Ep,2
反省しよう。
姉ちゃんをあてにした俺が馬鹿だった。すっかり忘れていたが、姉ちゃんは方向音痴だったのだ。
「姉ちゃん……、ここって何処?」
「ごめん。分かんない」
「ごめん、って………」
「……」
「……」
「「はぁ…」」
ふたりの現在の所有物は、財布と時計、鞄のみだ。
いつも持ち歩いているのに、今日に限って、スマホの充電するの忘れるとか………、しかもふたりとも。
「姉ちゃん、これからどうしよう………、ってわっ」
なんだこれ⁉
「どしたの、優希?」
「し、下………」
「え?………、はっ?なにこれ⁉」
自分たちの下に、魔法陣のようなものが浮かんでいた。
「……異世界……との、……せ…つぞくに……せいこ…しました……。…これより……※※………※※※※※……※※※※」
「「えっ?」」
次の瞬間、俺達は、白い光に包まれた………。
♢ ♧ ♡ ♤
太陽が、ジリジリと身体を熱してくる。丁度いい風が吹いてきて心地良い。
「……う、……」
目が覚めたら、見慣れない景色が広がっていた。
全身が痛くて起き上がれず、よくわからないが、草原の真ん中にいるみたいだ。
……数分すると、だいぶ身体が慣れてきた。
俺……たしか、姉ちゃんとプレゼントを買いに……行っていたはずだけど、ここはどこだろう?
立ってみても、見えるのはどこまでも続く草原だけだ………って、あれ?なんか視点が低いような……。
自分の姿を改めてみてみた………。
「……………………はぁ⁉」
ありえなくて、思わず声をあげてしまった。
これってどういうことだ?
俺の身体の変化
①手が小さくなっている
②背が低い
③声が高い
俺が気づいた事は以上だけど、これはどう考えても、子供になってるってことだろう。
だとすると……、このシチュエーションって俺的に大丈夫なのかな?
だって……、身長からして、七歳くらいの男の子が、草原で一人道に迷ってるんだぞ。
かなりやばい状況だ。
………よし!
考えててもわからないから、歩けるだけ歩いてみよう。
――― 数時間後 ―――
「はぁ…、はぁはぁ…」
いつまで経っても草、草、草……。
「お腹……すいた……」
空腹で、今にも倒れてしまいそうだ。
あれ?なにか見える。
視界の先には……………。
俺の十倍はあろう巨大なイノシシ?がいた。こちらをじっと見つめてくる。……嫌な予感がする。
それに、なんか目が赤くて怖い。
あっ…………、鼻息を勢いよく吐いて、助走を始めた。
これってまさか………。
障害物がないこともあってか、半端じゃない速さになっていく……。
赤い目は…、もはやすでに獲物を狙う目だ。
イノシシが俺に向かって突進してくる。
避けたいのに、お腹すいたのと疲労で、身体が上手く動かない。
やばい………。
ちょうどその時だった。
キンッ―――
「君っ…、大丈夫かい⁉」
俺は、目の前の真っ二つに、きれいに切れたイノシシを視界に入れた瞬間、すっと、意識を手放した………。