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チートな男の娘ともっとチートな魔女(連載凍結中)  作者: フットサール
一章 モルモットな異世界召喚編
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三話 出発と刀と大虎と

「さて、忘れ物無し。戸締り良し。防犯用結界良し」


  リリアナが指さししながら確認をしていく。


「カエデ、貴様も良いな?」


「うん。僕が持つ分の荷物は持ったよ……結構重いけど」


  僕はリュックにかなりの大荷物を背負っていた。

  因みに今着ているのはこちらの世界に来た時の学生服(因みにブレザー)ではなく動きやすい木綿の服だ。

「ねえ……僕って、リリアナに筋力を強化してもらったはずだよね?」


「そうだな」


「なのになんでこんなに重いの?」


「重力変化の魔法を掛けているからな。ついでに、時々重量が変化するぞ」


「なんでそんな事?」


「力の加減を覚えるためだ。スープを飲んだろう?」


「うん」


  因みにこの世界でも食べ物の名前は大体同じらしい。


「あの時スプーンとうつわがただの木製だったら、粉々になっているぞ」


「ええ!?」


「当たり前だ。巨木を穿つ腕力で木の切れ端など握りこんだらそうなる。パンもそうだ、私が保護の魔法を掛けねばとても食べられまい」


「そっか……じゃあなんでスプーンとうつわは砕けなかったの?」


「原料が違うからだ。あれはここからさらに奥にあるETダイアモンドという木を使ったからだ」


「ETダイアモンド?」


「正式名称を金剛巨樹。金剛石(ダイアモンド)並みの硬さを誇る巨木だ。ま、この森の奥にはいくらでも生えているがな」


「へぇ~」


「野宿の時は食器はそれを使うが、宿では使わんぞ。その宿の食器にケチをつけているようなものだからな。という訳で、この森を抜ける一か月の間に力加減は覚えろ」


「一か月!?」


「ああ、ちなみにこの世界の時間の流れ方はお前がもと居た世界と大体同じだぞ。聞いた限りではな」


「そうじゃなくて! そんな一か月で力加減なんてマスターできるの!?」


「できなければ餓死だ。死にたくなければ覚えろ」


「え~」


  かってに呼び出しておいて無責任な気がするけどきっと間違いじゃない。

  かと言って飢え死にしてしまうわけにもいかない。仕方ないけど、憶えるしかないらしい。

  というか、抜けるのに一か月って。どんだけ広いの、この森。


「最後に、この森には魔物が出る」


「魔物?」


「ああ、しかも、その辺にいるような魔物じゃない。いかにお前が強化されていても、早く戦い方を憶えねば死ぬか大怪我をするぞ」


「ええ!?」


「とはいえ、重い荷物だけもって丸腰では心細いだろう。そこで、渡すものがある」


「渡す物?」


「ああ。まあ、拾い物だがな」


  そういいながら、リリアナは腰の袋に手を入れた。

  そういえば、彼女はそれ以外には黒いローブを着て、呼び出された時も持っていた節くれた杖を持ってるくらいの装備だ。


「ねえ、リリアナ? その袋って、何なの?」


「この袋か? これはな……」


 そういいながら、リリアナは手を入れた袋を腰から外して僕に見せた。


「良いか? これは収納の麻を編み込んで特殊な呪文を書けた袋だ。ほら、袋に模様が刺繍されているだろう」


  リリアナの言う通り、袋には複雑な円と四角を組み合わせたような模様が刺繍されていた。


「本当だ」


「要するにこれは、見た目よりも、ずっと多くの物を収納できる袋という訳だ」


「へえ、便利なものもあるんだね」


「ああ、これは私の手作りだがな……お、あったあった」


  リリアナは何かを探し当てたらしく、袋から手を引き抜いた。


「わぁ……!」


  それは、一振りの剣だった。

  鞘も鍔も黒く、柄には赤い布が巻かれている。

  それ以外には、何の飾りもないシンプルな剣だ。


「抜いてみろ」


  リリアナは僕に剣を差し出していた。

  受け取ると、不思議と剣は僕の手に馴染むような気がした。


「うん」


  一言そう答え、剣を抜く。


  「うわあぁ……!」


  いつもお母さんのけいこで使っているのは木刀だが僕だって男だ。本物の剣にあこがれたことだってある。

  剣の刀身は片刃で、刃の部分は他と違い、銀色の光を放っていた。


「分類上は刀ということになる、片刃だからな。どうだ? 気に入ったか?」


「うん! すっごく! 重さもちょうどいいと思うし、そういえばこれ、僕が握っても壊れないんだね」


「そうらしい、調べたところそれは複数の魔法金属……神金剛(オリハルコン)やらアダマンタイトやらをいろいろ混ぜて鍛えたものらしい。そういった刀剣は魔法剣である場合が多いのだがこいつは何の魔法も使える気配がしないからこれはただの刀だろう。この森の奥で拾ったのだが、放っておいても錆びないのだ」


「へぇ~、不思議だね。もらっていいの?」


「私は魔法使いだ、刀などいらん……それより、一つ試し切りでもしてみようか」


「え?」


  パシ! ミシミシメキ!


「え?」


  振り向くと、高さだけでも2メートルはありそうな大きな虎がいた。


「うわあああああ!?」


「ほう、エースタイガーか。丁度いい、その虎を切り伏せてみろ」


「切り伏せる!?」


「戦闘の練習だ。荷物は持っておいてやる。私はこれから魔法で姿を消すから、存分に戦うといい」


「そんな!」


「元の世界に帰りたいのだろう? ならこんなところで負けるな」


  抗議する間もなく、リリアナは僕から荷物を奪って姿を消してしまった。


「グオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」


  エースタイガーの咆哮に思わず身がすくむ。










「そうだ。ぼ、僕は元の世界に帰るんだ」


  帰るにしても、このまま万事無事に済むとは限らない。助けてくれるはずのリリアナが、ひょっとしたら倒れるかもしれない。








  急にイメージがわいた。何か強いモノに倒され、いたぶられるリリアナと、なすすべもなくそれを眺めるしかない僕。


「いやだ! そんなのいやだ!」


  何故かはわからない。でも、その時僕は決めた。


「強くなる! リリアナを守れるくらいに、強く!」












「お前なんかに、負けてたまるか!」


  体を襲う恐怖を振り払うように、僕はそう叫んでエースタイガーに立ち向かった。




5/17 表記の一部を改訂

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