八話 開会宣言
「誇り高き冒険者たちよ!! 我こそ最強なりと、高らかに叫ぶ覚悟はあるかああああああああ!!!!」
コロシアムの観客席の一部、絶叫する声は各所に設置された水晶から拡散する。
「「「「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」」」」」」」」
それと同調するように広場に集まった総勢四百名近くのの冒険者たちの声が木霊する。
「自らの手にする武器を!! 自らの研鑽しつくした技を!! 自らの武勇を!!! 国王ウィルフレッド・グレンベルトの御前に誇る栄誉が欲しいかあああああああああああ!!!!」
「「「「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」」」」」」」」
「さあ!! 今年は記念すべき三百回目を迎えましたグレンベルト王国闘技大会!! 毎年名のある猛者たちが集うこの大会ですが! 今年もそうそうたる顔触れに違いない! これは期待ができます! あ、申し遅れました! 私実況のレマダー・イサルウ! 解説はこの方!」「リブカ・タッシと申します。どうぞよろしく」
……何だろう、聞き方というか書き方によってはひどいことになりそうな名前な気がする。
「大丈夫かカエデ、今からこの程度の怒号に呑まれていては優勝できないぞ。まさか、鎧のサイズがあっていないのか?」
隣でカティアさんが心配そうにのぞき込んでくる。
「いや……大丈夫です。心配かけてごめんなさい」
「そうか? ならいいが……」
「では本大会をを改めて説明しましょう!! 大会は予選と本選を二日間に分けて行います! 皆様、私の頭上をご覧ください!!」
実況石の上に巨大な映像が浮かび上がった。あれも確か光魔法の応用とか何とか言ってたっけ。
「まずは本日の予選! AからDブロックの四つに別れ、まずは五十人近い人数で大乱闘を行っていただきます!! ここでのルールは簡単! 最後まで立っていた二人が翌日の本選に出場できます! 組み合わせは、出場者の皆様に最初にお配りした番号によって分かれます!!」
スクリーンに次々と組合せが出る。僕が出場するのはCブロックだった。
「私はBブロックか、お互い決勝に進めそうだな」
「カティアさんと当たらなくて良かったです」
「翌日は本選伝統のトーナメント方式! いったい誰が来るのか!? 今年はどんなスーパーバトルが見られるのか!!! 期待で胸が張り裂けそうですが死なない程度に期待しましょう!!! では予選Aブロックは三十分後に開始いたします! 出場選手の方々は準備してお待ちください!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
僕とカティアさんの出番は後半二つなのでおとなしく見学することにした。
もう時間はきていて、Aブロックに出場する選手たちが続々とコロシアムに集結していた。
「暇ですね」
「見学することも大事なんだぞカエデ。ここで勝ち上がった者たちの戦術を見て対策を考えねばならん」
「なるほど……でも、どんな人が勝ち上がるんですか?」
「決勝トーナメントに勝ち上がる者にはたいてい常連がいる。ほら、出てきたぞ」
瞬間、開会宣言のそれと同じくらいの歓声が上がった。
「さあ! ここで毎年恒例注目選手の紹介と行きましょう! まずは三番ゲート!」
コロシアムには全部で六つゲートというか入口がある。
三番ゲートから出てきた人の中に、なんかいろいろ装備した人が出てきた。
「その身に纏うは魔法でない魔法! 今年はどんな装備が出てくるのか! 《工人の掌》所属! マルコム・プライム!!!」
「《工人の掌》の技術力は大陸中にとどろくほど高いものです。魔法を使わずに危険度の高いドラゴンやヘルパンサーを討伐したとも聞きますね。その中でも彼はAランクの冒険者。これはひょっとたら魔法よりもすごいものを見られるかもしれません」
「期待しましょう! 続いて五番ゲート! 出てきたのは歩く重装備! 《撃剣の砦》所属! マイク・シルバスター!!」
今度はさっきの人とは違った意味でいろいろ装備した……すごくごつい人が出てきた。
「世界最大ギルド《撃剣の砦》。百万人以上のメンバーを持つ超巨大組織ですね。しかし、彼はあれだけの鎧を着こんでよく動けますね。しかも装備は大木ほどもありそうな棍棒……ダイナミックなバトルに期待しましょう」
「全くです! おーっと二番ゲートから遅れて《老師》の登場だ! 《賢者の叡智》所属ガンビーノ・マギスター!!」
今度はいかにもなローブと杖を持ったおじいちゃんが出てきた。
「彼は確か《賢者の叡智》のギルドマスターでしたね。人間族最高水準の魔法操作技術を持つ魔法使いです。そんな彼が来たとは……ひょっとしたら、決勝トーナメントの枠が一つ減ったかもしれません」
ゲートから人が出てこなくなったのは、解説が終わった時だった。
「さあ! 有名も無名も、老いも若きも勇者になる、優勝する可能性のある猛者が出そろいました! さあ!」
解説席のレマダーさんが声を張り上げた。
「試合開始です!」
コロシアム中に響き渡る銅鑼が、うなりを上げた。




