プロローグ
「なんだってこんな事にならないといけないんだ!?」
青年はそう思いながら必死に走る。
まるで誰かに追われているような。否、追われているのである。
時間は深夜、上には高速道路、車通りは深夜にしては明らかに少ない。
青年を追っているのは見た目は中学生としか思えない少年だ。しかしそれは普通の中学生とは到底思えない。
彼は笑みを浮かべながら彼に無数の斬撃を放つ。
その鋭利さは彼の近くにあった電柱を真っ二つにし、付近に止めてある自転車や自動車、住宅街の壁などをいとも容易く切り刻んでいる。
そんな少年は笑みを浮かべ余裕のある態度で問う。
「逃げてばかりいないでさぁ!!!ボクと戦おうよ!」
「嫌なこった!お前の目的はなんなんだよ!?」
青年、須崎燐にはまるで身に覚えが無い。
なんで普通の大学生の自分を狙うか検討もつかないのは当たり前のことだ。
普通に道を歩いていてヤンキーに絡まれるとかいう次元ならまだあり得ることだ。しかしこれはヤンキーとかいう次元の奴ではない。
普通の人間、いや猿でもわかる、コイツは明らかに別次元の奴だ。
「さぁ?何だと思う?当てれたら今日は引いてもいいよ。」
それに対し少年は斬撃を燐に向けて放ち続けている。
少年から逃げ続けて早7分、燐は常にダッシュを続けており思考力が落ちてきている脳を必死にフル回転させた。
そこで1つの点に繋がった。燐にはここ数ヶ月、前までの自分ではしてないような事をしていた。
それは最近起きている人間の突然死について興味を持ち、様々な情報を得ていたことだ。
この怪奇事件は数ヶ月前から突如起こり、燐はこの事件を毎日調べていた。
「あの怪奇事件のことか!?」
それを聞き少年は嘲笑い、これまでの攻撃がお遊びと言わんばかりの1本の鋭い斬撃を燐の首元に放ち言う。
「1つ良いこと教えてあげるよ。
キミはボクの脅威になる可能性がある。だから消す。
問題の答えは、うーん半分正解かな。てことでサヨナラ。」
燐はそれを聞き終わったと同時に急に目の前の視界が変わった。
聴覚が失われ自分の顔から下を自分で見下ろす不思議な感覚。
---------そして燐は死んだ------------
「---------ッ!!!!!!!!!!!!」
目が覚めるとそこはベットの上であった。
「夢…最悪の朝だな」
そして燐はいつも通り、学校へ行くのであった。