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投資家奇譚   作者: d.f
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第六話

それから何回か、僕は東川さんを呼んだ。彼女にはホテルに来てもらい、部屋には入らずカフェで話をした。僕はその度に彼女のお店に数万円支払ったが、キャバクラよりも安いし、じっくり話もできるので気にならなかった。

しばらくすると、

「いつもお金払ってもらって会うのが悪い気がする」と言い出した。僕はそれが少しうれしかった。始めはいつもにこやかだった彼女も、次第に素の部分を見せてくれるようになった。彼女は本当はとても繊細で、気分屋なところもある女の子だった。初めて会った時の愛想の良い感じが気に入っていた僕はちょっと面食らう部分もあったけど、彼女が僕に心を開きつつあることを喜んだ。彼女の身の上話やデリヘルで働くようになった理由も教えてくれた。

東川さんは小学生のときにシャワーを浴びている最中、偶然マスターベーションを覚え、以来性への興味が大変強く、中学高校時代にはずいぶん遊びまわったらしかった。それでも勉強はしっかりやっていて、大学では工学を学びたいと考えていたそうだ。それが高校三年の夏に交通事故に遭い、長期入院。高校はそのまま退学してしまったが、いつかは高校卒業認定を取って大学で勉強したい気持ちもある、と二十四歳の彼女は語った。デリヘルで働くようになったのは二年前からで、それまではリハビリをしたり、家の近所でバイトをしていたらしい。

「この仕事で腰は大丈夫なの?」と聞いたところ、

「うん、だから腰にはなるべく負担をかけないように気を遣っているし、週に一度は整体に通わないといけないの。本番をしたがるお客さんもいるけど私は絶対NG」と言った。僕はこの話を聞いてますます東川さんの力になりたいと思った。

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