅くないから町に戻りましょう。」
「そんなに必死にまあ大丈夫だろ、実は結界魔法も得意だからちょっと見てろ。」
「結界魔法、ダークフィールド。」
「って、ちょっと待ちなさいそれ式系統魔法じゃないそれを一人でやるって、あんたどんだけ魔力量が高いの...。」
「だいだい、15000くらいじゃなかったかあんまり覚えてないけど。」
「あんた、15000ってあなた何代目。」
「何代目、なんでそんなこと聞くんだ。」
「なんでって、それは代数を重ねるごとにステータスが上がっていくからよ。」
「そんなことを言ったら、お前たちのステータスだって高いはずだろ。」
「ちょっとなに言ってるの、初対面でこんなこと言うのもなんだけどもしかしてあなたって頭悪いの、普通だったら二代目か三代目あたりで死ぬじゃない。」
「お、おい、死ぬってなんだよ。」
「死は、死よ、そんなことも分からないの、あなたほんとに大丈夫なの、なんか一緒についてきて不正解な気がしてきたわ。」
「不正解ってのはちょっと気に食わないが、それにしてもなんで死ぬんだ。」
まったく意味が分からず首をかしげていると
「はぁ、本当に何にも知らないのね仕方ないから私が教えてあげるわ。」
はあ、
「まず、なんで死んでしまうかというところからね、もし仮にこことは全く違い魔法というものが一切ないその概念すらない世界があったとするでしょう、するともちろん何の疑問もなく自分の身を使って動くでしょ、それがあるとき動くのをやめたらどうなると思う。」
「動きや、動作や反応がどんどん鈍くなって、体に悪い異常をきたす。」
「そう、その通り使わなければ、どんどん衰退していくそれを魔法に置き換えてみて、魔法も長期間使わなければ衰退だってする最初は効果や威力の減少、次に詠唱時間が長くなったりで最後が魔法の完全初期化、要は覚え直しって感じで、それがかなり悪化すると貯まりすぎた魔力が行き場を失い体の芯の部分で爆発する、それが死ぬ原因。」
「なんで原因がわかってて対処しないんだ。」
「皆が原因を知らないからよ、この世界の者たちは完全に神を信じっ切ってるからすべては神がお定めになったことみたいに、全く聞き入れる気ないのよ。」
「というかなんでそれをセレナが知ってるんだ。」
「まあ、そこは置いといて。」
「分かった、そのことは聞かないことにしておく、でも気が変わったら教えてくれよ。」
「うん、わかった、それと、エナジーロストにも気おつけなさいよ。あれも短期間に何回も起こすと死ぬからね、あとこういう言い方してから言うのもなんだけど、もちろんやらないほうがいいからね、この現象かなり戦闘中に起こることが多くてね、みんな狩りとか夢中になっちゃう人が多くてエナジーロスト起こして死んじゃう人が多いの、ちなみにエナジーロストはただ動けなくなるだけで失神じゃないから、生きて帰れても魔力のない状態で、魔物と向き合えばかなり怖いらしくて、それが原因で戦闘に戻れないなんて人も居たりするから、絶対に気おつけること。」
「ありがとうセレナ、肝に銘じておくよ。」
そんな会話をしながらテントと結界を張り終え、夕食の準備をしていると不意にセレナが話しを振ってきた。
「あのさ、今の今まで忘れてたんだけどさあなたの名前なに。」
「そういえば、まだ言ってなかったな俺は永屋トオル、こっちでは珍しい名前だと思うけどよろしく。」
「ほんとに聞いたことない名だわ、確か昔の文献で聞いたことあるような感じだけど、まあいいわ。」
「そんなことより、ほら晩飯出来たぞ。」
「え、なにこれ、これ料理なの。」
と、驚きの表情を見せるセレナ確かにこれを見たら誰でもそうなる、そうまるで見た目が闇鍋だった、いやそんな生ぬるいものじゃない、いうなれば混沌鍋だ。
「そんな顔するな、意外とうまいから食えって。」
「いや、遠慮しておくわ私は木の実かなにか、とってきてそれ食べる、まだ死にたくないし。」
