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チートな男の娘ともっとチートな魔女(連載凍結中)  作者: フットサール
一章 モルモットな異世界召喚編
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五話 森と魔法とギルド

諸事情ありまして遅れました。

それとは関係ありませんが月初めは二話連投です。

「はぁ……はぁ……」


 血だまりの中に刀を差し込んだまま、僕はどっと押し寄せた疲れに負け、座り込んでしまった。


「まさか、本当に倒すとはな……」


 びっくりしたような声がした。

 見ると、リリアナがエースタイガーの死体を前にしゃがみ、観察していた。


「ま、……まさかって?」


「エースタイガーは本来、Bランク冒険者が複数人で部隊(パーティー)を組み、倒すようなモンスターだ。冒険者ランクは、下からFEDCBASの六階梯だから、エースタイガーとは本来上から三段目のベテランが相手どるような化物という訳だ。さすがに無茶かと思ったが、よくやった」


「よくやった、じゃないよ! 僕が倒せなかったり死んじゃったりしたらどうするの!」


「その時は私が倒したし、何にせよお前はこいつを倒した。お前にこいつを倒すだけの力があることのほうが重要だろう? さて、私はこいつから金になりそうな素材をはぎ取る。お前は休んでいろ」


 そういうと、リリアナはナイフを取り出し、エースタイガーに突き立てた。

 僕はとりあえず邪魔にならなさそうなところに座り、それを眺める。


「リリアナってそういうの出来るの?」


 リリアナは魔法使いだ。剥ぎ取りの技術とはいまいち結びつかない。

 本当は冒険者かもしれないけど、だとしたらこんなところに住むわけがないので聞いてみた。


「魔法の儀式にこういう物が必要なことは多いからな。よほど専門的なことでない限りできる」


「へぇ……」


 そうぼんやりと答えるうちに、何だか吐き気がした。


「うぷっ」


 正直、虫以外の生き物を殺したのは初めてだ。


「大丈夫か、顔が青いぞ」


 気が付くと、剥ぎ取りを終えたリリアナが僕の顔を覗き込んでいた。


「大丈夫……リリアナ、この世界って山賊とか居るの?」


「もちろんいる」


「殺しに来るのかな」


「あいつらも生きるのに必死だからな」


「……そっか。わかった」


「何がだ?」


 僕はリリアナの目を見て言った。


「僕も強くなるために、必死になる。あっちだって殺しに来てるんだから、恨みっこなしだと思う」


「……そうか」


 リリアナは僕の頬を両手で包むと言った。


「先ほどあんなことを叫んでた割にまだ迷っているかと思ったが、どうやら杞憂だったらしいな」


「うん」


 そっか……さっきの叫び、聞こえてたんだ……さっきの叫び?

 リリアナは急に立ち上がって背を向け、一つ咳払いをすると言った。


「わ、私はお前なんぞに守られるほど弱くない。むしろ鍛えてやる。さっさと刀を回収しろ、行くぞ」


 ………………


 …………


 ……


 わー! き、聞かれてた――――っ!


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 それから、僕らは一か月森を歩き続けた。

 コースはリリアナが村に行くときに使ってるものらしく、橋のようなものもあった。

 リリアナからもらった刀は、水洗いするだけでほかに手入れはよほどでない限りは不要らしい。(便利だ)


