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Ep,4


 一日目


「よーーし。ユーキはどっちからやりたい?」


 いきなりアリスさんが質問してきた。


「それって、魔法か、武器での攻撃かってことですか?」

「そうだよ。魔法には魔法の良さ、武器での攻撃にはその良さがあるしね。まぁ、最終的には両方教えるつもりだから、どっちを選んでもいいよ」


 うーん………、異世界といえばやっぱりあれだよな……。


「魔法でお願いします!」

「わかった、魔法だね」



「コホン、まず、魔法がどういうものなのか説明するよ。私達の身体にはそれぞれ、魔力というものがあるんだけど、それは個人によって大きさが違うんだ。後天的に鍛えて増やすこともできるけど、これについては遺伝が大きくてね、どうしようもないんだよ。それに、生まれつき一つの属性しか使えないんだ……。魔力だけでは、魔法を使うことはできないよ。そもそも、私達が魔法を使えているのは、精霊の力を借りているからでね。その対価として、自分たちの魔力をあげているんだけど……。精霊の力を借りるためには、精霊と契約することが必要でね。たくさんの精霊と契約することもできるけど、その分魔力も必要になってくるから、だいたいの人は、一人の精霊としか契約しないんだ。……で、この契約というのがこれまた大変なんだよ……。」


 そう言うと、アリスさんは、小さな小瓶をリュックから取り出してきた。


「これは聖水っていってね。これを決まった形に描くと、魔法が使えるんだよ。でも、この聖水が意外と高いんだ。あまり、無駄使いはしないでくれると嬉しいな。で、今から描く魔法陣は、召喚魔法のものだよ。ものは試し、まずは魔法陣を描いてみようか」

「えっ、いきなりですか⁉」

「大丈夫だよ、めっちゃ簡単だし…」


 本当かな?


「じゃあ、やってみます…」

「はいどうぞ」


 そう言ってアリスさんは、魔法陣の形が描かれた紙と、聖水を渡してきた。


 俺は、土の上に指で丁寧に魔法陣を写した。やはり、初めての魔法ということで、緊張して、もの凄く時間がかかってしまった。でも、自分でもなかなかのできだと思う。

 アリスさんも、

「おおっ、ユーキ、君すごいね!この紙と見分けがつかないよ。これならきっとの中級精霊以上の精霊が来てくれるにちがいないね」

 と褒めてくれた。


 なんでも、精霊にも階級があるらしい。下から順に、

 初級精霊、中級精霊、上級精霊、帝級精霊、神級精霊、幻級精霊のようになっている。


 まずは初級精霊、これは見ての通り一番下の階級の精霊だ。魔力がある程度ある人なら契約することができる。


 次に中級精霊、この精霊と契約できる人はかなりの強者だ。中級精霊と初級精霊の間には決して超えられない壁があるらしい。


 そして上級精霊、契約できる人は、国に十人もいないらしい。余程魔力が強くなければそうそう契約することはできない。


 次に帝級精霊、この精霊と契約したのは現在まででも、勇者と聖女だけらしい。ていうか、勇者とかって本当に存在していたんだな…………。


 そして神級精霊、この精霊は、ほとんど過去に確認されたことがない。しかし、存在だけは確実にあるとされている。


 最後に幻級精霊、この世界では、精霊が世界を創ったとされている。その精霊が幻級精霊だ。未だ、見た人はいなくて存在しているかもわからないらしい……。



 さて、精霊の階級についてもわかったことだし、早速聖水で魔法陣を描いてみよう。




 ――― 数十分後 ―――



 俺はアリスさんに見守られ、無事聖水で魔法陣を描くことに成功した。次で最後の行程だ。アリスさん曰く、これが一番難しいらしい。ずばり、魔力を込めることだ。魔力が少ない人は困難に等しいみたいだ。


 ここで問題なのだが、異世界人の俺には魔力があるのか、ということだ。そもそも地球には魔力というものが存在しない。

 俺は心の中ではヒヤヒヤしながらも、結局アリスさんの指導を受けることにした。


「じゃあ、まず魔力が君にある程度あるかどうか調べるよ。手を握ってくれないかな?」


 俺は言われた通り、アリスさんの手を握った。

 一体何をするんだろうか。


 ………指先から何かが流れ込んでくる。

 もしかして…これがアリスさんの魔力なのかもしれない。なんだか身体がくすぐったいような気がする。


 しばらくするとそれが終わった。


「結果はどうですか?アリスさん」

「うん。魔力は一定以上はあるみたいだね。これなら全然足りると思うよ」

「……で、これから魔力を魔法陣に込めたいところだけど、一つ、言い忘れていたことがあったよ」

「なんですか?」

「まず、魔法陣に魔力を込めると、光を発し始めるんだ。その色が、生まれつき持っている君の属性になるよ。そして、召喚できるのは同じ属性の精霊だけなんだ。ちなみに、私は風属性だよ。まぁ、自分の手の内は、あまり周りに見せびらかさない方がいいと思う」

「よし!じゃあ魔力を込めようか。魔力の感覚はさっきのでわかったかな?」

「はい。わかりました」

「じゃあ魔力を意識して、そのまま、指先から魔法陣へと伝わるようにイメージするとできるよ」


 ええと、まずは魔力を意識する………。

 ん?これかな?何か身体を熱いものが流れている気がした。さっき、アリスさんに魔力を入れられた時と同じ感覚だ。


 次に、魔力を指先に集中する………うぅ、難しいけど、なんとかできたと思う。


 最後は魔法陣へと魔力を伝える………あっ、これは案外簡単にできた。それと同時に、魔法陣が光だした。

 さて……俺の属性は……。


「水色……つまり氷属性だね……」


 そう、アリスさんの声が聞こえた瞬間、俺の視界は真っ白に染まった……。




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