「いや、死なないから、おーいセレナさん、ほんとに食べないの。」
そんなくだらない会話をしながら、この日は終わった。
ピーピー、と小鳥か何か得体のしれない何かのさえずりを、まだ寝起きの覚醒しきってない意識が聞いていた、そんな音を聞いてると突然意識が完全に覚醒、目を開けると何か怒った様子で、セレナがトオルに腹パンしていた。
「おふっ、ああ、ううあぁぁぁ、な、なにするんだ。」
「あんたが何やっても全然起きないから物理耐性が低いの思い出して。」
「行き着いた答えが、腹パンとそういうことだな。」
「よかったわね、その偏ったステータスのおかげで毎朝爽快じゃない、こんなに偏ったステータスにも使い道があって安心したわ。」
「爽快じゃない、全く持って不愉快だ。」
この女、全く容赦がない、これから毎朝こうなるのか..、明日から早起きでも頑張ろうかなと、そんな独り言をつぶやいていると、テントの向こうから良い匂いとともに声が聞こえてきた。
「それと、朝食できてるからね冷めないうちに食べなさいよ。」
「朝食作ってくれたのか済まない、助かる。」
「まあ、寝床用意してもらって旅にも同行させてくれるんだもの、これぐらいお礼はしたいわ。」
なんだかんだ言って、セレナも感謝しているらしい。
「そういえば、セレナの適正はなんなんだ。」
「私の適正、まだ言ってなかったけ、私は水が適正よ。」
「水なのか、てっきり闇かと思ってた。」
「なんで闇なのまさか、状態以上まき散らしてるからとかじゃ無いでしょうね。」
「いや、違うのか。」
「違うに決まってるでしょうが、なんで状態異常イコール闇なのよこれは水属性のスキルよ、結構レアなスキルなんだから尊敬しなさい。」
「お前スキル一個しか持ってないのか。」
「一個しかって何よ、スキルは普通一個か二個でしょトオルほんとに常識ないのね。」
このスキルのことは、黙っておいた方がいいかもな。
「それで今日は、何するの。」
「今日はセレナが新メンバーに加わったから、戦闘の連携から確認だなセレナ戦闘経験はあるか。」
「多少はあるけど、、実際にやってみろって言われたら自信ないかな。」
トオルは少し考え込み。
「じゃ、セレナお前に重要な役を与える。」
「な、何よ早く言いなさい。」
「お前には、囮役を頼む。」
「は。。」
セレナが口をあけてアホみたいな面をしている。
「なんで囮なのよ、戦闘経験そんなにないとは言ったけど攻撃と回避の単純な、ヒットアンドアウェイぐらいできるわよ。」
「いや、戦闘経験豊富とかそんなのはあまり関係ない、簡単に言うと遠距離とやり合いたくないから、ヘイト集めよろしくってこと。」
「それってさ、相性悪いからって押し付けてるだけじゃない、なんでそうなるの、ねえ、もっかい腹パンいれようか。」
やばいこの人目がマジだ、マジで腹パンいれようとしてる、もうあんなの喰らいたくない。
「よ、よーし分かった、もっと効率がよさそうな戦術組むか。」
「あら、分かってるじゃないそう来なくちゃ。」
そのあと、セレナにトオルが中級闇魔法の認識阻害を使い敵陣に近づく、その後、敵の反応を見てからセレナの奇襲で、これを殲滅するという戦術が採用になった。
「よし、これでダンジョンに潜る準備もできたし仲間も増えたし、そろそろ潜るか。」
「ちょっと待って、ダンジョンに潜るなんて聞いてないわよ。」
「当たり前だろ、言ってないんだから。」
「本当に何考えてるの、こんなの攻略できるのは勇者ぐらいなものよ、あんたみたいにステータスが高いからって、そう簡単に攻略できないんだから悪いことは言わないから引き返しましょ。」
「いや、もう隠すのめんどいから言うけど、俺、勇者だよ。」
「えええぇぇぇぇ。」
セレナの悲鳴は、森にかなり長い間木霊し、森に甲高い声の魔女が住み着いたと、噂になった。