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第7話 病院

 さやかは病院に居ることがわかり、一路病院へ。

 病院は小高い丘の上にあり、木造の2階建て。

 2つの棟を渡り廊下で繋いでいて、上空から見た場合H字に見えるだろう。

 建物の外に亡者の影は無い。

 左の建物の窓から青い光が見えた気がした。

 近づいたころには消えてしまった気がするが。

 向かって左の建物から調べていくことにする。

 ショットガンを構えながら入り口に回った。

 入り口から受付を覗き見る。

 亡者たちは居ない。

 足音を立てないように、慎重に中へ。

 ギシッ……と気の床が軋む。

 周りを見渡す、何も動いていない。

 診察室と表札に書いてあるドアがある。

 ゆっくりとドアノブを回し、ドアを開いていく……


 ドアの隙間から覗き込む濁った瞳。


 とっさにドアノブを離す!

 亡者が開けようとドアに手を掛けた。

 一歩下がり、ドアの隙間に向けて左ストレート!

 ゴン!と良い手応え。

 亡者をノックダウンしてドアを蹴飛ばし、中へ。

 中には3体の亡者が! 

 すぐにショットガンを構え、連射!

 2体を吹き飛ばし、残りを…と、したところで足を取られる。

 さっき殴り倒した亡者が足にしがみついてきた!

 そこにすかさず残りの亡者が駆け寄ってくる!

 とっさに近くの棚を引き倒し、前から来る亡者に当てた。

 頭を打ち亡者は、ぎぃぃ!……と鳴きながら離れていく。

 左足に鋭い痛み!

 足元の亡者が噛み付いている。

 ショットガンを向けるが、これでは自分の足ごと撃ってしまう。

 ショットガンをアイテムボックスに戻し、腰のリボルバーを抜く。

 ダンッ!と重く空気の弾ける音と共に亡者の頭を撃ち砕く!

 残りの1体も同じように頭を撃ち抜き、黒い泥へと変わった。


 それが合図となったか、建物の中から亡者たちのうめき声が聞こえてくる。

 メディカルキットを打った後、すぐにショットガンを取り出し廊下へ。

 別の診察室から湧き出てくる亡者の群れ。

 今度は不用意に中へ入らない。

 廊下で迎え撃ち、散弾とマグナム弾の雨が降る。

 音速で飛び交う鉛玉に生身で抗う術はない。

 容易に亡者の肉を引きちぎった。


 弾の装填をしながら1階の探索。

 1階にはさやかは居ないようだ。

 その時、上の階からタタタ……という軽い足音とドタドタ!……と複数の無遠慮な足音が響いてきた。

 足音はどんどん遠ざかっていく……。

 音源は外へ。

 すぐに窓際に寄ったところ、2階の渡り廊下を走り去る女性の後姿に、それを追う亡者の姿が!

 窓ガラスをショットガンのストックで叩き割り、外へ。

 渡り廊下を行く亡者に向けて、狙撃!

 窓ガラスを割り砕き、窓枠に獣の噛み跡のような傷をつけながら、窓越しに亡者の頭を吹き飛ばす。

 連射して3体の亡者を葬ったが、まだ出てくるようだ。

 窓に顔を見せるたびに狙撃するが、このままではさやかを追えない……

 それとも一旦無視して、右側の建物に素早く入っていくか?

 だが、それだと亡者の方が先にさやかに追いつくかもしれない……

 焦燥感が募り始めたとき、傍らでバンッ!と銃声が聞こえた。

 クマダさんが大きく息を吐きながらも、2階の渡り廊下に向けて発砲している。


「にいさん、足速いなぁ……。これでも必死で追いかけてきたんだけどよ。

 あいつらを先に行かせなければいいんだろ? ここは任せな!」


「すいません、恩に着ます!」


「なぁに、こっちはさんざん世話になってるよ。

 さぁ、行って来な!」


 クマダさんの援護を得て、右側の病院へと突入する。

 建物の構造はさっきの建物と一緒に見え、何処かからかエンジン音のようなドッドッドッ……という音が聞こえた。

 こちらは受付室にも廊下にも亡者がたむろっている。

 全てを相手にしている暇は無い。

 廊下の亡者に向かってショットガンを連射!

 受付の亡者を無視して廊下へと駆け込む。

 不意に診察室が開けられ、中から亡者が口を大きく開けて迫ってくる、が。

 ショットガンで殴り飛ばして、そのまま階段へ。

 階段の踊り場に3体の亡者が。

 ショットガンを3連射させ、2体を吹き飛ばすが。

 1体は足に当たり、こちらへと覆いかぶさるように落ちてくる!

 とっさに首を左手で掴み、後ろへと放り投げた。

 ちょうど追ってきた亡者に当たり、もつれ合い倒れ。

 そこに追撃の連射、床をハンマーで叩いたような音が響き、亡者の胸や首元が引きちぎられた。

 ショットガンの装填口に指を突っ込み、装填しながら階段を駆け上がる。


 2階の廊下の奥から悲鳴が!

 廊下の奥、うずくまる女性に、それに詰め寄る2体の亡者。

 ショットガンを仕舞い、腰からリボルバーを抜く。

 赤いレーザーポイントが埃の舞う廊下を泳ぎ……怒りの銃声が空気を震わせる!

 雷鳴のような音が響き、亡者の頭を吹き飛ばした。


「さやか!」

 呼びながら、駆け寄る。


「え、キョーちゃん?」

 うずくまった女性がその顔を上げるが、ショートカットにクリッとした丸い目。

 間違いない、さやかだ。


「良かった……、助けに来たんだ」


「キョーちゃん……」


 さやかと見つめあいながら、近づいていくが。

 何かに気づいたさやかがそれを拒絶する。


「おねがい、見ないで……」

 左手を胸に引き寄せ、隠しながら言う。

 その左手は青白く痩せ細り、紫色の血管が浮き出ている……


「大丈夫だ、薬があるんだ……」

 メディカルキットを取り出す。


 ゆっくりさやかに近づき、その手を取る。

 左手に触れるとビクッとしたが、手を振りほどいたりはしない。

 任せてくれるようだ。

 メディカルキットを押し当て、薬液を注入する。

 効果は劇的だ。

 見る間に肌は温かみを取り戻し、元に戻った。


「キョーちゃん……、わたし……」


「もう大丈夫だ」

 抱きしめる。


 無言で抱き合う二人。

 そこに無粋なエンジン音が近づく。

 腕の中のさやかが震えている。


「ここ、変な奴が居るの。

 さっきも外で追いかけられて、ぎりぎりセーフティエリアに逃げこめれたの」


 エンジン音を響かせながら、階段をギシッギシッ……と上がってくる。

 階段の角からズタ袋を被った大男がチェーンソーを手に提げながら、こちらを覗き見てくる。

 その瞳は亡者と同じく濁っていた。



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