神と名乗る少女
目が覚めると、体が少し痛かった、机に突っ伏したまま寝ていたようだ。
「ここは...?」
体を起こし、周りを見渡して俺は気づいた。
「俺の部屋じゃない...まだ夢でも見てるのか?」
試しに手や頰を抓るが残念なことに確かな痛みがあった。
「夢じゃ...ないのか。」
未知という絶望に襲われながらも、俺は今の状況を整理しようとした。
「落ち着け...確か俺は寝落ちして、夢の中で自分に採点をつけてそれで海底に沈んで...。
というか、ここはマジでどこだよ!?」
あたりをぐるりと見渡すと机に食器棚、火のついた暖炉、台所のような場所、本棚など古びた家具が確認できた。
窓からは、夕日か朝日かわからないが橙色の光が射し込んでいた。
そしてその光が当たっているガラスを見て俺は驚愕した。
「誰だ...こいつ」
ガラスに、写っていた顔は俺の顔ではなく、金髪の髪をした別の誰かだった。
状況が整理出来て、落ち着いた頃にはあたりはすっかり夜になっていた。
俺は起きた時に座っていた椅子に座り、自分がまとめた事を思い返していた。
・ここは俺のいた世界ではない
・俺は肉体ごと異世界に移動したのではなく、記憶や精神のみ移動した。
・この世界の文明や科学のレベルが暖炉や、台所を見る限り、元いた世界より低い。
・この家の周りには木ばかりで他の家は無く、遠くに街の灯りが見えたことから、ここは街から外れた森にあることがわかった
・外にある庭には、見た事のない野菜が育っていた。
・この家には、俺以外の人間はおらず、一人で生活していた。
これらの事をふまえ俺は一つの結論へとたどり着いた。
「あ、これ積みゲーだ...」
いやだって、無理だろ。
道具類古すぎて使い方わからない、暖炉についてる火が消えたら着け方わからないから何も出来なくなる。
本棚にあった本は見たこともない言語で書かれていて読むことができない
他の人を頼ろうにも、周りに家ないし、もしあっても言葉が伝わるかわからないし。
野菜だって見た事ないから育て方わからないし、敷地外は森で怖くて出たくないし。
「あー詰んだ。もう無理や、マジでオワタ」
どうしようもなくなり、ただひたすらネガティブな事を呟いていると、ドンドンとドアを叩く音がした。
「誰だ?」
ここは、街外れの森の中にある家だ、そんなとこを訪ねるやつなんていないと思っていたが...
「どちら様でしょうか?」
俺はビビりながらも玄関のドアを開けた。もしかしたらこの家の関係者かもしれない。
しかし、そこに立っていたのは灰色の髪をした一人の少女だった。
そんな異色の髪に俺は驚いたが、それに構わず少女は開口一番こう言い放った。
「私は神だ!丁重にもてなすが良い!」
その言葉を聞いて、俺は無言でドアを閉めた。
やっと神様登場です