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なーんにもない
風や雨を凌ぐ家も
家族も
兄弟も
友達も
お金も
なんにもない
あるのはこの命と体
でも、この命も消えるのかな
雨のなか一人
誰にも見向きもされず、生涯とじちゃうのかな
それも有りか
私の存在はそんなものなのだ
神も悪魔もいない
勿論、天使もね
助けを求めても、どちらも手を差し伸べてくれない
塵に等しい存在…それが私
ふと、雨がやんだ
「お前死ぬ気か?」
上から聞こえるのは
「あんた、誰?死神?天使…なはずないわね。
私をようやく迎えに来たの?」