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チートな男の娘ともっとチートな魔女(連載凍結中)  作者: フットサール
一章 モルモットな異世界召喚編
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二話 魔女さんの提案

「う……ん……?」


  目が覚めると、見慣れない木造の天井があった。


  ここは何処だろう。


「目が覚めたか」


  女の子の声がした。


「あれ……? 魔女さん?」


  声の主は魔女さん。

  そうだ、僕は異世界に召喚されたんだ。

  どうやら気絶させられた後、ここまで運ばれたらしい。

  僕が寝ていたのはソファの上で、毛布を掛けられていた。


「もう夜だ。夕食もできているぞ、食え」


  魔女さんは湯気が立っていて美味しそうなにおいを放っている鍋をかき混ぜていた。

  中身のスープをお椀に入れ、スプーンやパンらしきものと一緒にもってきてくれる。


「あ、ありがとう」


  僕は素直にそれを受け取った。

  スープを掬い、口に運ぶ。

  ジャガイモやニンジンらしき具も入っていて、美味しいスープだった。

  パンらしきものを引きちぎり、スープに浸してみる。

  スープが染み込んだパンはとてもやわらかくて、パンの甘さが口の中に広がった。


「旨いか?」


「はい、とっても」


「そうか、それは良かった」


  …………。


「どうした? 黙りこくって」


「いや、僕は魔女さんのことを勘違いしてたのかなって」


「勘違い?」


「僕のことを勝手に召喚してどうとも思っていないからひどい人なのかと思っていたけど、こんなふうに美味しいご飯を出してくれて優しい人だなって」


  笑ってそう言うと、魔女さんは何故か俯いて。


「そ、それこそ勘違いだ。実験動物(モルモット)に機嫌を損ねられて逃げられては元も子もないからな」


  そう呟いた。


「そうですか……」


  やっぱりひどい人なのかな……。


「第一、お前が私に感謝するのは当然のことなのだ。お前がこうして私と話せるのも、私のおかげなのだからな」


「え? そうなんですか?」


「召喚したものとは意思疎通する必要があるだろう? 昼間に身体能力を与えたといったな。それと同じで、お前が母国語を喋る感覚でこの国の言葉を喋れるようにしておいた」


「じゃあ、僕が今話しているのは日本語じゃないの?」


「ニホンゴ? それがお前の母国語か? ならばそうだ。貴様は今この国……いや、この大陸で共通の言語であるラナリス語を‏話している」


「そうなの?」


「そうだ……少し実験をしてみよう」


  そういうと魔女さんは立ち上がり、きれいな緑色の水晶玉を出してきた。


「これは声を記録できる玉でな……お前、これに向かって何かしゃべってみろ」


  そういって彼女は水晶玉を僕に差し出した。


「これからこれが光りだす。そのあとに喋ってみろ」


  そういうと、本当に水晶玉が光りだした。


「じゃ、じゃあ……生麦生米生卵」


  適当に早口言葉を言ってみた。


「なんだ今のは……じゃあ、再生してみよう」


  そういうと、魔女さんは一度光が消えた水晶玉をもう一度光らせた。

  すると


『mckndhsckmufsdkbryxgndci』


  何だかよくわからない言葉が再生された。

  ただし僕の声で。


「今のは……」


「わかったか? お前はニホンゴとやらを話す感覚でラナリス語を話しているのだ」


「そうなんだ……」


「対照実験だ。今度はニホンゴを()()()()話してみろ」


「意識?」


「ほら、早く」


  そういうと魔女さんは水晶玉を差し出した。

  同じように、僕は日本語を話すように心がけて話してみる。


  すると今度は。


『生麦生米生卵』


  日本語の音声が再生された。


「今のが日本語か」


「便利だな……あれ? でもおかしいな?」


  僕は違和感に気づき、魔女さんに質問する。


「魔女さんはその……ラナリス語を話しているんだよね? なんでわかるのかな?」


「簡単だ、音と声は違う。お前に与えたラナリス語理解の魔法は、意思疎通(コミュニケーション)に限定されている。文字を読んだり、記録された音を理解することはできん」


「なんで?」


「正確に言うなら、意思の有無なのだが……ま、実験動物(モルモット)はそれで十分だろう? それに、あの召喚魔法陣に組み込める補助効果付与法陣の上限は決まっていてな。今お前に与えられているもので精一杯なのだ」


「うーん……」


  実験動物(モルモット)呼ばわりされたのはいやだけど、しょうがなかったのかな?