「そういえば、なんでリリアナはこんなところに住んでいるの?」


 ベテランが倒す相手(エースタイガー)が出るような森に住んでいる理由が、どうしても分からなかったからだ。


「簡単だ。魔女というのは深い森の奥に住むものだからだ」


「え~?」


 何だかはぐらかされたような気がする。

 戦闘は、自分でも強くなったと思う。

 弓を射る器用な猿。

 突進で巨木を薙ぎ倒す牛。

 冗談みたいに固い甲羅の亀。

 どれもこれも、やたらめったら強いような気がしたけどおかげで強く慣れたし、あまり気にしてはいない。

 剣術のほうはそれで鍛えた。ついでに素振りも続けている。

 そうそう、こういうのでお約束の魔法についてだ。

 この世界の魔法は、使うためには『詠唱』という文言を唱える必要がある。

 この詠唱とは、その魔法によってもたらされる結果を具体的にイメージするための物。


 例えば、一番簡単な部類に入る風初級魔法のガストの詠唱文は


『風よ、命を撫でるその手を持ってわが敵を叩け ガスト』


 と、こうなる。

 魔法の腕が上がれば短縮することもできるらしく、この魔法も、


『風よ、わが敵を叩け ガスト』


 こうなる。一番短いのは無詠唱だ。

 因みに魔法とは、向き不向きや素質に個人の技術は左右されるがほとんどの人が使用できて、使えない人はむしろ少数派らしい。


「だが使えずとも強い者はいる。使えなくても気にするな」


 魔法を一切使えない僕はリリアナにそう慰められてしまった。

 使おうと思っても、急に体が重く何だかだるくなって使えなくなってしまうのだ。

 まるで、鎖に体中を雁字搦(がんじがら)めにされてるみたいに。

 僕が魔法を使えない理由だが、リリアナの答えは


「わからん」


「? 魔力がないとかそういうのじゃなくて?」


「それも分からんのだ。どうなっている……」


 リリアナは本当に困っているみたいだったが、すぐに解決しなくてはならない問題ではないので放置することにした。おいおい解決していこう。

 そんなこんなで歩き続けて一か月間。


「カエデ、街道についたぞ」


 それまでの細道とは明らかに違う、整備された大きな道があった。


「ほら、あそこに見えるのがロズベリアだ」


「あれが……」


 小高い丘のようになっているそこから、小さな村が見えた。


「あそこで一泊するぞ」


「そうなの?」


「ああ、お前が掃除している間に作った薬を売るからな」


 そういえば、僕が呼び出された翌日は僕だけが掃除をして、リリアナはずっと部屋に篭りきっていた。

 何だろうと思っていたけど、薬を作っていたんだね。


「それから、あの村には冒険者ギルドがある。カエデ、お前登録してこい」


「ええ!?」


 またもお約束な展開に、僕はびっくりした。


「大丈夫だ、登録だけなら誰でもできる。歩きながら説明してやろう」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「この世界の冒険者という職業には、大きく分けて二種類のタイプがある。どこかのギルドに加盟している者と、そうでない者だ」


「ギルドに登録して冒険者になるんじゃないの?」


「その辺は登録と加盟の違いだ。登録とは、この国……グレンベルト王国の冒険者リストに登録して、冒険者という職業につくことを指す。加盟とは、どこぞの冒険者ギルドに入って、そこに所属することを指しているな」

 つまり、会社員とフリーターの違いみたいな感じかな?


「なお、この二つにはメリットやデメリットが存在する。

 まず加盟することのメリットだが、依頼を安定して受けられるようになることだ。通常依頼というのは所属者無所属者を問わず早い者勝ちだが、同じ依頼をそのギルドに所属するものと無所属の者が同時に持ってきた場合所属するものが優先される。また、冒険者個人を指名して以来が来る場合もあるな。ついでに、ギルドによっては補助などのサービスを受けられる。デメリットは、ギルドの規定などの縛りを受けることや、加盟したギルドが斡旋する依頼しか受けられないこと。加盟に条件があることもあるな」


「条件?」


「ああ。例えば、大手ギルドの撃剣の砦(フォートレス)加盟条件として剣術の試験を設けているな。変わり種だと、紅蓮の戦乙女クリムゾン・ヴァルキュリアのように女性限定のところもある」


「へぇ~」


 それは本当に変わってるね。


「無所属のほうだが、さっき言ったように仕事が来なかったりギルドのサービスを受けられないことだな。しかしメリットはどのギルドでも仕事を受けられることや、どのギルドの縛りも干渉も受けないこと、あとは腕が上がれば宮廷魔術師や騎士団に入れる可能性もある事だな」


「無所属なのに?」


「無所属だからこそだ。ギルドに所属していると、腕のいい者はそこに引き止められるからな。といっても少数派だが」


「そうなんだ。じゃあ、僕は?」


「もちろん無所属だ。間違って加盟して妙な縛りを受けるなよ?」


「もう、わかってるよ」


 そんなに信用無いかな、僕。



「さて、着いたぞ」


 やっとのことでロズベリアにたどりついた。


「さっきも言ったが、私にはやることがある。お前はあそこにある冒険者ギルドに

 行って登録をして来い。無所属だぞ」


 リリアナが指さした建物は、木造のかなり大きな建物だった。


「分かった」


 そうして僕らは、一度別れた。


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