Q&A
翌朝の目覚めは最悪だった。
(臭っ!)
俺はあまりの臭いに目を覚ました。
声を出して抗議したかったが、声を出すことが出来ない。
それどころか、体を動かすことすら出来ないのだ。
どうやら彼女ら昨夜の拘束魔法をまだ解いてないようだ。
(動けない事にはしょうがないが、この臭いはいったい?)
俺は声は出せないが、呼吸は出来るという不思議な感覚を味わいつつ、この臭いの元を暴こうとした。
「きゃっ、またやっちゃた」
(この声は、まさか...)
「どうして毎回焦げるのかしら?」
やっぱり、神様が何かしているようだ。
そしてどうやらこの異臭の原因も彼女らしい。
(早く止めないと…臭くて死ぬ)
どうにか体を動かせないかともがくが、動くのは瞼と呼吸する時だけで他はピクリとも動かない。
「失敗したのはここに置いといて…あいつにはバレないでしょ」
(ふざけんな)
「まだ寝てるのかしら、まったくいつまで寝てるんだか。」
(起きてんだけど、動けないんだよ!お前のせいで!)
心の中で叫ぶが、彼女にはもちろん届かない。
「どんだけ疲れてるのか知らないけど、熟睡してるなんて…あ」
そこまで言って彼女は自分のかけた拘束魔法をまだ解いてないことを思い出した。
「大丈夫…まだ起きてないはず」
彼女はそーっと拘束魔法を解いた。
拘束魔法が解けるや否や、俺は体を即座に起こし彼女を睨んだ。
「…おはよう」
「…おはよう、何か言うことは?」
「特に…」
彼女がとぼけるので、俺は台所へと近づいた。
「退け」
「ちょっと待ってよ、まだ寝てて良いんだよ?」
彼女はこれ以上進まないようにと、俺を通せんぼする。
俺は彼女越しに台所を見ると、焦がしたと思われる食材が黒い塊となっていた。
「あれは?」
「なんのことかしら?」
あくまで白を切る彼女に俺はため息を吐いた。
「退いて、朝食なら俺が作るから」
「あんた料理できるの?」
「まあ、元の世界では自炊してたから出来ないこともない。」
台所に立った俺は食材と調理器具を確認する。
やはり食材は見たことない物ばかりだったが、調理器具は元の世界と大きく違うものは無かった。
火も彼女が魔法で出したらしく、料理に使えそうだった。
「あんた、調理方法わからないとか言ってたじゃない」
「ああ、だから食材の中で皮剥いたりした方がいいものを分けてくれないか。他になんかあったら教えてくれ。」
俺が指示すると、彼女は食材を分け始めた。
その間に他に使えそうな肉類やパンを取り出した。
彼女が食材を分け終えたのを確認して俺は料理を始めた。
「出来たぞ〜」
俺は作り終えたばかりの料理を皿に盛り付け机の上に置いた。
ホカホカの料理を見て彼女は目を輝かせた。
「ふ、ふん。よく出来てる方じゃない」
「それは良かった」
味見したから、そこまで悪い出来じゃないはずだ。
俺たちは遅めの朝食を食べ始めた。
俺は食べながら彼女に質問した。
「なぁ、この世界について教えてくれないか」
この世界で暮らすのであれば情報は必要だ。
「それはいいけど、何から教えればいい?」
「そうだな…」
俺は質問するには今更な質問をした。
「まず神様の名前を教えてくれ。」
「今更!?まぁいいけど、リーナよ」
「リーナね、次にこの世界の魔法ってなんだ?」
「魔法ていうのは人がそれぞれ持ってる魔力を消費してそのエネルギーで色々することよ」
ざっくりしてんな
「色々って?」
「火や水を出したり、人の行動を制限したり、空を飛んだり、色々よ」
「なんとなくわかった。次に魔力って何?」
「魔力は人間の持つ体力と同じようなものよ、人によって最大値は異なっていて多い人も少ない人もいるの。体力と違う部分は、魔力は生まれた時から決まっていて増減しないということね。
だから魔力の高い人間は重宝されるわ。」
なるほどと思いながら、俺はどんどん彼女に質問した。
この世界はいくつもの国があって、この家の近くにあった街はグランバルという国の都市リストリアという所らしい。
この国は王が統治していて、一人の魔導師が側近としている。
この魔導師は人間離れした魔力を持っていて、周りからは大魔導師と称えられてるらしい。
しかし、リーナから言わせると
「まぁ、人間にしてはすごいけど私程では無いわね。」
らしい。
そんなリーナが名乗っている神という存在について聞いた、
「神っていうのは人間を超えた存在よ、まあ、想像上の生き物とされてるけど。
だから、もし私が神様だって他の人間に知られたら大騒ぎになるでしょうね」
「なるほどね、まぁ質問はこんなもんかな」
「やっと終わったわ」
気づくと皿に料理はほとんど残っていなかった。そこそこ時間が経っていたようだ。
今の情報を元にこれからのことを考えていると、コンコンとドアを叩く音が聞こえた。
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