  僕はそう考えた後、根本的なことを聞いた。


「なんで魔女さんは召喚魔法をしようと思ったの?」


「ふむ? そうだな、研究者だからかな?」


「研究者だから?」


「ああ、知りたい。どこまでもどこまでも、できるなら世界の、魔法の真理を真髄を知りたい。そんな欲求の結果にすぎん」


「つまり、召喚魔法で呼び出すことじゃなくて、()()()()()()が目的だったの?」


「ああ、ただ知りたかっただけ。次は送還魔法というわけだ」


「そうなんだ……」


  目的もなく、僕は呼び出されたのか……怒っていいのかな? でもたぶん勝てないし。


「目的もなく、ただ欲求を満たすためだけにお前を犠牲にした私を恨むか?」


「いや、恨んでもしょうがないし。あ、じゃあ、この世界について教えてくれない?」


「そうか、わかった。この世界について、基本的な情勢などを教えてやろう」


  そういうと、魔女さんは僕の隣に座った。

  それから、いろんなことを聞いた。

  魔女さんの家があるここは、グレンベルト王国の辺境にある、通称迷いの森(ロスト・フォレスト)という所だということ。

  僕のいた地球と違って、魔物も冒険者も魔法もある世界だということ。

  僕も、地球のことをいっぱい話した。


「鉄が空を飛ぶ!? 寝言は寝ていうものだぞ」


「うそじゃないって! 本当だよ!」


「しかし、聞くところによれば貴様の世界には魔法はないのだろう? 魔法もなしにどうやって巨大な鉄塊が空を飛ぶのだ」


「うーん、エンジンとかかな?」


「エンジン?」


「うん、翼の下に大きな鉄の筒みたいなエンジンがあって、それで飛ぶんだ」


「余計重くなって飛べないと思うが……」


  それと、これからは僕を元の世界に還すための素材を世界中を巡ってる旅に出るつもりだということも聞いた。


「いいの?」


「いい……というより、恐らくお前のために必要な素材はこの近辺では手に入らんだろう……何より、私はここに住むようになって以来外出といえば素材や薬を売りに近くのロズベリア村まで行ったくらいだからな」


「ロズベリア?」


「ロズベリア男爵の治める領地にある村の一つだ。もっとも、私にとってはどうでもいいがね」


「ふうん……男爵ってことは、侯爵とか子爵もいるの?」


「もちろんだ」


「へえ……じゃあ、世界中をめぐるっていうのは?」


「外に興味がわいてな……貴様の話を聞いているうちに、自分がまだ知らないことがあるだろうと考えてな、貴様の話を検討するためにもまずはこの世界を見て回ろうと思った」


「そっか……あ、そうだ」


  あることに気づいた。そういえばまだ名乗ってなかった。


「そういえばまだ自己紹介してなかったね。僕は秋宮(あきみや)(かえで)っていうんだ」


「アキミヤカエデ?」


「うん。楓が名前で、秋宮が苗字……ファミリーネームだよ」


「名前とファミリーネームが逆なのか……これは驚いた。ああ、私はリリアナ・スーウェルだ」


「そうなんだ。よろしくね、スーウェルさん」


  僕は彼女の名前を呼んだ。

  すると、ソファから立ち上がって部屋から出ていこうとする。


「スーウェルさん?」


「リリアナでいい。お前のこともカエデと呼ぶ」


  そう一方的に言って


「明日は一日中荷物の準備と掃除だ。もう寝ておけ、私は風呂に入る」


 ()()()()()()()


「わわわわわわわわ!!!!」


「どうした? そんなに慌てて」


  なんともなさそうに、そのまま彼女は振り返った。

  白磁のような白い肌と、白いシルクの下着に包まれた控えめな膨らみがさらけ出される。


「な、なんでここで脱ぐの!?」


「バカだな。()()()で裸を見られて狼狽えるか?」


「僕は()()()!」


「男?」


  そう茫然と一言つぶやくと、ぽかんと僕のことを見つめた。


「ば……バカな……? おま、お前……見た目を偽る魔法でも使ったのか……?」


「そんなの使ってないよ! てか服! 服着てよ!」


  僕が目を覆いながら慌ててそういうと、リリアナは服で自分の胸のあたりを隠し、


「う、うわああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」


 そのまま走って出ていってしまった。


「だ、大丈夫かな……」


  目に映った物が、今も鮮明に焼き付いていて僕の頬が熱くなった。


「い、いやいや! そんなの思い出しちゃだめだ!」


  それを振り払うように頭を振り、


「きょ、今日はもう寝るんだ! これから大変なんだから!」


  そう叫んで毛布を頭からかぶり目を閉じた。


次回からは週一くらいで更新です。

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