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投資家奇譚   作者: d.f
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第五話

彼女は雪という名前で仕事をしていて、本名は東川すみ子といった。僕はひとめ見た時から彼女の虜だった。丸顔で肉づきの良いぽっちゃりした体つきの彼女は、僕が今まで飲み歩いたどの店の女の子よりも美しかった。肌はまさに雪のように白く、ゆるいウェーブのかかった肩までの栗色の髪、くっきりした二重とデリケートな鼻、形の良い唇をしていた。彼女は屈託のない笑顔をたたえ、快活で、いままでに呼んだどの子よりも愛想がよかった。白いカーディガンを脱ぎ、紐のように細い茶の革のベルトを外した彼女は、白と薄いみどりのチェックのワンピース一枚になり、肩にかかる髪を両手で押さえながら、

「ファスナー下ろしてくれます?」と背を向けた。僕は彼女がワンピースを脱ぐのを手伝い、振り向いた下着姿の彼女をシャワーも浴びずにベッドに押し倒した。

僕は彼女の身体を堪能し、彼女はとても上手だった。僕はなぜこんな子がデリヘル嬢なんかをしているんだろうと不思議に思った。

二度目に呼んだとき、部屋に入ってくるなり、

「金井さん、呼んでくれたと思った」と言った。高級ホテルに百二十分で呼ぶ客というのはそれほど多くはないそうだ。ルームサービスで食事をしていた僕は彼女に飲み物を勧め、しばらく談笑した。

「ではそろそろ」と身を乗り出した僕に、

「この前みたいなことして欲しい?それとも私ともっと仲良くなるのどっちがいい?」

彼女は聞いてきた。

「どういうこと?」と僕が聞くと、

「わたし、正直お客さんのこといつも軽蔑してるの。でもあなたとなら話していて楽しいし、仲良くなれる気がする。もう一回この前みたいなことしたらもうお客さんとしてしか見られなくなる。どっちがいい?」と言った。

「じゃあ今日は止めにして、もっとゆっくり話そう。僕も君と話していると楽しいし、もっと仲良くなりたいと思うよ」と僕は答え、階下にあるレストランでお茶をしながらゆったりした時間を過ごした。

彼女は別れ際、連絡先と本名を教えてくれた。ただ、下の名前で呼ばれるのは好きじゃないというので、僕は彼女を東川さんと呼ぶことにした。

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