練習中 かみさまたちのいる世界 砂糖はどこへ
はじめましての方こんにちわ。
いつもRTしてくださっている方はありがとう御座います。
今回書いたのは小説の一部分、かつ、戦闘描写の練習で御座います。
何か書いてないと不安になるんですよね。
こうしたらいいんじゃないかな、というアドバイスなどありましたらご指導いただけるとありがたいです。
今、俺たちは魔女を捕縛せよとの依頼を受けて、その口中に突っ込まんとしている。
もし成功すれば金貨1000(現代の価値にして、5000万程度)に騎士の身分と領地を約束するとの事だ。うまい話だ。うますぎる話だ。だから絶対に安全ではない。
だが、もし成功すれば、病弱な妹の薬を買って余りある豊かな生活が保障される。
そして、霊的な存在を相手にするための武器防具支給だという。
この話に飛びつかない手はなかった。いざとなりゃ逃げればいい。装備を売れば儲けも出るだろう。
この王国以外で売りゃ足もつかないだろう。
そう考えていた。
秋も深まり、寒気も増してきた山中の森を、研ぎ澄まされた感覚と殺意に溢れた50の魔導兵が進む。
それ以外に音はしない。
静まりかえっているのは、魔導兵に森や動物たちが怯えているからだろうか、それとも、その敵手が牙を研ぎ、迎撃せんと待ち構えているからだろうか。
間違いなく後者だろうが、できれば逃げるのに都合のいい入り口付近で出迎えてくれると嬉しいが、そうは行かないんだろうな……
予想通り、偵察に行ったスカウトからの接敵の連絡が来たのは、山の奥も奥、魔女の館とされる地点からであった。
「総員構え! 貴様らは一騎当千の装備を得た兵である、そこに我らが神の加護が加われば必勝!」
指揮官の唯一の正規軍のおっさんの鼓舞、もっともらしい言葉に俺たちは熱気を持って応! とこたえる。
「死しても戦い続ける鉄となりて永遠の戦士となることが叶うであろう……」
だが、ちらりと口にした言葉を俺は聞いてしまった。
その言葉を疑問に思い、考え込む前に、周りの木々から蔦が伸び、矢が降ってくる。
「ウッドフォークだ! 上にドリアードとエルフも!」
蔦に気づいた奴が声を張り上げて注意を促す!
木々が生を得た化け物であるウッドフォーク、同じく木々の精霊ドリアード、そして森の住民であるエルフである。
ほぼ全ての木々がウッドフォークであり、それらにエルフ、ドリアードを乗せ戦車化しているようだ。厄介極まりない。
考える前に戦うしかないか!
そう思って、戦う意志を見せた瞬間。
俺の精神と理性は。
加速した。
通常の人間ならば、この数のウッドフォーク相手では通常兵器は通らず、火の術で燃やすなりしないと戦えはしない。
その間にもエルフやドリアードの矢、魔法が降り注ぎ、壊滅状態になるだろう。
しかし、今の俺たちはどうやら普通の人間とは違うらしい。
ウッドフォークの根を捕まえて、人ならざる力で無理やり転倒させ、立ち上がるその前にその上に乗っていたドリアードやエルフを蹴り殺すもの。
高く飛び上がり、そのまま、エルフやドリアードを先に始末するもの。
中にはウッドフォーク自体を一閃する化け物さえも居た。
俺もウッドフォークを思い切り蹴り、その上にいるエルフを叩き落とすと、やめてくれ、と懇願する目を見ても、何の意識も持たず。そのまま大剣で切り殺した。
血しぶきを浴びてもなんとも思えない。生ぬるい、と感じるぐらいだ。ただただ、敵、的を殺す、それだけしか考えられない。
妹のことも、金のことも、身分のことも、何もかもを忘れて切り殺せればそれでいい。
そんな本能に語りかけてくる。鎧。
鎧自体も強固で矢やドリアードの精神干渉の魔法を弾くようであった。
一方的な殺戮劇になる、そう見えた、が、そうはいかなかった。
相手も強硬なドラゴン種のワームと大地の精霊を繰りだして反撃してきた。
地面からいずるワームに飲まれて鎧からの生存信号が途絶える。
大地の精霊に剣を突き立てても心臓部までまったく届かず、何度も斬りつけているところを羽虫のように握りつぶされるものも居た。
しかし、ひしゃげた鎧はまだ「稼動していた」、大地の精霊をひたすらに斬りつけ、始末しようとあがく死体の山。
魔導兵を飲み込んだワームも腹から切り裂かれて、中身のない空っぽな鎧が横腹を断ち這い出てくる。
「ふ、ふひひ、ふへへ」
おかしい、狂っている光景のはずなのに、逃げようとも思えない、俺もワームに飲まれかけては脳天をつんざいて出てきて、飲まれかけては、飛び出て逃げてという、最低な気分の八艘とびを披露してしまった。
そして10分も過ぎたころ。
「……増援も途切れたか、生き残っているものはこちらへ」
俺だけが歩み出た。
「ふむ、1名、素晴らしい能力だ。この任務が成功すれば栄光は君のものだな」
指揮官は俺の肩を叩き激励してくれた、とともに、俺の中で理性がようやく戻ってきた。
「では、鎧よ。こちらへ……」
指揮官が鎧を呼ぶ。
何のことだ、と俺が疑問に思っていると、がしゃり、ぐちゃり、様々な音を立てて、何かが近づいてくる音がする。
振り返ると、そこにはゾンビと化した、いや、中身のないものもある、リビングメイルか? それと成り果てた戦友たちの姿があった。
「──!?」
「シグナルは……鎧「は」50、確かに確認した、鎧の強度は問題ないが中の人間の耐性を上げれば更なる戦果が期待できるな」
「あなたは一体、何をしようとして」
「見ての通り、新兵器の実験運用だよ、このまま魔女を捕えにいく、手伝いたまえ」
「ふっざける……な」
俺たちは死ぬこと前提での運用かよ! そう叫びたくなったが、鎧が手足を拘束して言う事を聞いてくれない。
「上官には逆らえないようになっている、それと、せっかくの機会を無駄にするのかね、君は」
妹の笑顔が浮かぶ。確かにこのまま成功すれば……妹の顔が浮かぶ。
「よろしい」
上官は微笑んで、再び俺の肩を叩く。
「そう緊張するな、魔女は甘い奴だ。戦力が残ってなければ殺されはせんよ」
「残ってなければ、でしょう?」
「そうともいうがな」
血だまりと化した魔女の館の直近で、俺たちは周囲に木や敵の気配がないか入念にチェックをしつつ武器の手入れをする。
「こればかりはアンデッドには任せられんからな」
「それを聞いて安心しましたよ、俺まで始末されたらって考えてましたから」
「それはひどい、私は優秀な兵士は好きだよ、報酬の件も偽りはない」
アンデッドと化した鎧たちも手入れをしているのが非常に不気味だが、今は気にしないでおくことにする。
そして俺たちは、魔女の館へと足を踏み入れた。
館の入り口で待っていたのは、ニホン、いやヒトではおよそ考えられない緑の髪と目をもった、少女であった。
ご覧いただきありがとうございます。